カンザスシティ・ロイヤルズの野茂英雄が16日、敵地のシアトル・マリナーズ戦で今季2度目の登板を果たした。4−4の同点で迎えた4回、無死1塁の場面でマウンドに上がった野茂は、マリナーズ打線につかまり、1回3分の0を4失点で降板した。イチローとの日本人対決は空振り三振に切ってとった。
 スコアは同点。ピンチを切り抜ければ、あわよくば3年ぶりのメジャー白星が転がってくるかもしれない場面だった。トレイ・ヒルマン監督は期待をこめて、野茂をマウンドに送ったものの、結果を残すことはできなかった。

 4回、広島に在籍していた先発ジョン・ベイルが先頭打者の城島健司にヒットを許し、背番号91のヒデオ・ノモがマウンドへ上がる。ところが、いきなり最初に迎えたウィリー・ブルームキストにヒットを打たれると、ユニエスキー・ベタンコートには低めのボールを左中間に運ばれ、あっという間に1点を勝ち越された。

 さらに無死2、3塁で打席に入ったのはイチロー。野茂は2球連続でボールを出したが、冷静にカウントを整え、最後は伝家の宝刀・フォークボールを投げ込んだ。外角低めにきれいに決まり、安打製造機のバットが空を切る。空振り三振。3年ぶりの対決は野茂に軍配が上がった。

 だが、このイチローとの対決が、この日のトルネードのハイライトだった。次打者に犠飛でさらに1点を追加され、続く5回のマウンドでは制球が乱れる。いきなり甘く入った初球のストレートを主砲のエイドリアン・ベルトレにレフトフェンスへ当てられ、その後は2者連続の四球。無死満塁の大ピンチを招き、次打者に城島を迎えた時点でヒルマン監督に交代を告げられた。

 結局、後を継いだ投手が、塁上のランナーをすべてホームに還し、野茂は計4失点。試合を壊してしまった。全盛期の球威がない中、野茂が頼るべきものは、コントロールと鋭く落ちるフォークボールだ。高めに抜けるボールが多い現状の投球が続けば、メジャーで生き残るのは難しいだろう。次の登板は野茂にとって正念場となる。

 なお、試合はリードを広げたマリナーズが11−6で制した。ロイヤルズの薮田安彦は4番手としてマウンドに上がり、1回3分の1を投げ、メジャー初失点となる1点をとられた。また、マリナーズの城島は5回にタイムリーを放ち、日米通算1500安打(日本1206本、メジャー294本)を達成している。