今季初の実戦、埼玉西武(B班)戦(10日)は0−0の引き分け。7人の投手リレーで相手を0点に封じたものの、打線は2安打に終わりました。キャンプインから寒さや雨にたたられ、思うような打撃練習ができなかっただけに、攻撃に関しては想定内の結果です。一方で投手陣は想定外の出来でした。
 この試合、3番手で投げた吉岡憧平(小倉西高−近畿大産業理工学部(中退))は前回、名前が明かせなかった「おもしろいサイドスローのピッチャー」です。ストレートの球速は134、5キロですが、コントロールの良さとボールのキレで勝負できます。打たせてとるピッチングで大崩れしないタイプです。これからも実戦で少しずつイニング数を増やして、先発かリリーフか適性を見極めたいと考えています。

 今季は投手陣が練習生含め13名と増加し、去年より競争意識が高くなっています。ドラフト1位で獲得した孫一凡(高知中央高)もモノがよく、実戦経験を積ませれば楽しみな右腕です。フォームにムリがなく、まだ体ができていないにもかかわらず142、3キロのボールを投げられます。NPBのスカウトもチェックしている選手ですから、まずは短いイニングからスタートし、大事に育てる考えです。

 投手陣を引っ張るキャッチャーも新人の屋宜宣一郎(知念高−沖縄国際大)がレギュラーに名乗りをあげています。肩の強さ、動きのシャープさは今季、福岡ソフトバンクに育成選手として入団した飯田一弥に劣っていません。西武戦ではフェンス直撃の二塁打を放ち、打撃でも期待できます。バッテリーに関しては大きな不安なく開幕を迎えられるでしょう。

 攻撃に関しても心強い存在がチームに加わりました。地元出身の弘田澄男さんが球団アドバイザー兼総合コーチに就任したのです。巨人や横浜などで長く指導しただけでなく、WBCでコーチも務めた経験は若い選手たちのプラスになるはずです。弘田さんは基本的にホームゲームのみの帯同となる予定ですが、その際には一塁ベースコーチをお任せしたいと思っています。

 アイランドリーグではコーチが野手担当と投手担当がひとりずつのため、攻撃の際は控え投手や野手が一塁コーチを務めています。しかし、専門職ではないため、一塁ランナーに投手のクセやスタートのタイミングなど、細かい指示が出せません。ここを弘田さんにカバーしていただくことで、よりレベルの高い野球ができると考えています。近日発表する新野手コーチとともに、スキのない攻撃を目指していきたいものです。

 昨年はケガ人が続出した反省から、このキャンプでは新しいトレーナーと話をして、しっかりトレーニングを積ませています。これから実戦を重ね、シーズンを戦うなかではいろんなことがあるでしょう。それらに対処して最善策を講じ、結果を出すのが僕の使命だと感じています。

 独立リーグ日本一から3年が経ち、当時を知る選手も少なくなってきました。もう一度、選手、そしてファンの皆さんと勝つ喜びを味わえるよう、1年間、頑張ります。ホーム開幕戦(4月7日、高知球場)は念願のナイトゲーム。たくさんのご来場をお待ちしています。


定岡智秋 (さだおか・ちあき)プロフィール>: 高知ファイティングドッグス監督
 1953年6月17日、鹿児島県出身。定岡三兄弟(次男・正二=元巨人、三男・徹久=元広島)の長男として、鹿児島実業から72年、ドラフト3位で南海(現ソフトバンク)に入団。強肩の遊撃手として河埜敬幸と二遊間コンビを形成した。オールスターにも3回出場し、87年限りで現役を引退。その後、ホークス一筋でスカウトや守備走塁コーチ、二軍監督などを歴任。小久保裕紀、松中信彦、川崎宗則などを指導し、現在の強いソフトバンクの礎づくりに貢献した。息子の卓摩は東北楽天の内野手。08年より高知の監督に就任。現役時代の通算成績は1216試合、打率.232、88本塁打、370打点。
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