第181回「続けるのは楽しい、再開もなお楽しい」
ちょっと先輩のご夫妻と1年ほど前からお付合いいただいています。
Sさんは名門校でキャプテンを務めていた元高校球児です。現在は地域の子どもたちの野球クラブで監督を経て代表を務めています。ゴルフはシングル。その腕前とお人柄に惹かれて、多くの方がコースをご一緒したくて、行列ができています。2カ月に1度、不肖わたくしもラウンドしていただきます。弟子たちの間で「S道場」と呼んでいます(そう呼ばれていることを、ご本人はご存知ありませんが)。
奥様のEさんは現役卓球選手。地元のチームで汗を流しながら、今も週1回はコーチについて練習しています。審判の資格も所有し、子どもたちの大会から、国際試合まで、ボランティアで審判をしています。今年、日本で初めて開催されるデフリンピックでも審判を務めます。
Sさんとゴルフをご一緒いただいた日は、ラウンド終了後「19番ホール」と称し(古いっ)、このご夫妻とお食事をご一緒します。
さすが、お二人とも溌溂としていて、よく飲みよく食べ、そしておしゃべりします! 特にEさんは、「底抜けに明るい」を通り越して底が抜けています!
楽しい時間を過ごしていると、身体が軽くなり、ゴルフが上手くなるような錯覚に陥ります。そして、間違いなく、スポーツをもっともっと、という気持ちが大きくなります。
先日、仕事で長くお世話になっている女性・Kさんと久々にリアルでお目にかかりました。コロナ以来、ずっとリモートでしたので。Kさんは50歳を過ぎたばかり。若いです!
お子さんたちが地域でドッジボールのチームに入り、とても熱心に通っていました。応援をしているうちに、それだけでは飽き足らず、審判の資格を取得。大会には審判として参加をしていました。コロナによって、活動が停止するうちに、お子さんたちは学校を卒業。チームからも離れると、Kさんも、「なんとなく」疎遠になっていきました。数年が経つうちに、億劫になり、すっかりやめてしまったとのこと。「なんだか今更ね~」と残念そう(私からそう見えただけかもしれません)なKさん。すると、S・Eご夫妻のことがパッと浮かびました!
ねえねえ、聞いてくださいよ。野球とゴルフと卓球と審判と……。一気に話してしまいました。
「ふ~」といったんため息のような息を吐き、Kさんは言いました。
「私、やめちゃったのをきっとコロナのせいや、子ども(の卒業)のせいにしてたんかな~。本当はまたやりたいのかもしれない」
心から共感しました。
わたしは、3年前から、ゴルフとピアノとスキーを始めました(再開しました)。始めてしまえばそんなことなかったとも思えますが、再開前はとてもハードルが高く感じていました。でも、どれも、誘ってくれた人、勧めてくれた人がいたこと、本当にいい先生に恵まれ、そして師匠と呼んでもいいと言ってくださったプロがいました。そのことに、今更ながら気が付きました。
ご夫妻は、二人でスポーツ談義をする時間も多いとのこと。話してみる。答えが返ってくる。現場で試してみる。よかった、いやそうでもない、こうだった。とまた会話が続く。その姿が目に浮かびます。
つくづく、仲間がいることが、始められる・続けられる源泉になっているのだと教えられました。Kさんにとっては、それがお子さんたちだった。でもほかにもきっと、いえ絶対いるはず。
さ~その後、ドッジボールは再開されたのかな~。聞きたい、はやる気持ちを必死に抑えている私です。
<伊藤数子(いとう・かずこ)プロフィール>
新潟県出身。パラスポーツサイト「挑戦者たち」編集長。NPO法人STAND代表理事。STANDでは国や地域、年齢、性別、障がい、職業の区別なく、誰もが皆明るく豊かに暮らす社会を実現するための「ユニバーサルコミュニケーション事業」を行なっている。その一環としてパラスポーツ事業を展開。2010年3月よりパラスポーツサイト「挑戦者たち」を開設。また、全国各地でパラスポーツ体験会を開催。2015年には「ボランティアアカデミー」を開講した。2024年、リーフラス株式会社社外取締役に就任。著書には『ようこそ! 障害者スポーツへ~パラリンピックを目指すアスリートたち~』(廣済堂出版)がある。