スピアーズ船橋・東京ベイ、黄金期構築へ“やり抜く” カギ握る成長 〜リーグワン〜
会見の冒頭に前川GMが、今季の運営テーマについて説明した。「昨シーズン同様、ホストゲームのテーマに『MAKE YOUR “ORANGE”-あったかいスタジアム-』を掲げ、来ていただいた皆様に感動や元気をお届けできればと思っています。さらに今季はチームの運営テーマに『Together We Rise!!』を定めました。昨季は決勝の舞台に行きましたが、わずかな差で頂点に届かなかった。悔しい思いをしましたが、あの場所に行くためには、もう一度、オレンジアーミーの皆様の力を借り、1トライ届かなかったところを逆転して、最後国立の舞台で喜びたい。その気持ちを込め、皆さまと一緒にひとつひとつ上を目指していきたいとの気持ちを込めてスローガンに掲げさせていただきました。昨年この場で『黄金期をつくりたい』という話をさせてもらいました。黄金期をつくるには、さらにオレンジアーミーの力が必要だと、GMを始めて痛感しました。今一度、皆様のお力をお借りできたらと思います」
運営面では、22-23シーズンまで、えどりくのバックスタンドの陸上トラック部分に設置していたNISHIOシートを今季、3季ぶりに再開する。チーム関係者によると、約700の増席。常設ではないゆえ、運搬・設置費用が当然かかる。「満席でやっとペイできるかどうか」(前川GM)。それでもスタンドをより一層オレンジに染めるためにチームは決めた。多くの観客を集めることで、ホストスタジアムのスピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場)改修に向けたアピールにもなるはずだ。
江戸川区の斉藤猛区長は9月の定例記者会見で、えどりくの改修について言及した。施設利用の飽和状態、老朽化、プロ興行やバリアフリーに十分に対応できていないため、陸上競技場を別の場所に移し、えどりくを1万5000人規模の球技場に改修する方針を示したのである。今年区内におけるスピアーズの認知度を調査したところ、約10%だったという。前川GMはこう思いを述べた。
「まだまだ地域に根差した活動をしなければいけないし、地域社会に必要な存在と思ってもらうには課題がある。ただ江戸川区の人口は約70万人ですから7万人。この認知度を上げて、より多くの方にえどりくに足を運び、オレンジアーミーの一員になっていただきたい」
オレンジの輪を広げる活動を今後は強化していくという。
またこの日は新加入の安江の入団会見が行われた。D1最年長の41歳。安江は「新人の41歳、安江です。皆様が温かい、また激しい応援をしていただけたら、老体にムチを打って頑張りたいと思います」と言って場内を沸かせた。前川GMは「まさか自分より年上(1歳)の選手を獲ることになるとは思いませんでした」と冗談交じりに語ったが、「HOというのは専門職。どうしても必要だったが、素晴らしい選手に来てもらうことができた」という。
ジャパン2キャップを持つベテランの獲得は、急遽だった。当初、HOで加入予定だった外国籍選手(カテゴリーB)がケガで獲得を断念したからだ。前川GMは既に代理人を通じ、スピアーズへのラブコールを受け取っていた安江に、状況を再度確認し、入団に至った。これを持って補強は打ち止め。昨季途中にアーリーエントリーで加わった新人4人と、約3カ月プレーしたFBショーン・スティーブンソンの復帰。その意味で、このオフに新加入した選手は、安江が唯一と言ってもいい。
それについて、前川GMはこう説明した。
「ここ数年、チームの雰囲気や文化に共感し、スピアーズを選んでくれた有望な選手が増えてきた。まず彼らを成長させて、日本代表のレベルまでいってもらいたい。昨季、リーグワンに出場できなかった選手たちが、練習試合で素晴らしい準備とパフォーマンスを見せてくれた。いろいろな選手の売り込みはありましたが、彼らを信じ、成長させたいと思ったのが、補強選手が少なかった大きな理由です」
安江自身は「大学卒業してから19年目、成し遂げないのが優勝。最後は優勝して選手生命を終えたい。スピアーズが受け入れてくれた。このチームのために命をかけたいと思いました」と燃えている。
「(チームメイトに)何かを教えるというよりは、一緒に成長していきたい」
安江に昨季開幕前に話を聞いた時、「Age is just a number」(年齢は数字でしかない)という言葉を口にしていた。この日の会見でも何度も「成長」とのフレーズが出てきた。成長へのモチベーションは衰え知らずである。
「よくベテランになってくると練習時間を調整したり、強度を下げる選手もいる。僕がここまでできたのは、前チームの(グレン・)ディレーニーHCのおかげもありますが、若手と同じメニューをやり続けてきたからこそ。他の選手が“おじさん、これ以上やらないで、オレらが辞められないから”というシチュエーションをたくさんつくれれば、必然的にチーム力は上がってくる。そこを僕が泥臭くやることで、背中を見せられればと思っています」
成長とタイトルに貪欲な“新人”が、チームのカンフル剤となれるか。
会見では、ルディケHCが今季のスローガンを発表した。“根性”“気骨”“やり抜く”という意味を持つ『GRIT』だ。
「一番大事なのは人、プロセス、パフォーマンス。今いる選手をどれだけ成長させることできるか。今季のスローガンは『GRIT』。情熱と忍耐力を持って戦いたい。ただ言葉はあくまで言葉でしかない。自分たちの日々の生活、練習での振る舞いや行動がGRITに込められている」
昨季決勝までコマを進めたものの、届かなかったトロフィー。これを奪還するため、日々、貪欲に取り組み、チーム全員で成長する。これらを“やり抜く”ことで頂点に辿り着くつもりだ。
(文・写真/杉浦泰介)