のっけにクイズを。プロ野球史上、最も多くの死球を受けたバッターは誰か?
? 清原和博
? 野村克也
? 衣笠祥雄
答えは?の清原である。通算被死球数は196。清原よりも通算試合数で339も多い衣笠が161個(歴代3位)、679試合も多い野村が122個(同7位)であることを踏まえれば、清原の数字は突出している。
では、なぜ清原はこれほどまでにぶつけられたのか。好意的に解釈すれば、厳しく内角を攻めなければ抑えられないほどの強打者だったということである。
一方で彼は内角に致命的な弱点を抱えていた。それゆえの死球禍だったとも考えられる。
では、現役選手で最も多くぶつけられているのは誰か?
? 前田智徳
? 松中信彦
? 稲葉篤紀
答えは北海道日本ハムの稲葉だ。被死球数130は歴代5位。左打者では史上1位である。
率直にいって稲葉がこれほどぶつけられているとは意外だった。強打者の何よりの証である。
悲願の2000本安打まで、開幕時点で34本。1995年にドラフト3位でヤクルトに入団した時には、まさかこれほどのバッターになるとは思ってもみなかった。
驚くほどのパワーがあるわけでもなければ、とりたてて足が速いわけでもない。それでいてプロでは18年目のシーズンを迎えることができたのは、ぶつけられてもぶつけられても向かっていく強い気持ちがあったからだろう。
「僕はプロ入りした時、“10年やれればいいな”と思っていた。それが2000本ですからね。5月くらいの達成を目指したいと思っています」
昨年の暮れに会った時には、こう語っていた。
39歳の今は腕を引かずトップの位置を最初から後方に固定する無駄のないフォームで投球を待つ。腕の立つ剣豪のような構えは、それだけで一見の価値がある。
<この原稿は2012年4月16日号『週刊大衆』に掲載されたものです>
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