対ブラジル戦、14度目の正直なるか

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 2分け11敗。

 

 日本代表はブラジル代表と過去13度対戦し、1度も勝利できていない。ワールドカップ優勝を目指すというなら、いくら高くとも越えなければならない壁である。

 

 14度目の対戦がもうすぐだ。10月10日に大阪・パナソニックスタジアム吹田でパラグアイ代表と戦った後、14日に東京・東京スタジアムでカナリア軍団を迎える。

 

 ブラジル代表は南米予選でよもやの苦戦を強いられながらも今年5月に名将カルロ・アンチェロッティが監督に就任。6月にパラグアイ代表にホームで勝利して、北中米ワールドカップへのチケットをつかみ取った。最新のFIFAランクでは6位に順位を下げているものの、アンチェロッティ監督が建て直しを図っていくことができれば優勝候補の一角となることは言うまでもない。今回のアジア遠征ではロドリゴ、ミルトンのレアル・マドリード勢もアンチェロッティ体制で初招集され、ビニシウス(レアル・マドリード)、マルチネッリ(アーセナル)、カゼミロ(マンチェスター・ユナイテッド)ら世界トップクラスのタレントがそろうメンバー構成となっている。

 

 対する日本代表は9月のアメリカ遠征からメンバーを入れ替えてきた。三笘薫(ブライトン)、守田英正(スポルティング)がコンディション面を考慮されて選外となったが、目を引いたのがディフェンスラインの入れ替え。昨年11月に左アキレス腱断裂の大ケガを負い、今季復帰した谷口彰悟(シントトロイデン)が1年ぶりに選出され、コペンハーゲンに移籍した鈴木淳之介、負傷でアメリカ遠征を辞退した安藤智哉(アビスパ福岡)も名を連ねた。サイドバックを本職とする菅原由勢(ブレーメン)、関根大輝(スタッド・ランス)が外れたことからも、「攻撃的3バック」をブラジルにぶつけていくと見ていいだろう。三笘が担っていた左ウイングバックには中村敬斗(スタッド・ランス)、前田大然(セルティック)、相馬勇紀(FC町田ゼルビア)あたりが争うことになりそうだ。

 

 前回はカタールワールドカップの半年前となる2022年6月に東京・国立競技場で対戦して0-1で敗れている。

 

 スコアだけ見れば惜敗だが、内容的には完敗だった。シュート数も日本の4本に対して、ブラジルには18本打たれている。確かにピンチになる数は多かったが、日本の守備が光ったのも事実。誰かが体を張り、複数でまとわりつき、全員があきらめなかった。そのひと粘り、ふた粘りがシュートの精度をわずかに狂わせていたとも言える。試合後の会見に出席した元ブラジル代表でJリーグでもプレーしたアシスタントコーチのセザール・サンパイオも「日本の4プラス1、4プラス2の最終ラインは強く固まった形で、森保(一)監督がつくり上げたメカニズムは非常に調整が利いている」と日本の守備力を高く評価していた。

 

 日本は守備一辺倒ではなく“いい守備からいい攻撃”という姿勢を貫こうとした。ただ、“いい守備からいい攻撃、そこからやっとこさのシュート”ではゴールの気配が漂わなかった。今回はメキシコ代表戦で見せたようなハイプレスからカウンターにつなげていくことも指揮官は当然考えているはず。“いい守備からいい攻撃、からのいいシュート”に結びつけていくことがミッションとなる。

 

 森保監督にとっても特別な意味合いを持つ試合になる。

 

 というのも欧州5大リーグすべて制した初めての監督であり、欧州CLを5度も制したアンチェロッティ監督のことを最大級にリスペクトしているからだ。5月にインタビューした際、気になっている指導者について尋ねたところ真っ先にその名前を挙げたほどだ。

「アンチェロッティさんはレアルの選手たちに守備のこと、攻守の切り替えのことを強く言っているでしょうし、きちんとやらせている。献身性、犠牲心を持って、攻撃にも守備にも全員が関わるチームをつくっている印象がありますね。突出している選手たちがそこを怠らないし、お互いにカバーする。そうなると当然、チームとして勝つ確率を高めていくことができる。アンチェロッティさんはそこを示してくれていると思うんです」

 

 まだブラジル代表の監督に就任する前のこと。まさか半年も経たずに、リスペクトする人と対戦するとは夢にも思わなかったに違いない。

 

 すべては頂点に立つために――。

 

 個のタレント性を大事にしつつも、組織に規律を植えつけて勝利に執着心を持たせる。森保監督も共鳴するそのポリシーを世界で体現してきたアンチェロッティ監督との邂逅が、何をもたらすのか。戦いを通じてブラジルの、そして名将のエキスを十分に吸収してもらいたいものである。

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