19日、プロ野球独立リーグのベースボール・チャレンジ・リーグ(BCリーグ)が開幕する。2年目の今季は2球団増の6球団となり、上信越(群馬、新潟、長野)、北陸(富山、石川、福井)の2地区制および前後期制を導入。レギュラーシーズン後、両地区の前後期優勝の4球団によるプレーオフが行なわれ、リーグ覇者が決定する。なお、優勝チームは同じプロ野球独立リーグの先輩格である四国・九州アイランドリーグの優勝チームと独立リーグ日本一の称号をかけて「グランドチャンピオンシップ」対戦する予定だ。
(写真:昨季の開幕試合、新潟vs.富山)
 石川ミリオンスターズ、富山サンダーバーズ、信濃グランセローズ、新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ(BC)の4球団に加え、今季新たに新規参入したのは群馬ダイヤモンドペガサスと福井ミラクルエレファンツ。秦真司、藤田平と両球団ともにNPB出身者を監督に迎え、旋風を巻き起こす構えだ。2年目の4球団もメンバーがガラリとかわった。オープン戦を見ても、戦力の差はさほど感じられず、どこが優勝するかは全くわからない状態だ。混戦が予想され、昨季以上の盛り上がりを見せてくれそうだ。
 昨季の観客1試合平均は1790人。今季は3000人が目標だ。6球団は、まずは7月中旬まで行われる前期での優勝を目指す。


<石川ミリオンスターズvs.富山サンダーバーズ>

(写真:初年度、石川を優勝に導いた(左より)長冨コーチ、金森監督、中居コーチ)
「石川、鉄壁の守りは顕在」
 リーグ随一の好カードが開幕から実現する。昨季、最後まで優勝争いを演じた石川と富山だ。
 富山の猛追を振り切り、昨季、見事に初年度チャンピオンに輝いた石川は、防御率はリーグトップの3.02、エラー数もリーグ最少を誇る守りのチームだ。そのチームカラーは、今季も変わりはない。
要はやはり投手陣だ。昨季、リーグ最多の15勝、120奪三振を誇ったエース・蛇澤敦(NOMOベースボールクラブ出身)や10勝の都卓磨(茨城ゴールデンゴールズ出身)、9勝の渡辺孝矢(常総学院出身)に、今季はNPB、米国独立リーグを経験した南和彰、シダックス、西濃運輸といった名門の社会人チームでプレーした山崎猛志が加わった先発陣は、昨季以上に層が厚い。今季も他球団の打線は苦戦を強いられることになりそうだ。

「新たな攻撃スタイルを確立した富山」
 一方、富山の自慢は打線。打率(.412)、本塁打(14本)の2冠に輝いた野原祐也(国士舘大出身)をはじめ、5人もの打撃ベスト10に入る打者がズラリと並ぶ打線は、相手投手にとってはまさに脅威そのものだった。チーム打率は唯一3割を超え、得点も断トツトップの515点を叩きだしている。得点では2位だった石川が351点ということを考えれば、富山の打力がどれほど強大だったかは一目瞭然だ。
 しかし、今季は打点王の井野口祐介(平成国際大出身)が故郷の群馬へ移籍。技術、精神、両面からチームを牽引した宮地克彦(現・ソフトバンク管理部育成担当)が現役を引退するなど主力が相次いで抜け、破壊力という点での落ち込みは否めない。だが、オープン戦ではヒットエンドランなど小技をつかった攻撃を展開。昨季とは一味もふた味も違った富山野球が見られそうだ。

<群馬ダイヤモンドペガサスvs.信濃グランセローズ>

「群馬出身者の主将に期待!」
 今季、新加入した群馬は、現役時代、名手としてヤクルトの黄金時代を支えた秦監督らしく“守り勝つ”を合言葉にしている。
 打線を引っ張るのは昨季、同リーグでクリーンアップを担った元富山の井野口と元新潟の小西翔(慶応大出身)の2人だ。特に昨季、リーグトップの79打点を叩きだした井野口は主将に抜擢され、チームや地元ファンからの期待の声も大きい。

「信濃、“左腕トリオ”の台頭で投手力アップ」
 対戦相手の信濃は、リーグ一のスピードを誇る給前信吾(横浜商大高出身)がやや調整不足が否めないものの、昨季チーム一の10勝をマークした涌島稔(高知ファイティングドッグス出身)や昨季リーグトップの防御率(2.30)をマークした佐藤広樹(徳島インディゴソックス出身)といった実績のある右腕に加えて、仁平翔(茨城ゴールデンゴールズ出身)、込山勇人(松本大学出身)、高田周平(創価大学出身)と3人の左腕が台頭し、投手力は格段にアップしている。あとは打線がどこまで奮起してくれるかがカギを握りそうだ。
(写真:打線の援護が一つのポイントとなる信濃)

<福井ミラクルエレファンツvs.新潟アルビレックスBC>

「福井は韓国人バッテリーに注目!」
 現役時代には名ショートとして名を馳せ、打撃でも208打席連続無安打の日本記録(当時)や2000本安打を達成するなど阪神の主力として活躍、96年には阪神の指揮官を務めた藤田監督率いる福井は阪神ファンが多数を占める地域だけに、ファンからも熱い視線が注がれている。その福井の主戦は、韓国人バッテリーのソ・グァンユンと女房役のソン・ジョンソンだ。ソ・グァンユンは韓国・ロッテのプロテストを受け、最終まで残ったという逸材。13日のオープン戦では昨季、初代チャンピオンに輝いた石川を相手に、3回を7奪三振の好投を見せた。
 打線には香川オリーブガイナーズから移籍したジンバブエ国籍のシェパード・シバンダもいる。外国人選手の活躍が日本人選手のレベルアップを後押ししてくれそうだ。

(写真:今季も打線を引っ張る根鈴プレーイングコーチ)
「新潟、パワーある打線がチームのけん引役に」
 その福井と対戦するのは。新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ(BC)だ。新潟は昨季、18勝52敗2分で3位・信濃に15ゲーム差をつけられ、断トツの最下位に甘んじた。しかし、今季は香川オリーブガイナーズ初代監督で、2年目にはチームを優勝に導いた芦沢真矢氏を指揮官に迎え入れ、新規一転、優勝を狙う。
 練習環境も整備された。昨年まで専用施設を持たなかった新潟では、県内の施設を転々としなければならなかった。だが、今年は長岡市に本拠を構え、腰を据えて練習に取り組むことができるようになった。このこともチームには追い風となっているに違いない。

 課題は昨季同様、投手陣だ。オープン戦最終戦となった15日の群馬戦では序盤、6点のリードをもらいながらも、途中から投手陣が総崩れ。結局7−8と逆転負けした。敗因は5人の投手による14個もの四死球を出したことにある。昨季と同様、どれだけ四死球を減らすことができるかが当面の課題となりそうだ。
そんな中、頼りになるのは打線だ。昨季、本塁打部門リーグ3位タイ(10本)、打点部門同4位(59点)の根鈴雄次に加えて元広島カープの青木智史、末次峰明(岩手赤べこ野球軍団出身)と、いずれも体重100キロを超えるパワートリオが打線を引っ張る。未だ投手陣が不安定の中、この3選手の活躍がチームの勝敗を分けそうだ。


〜BCリーグ 開幕対戦カード〜
福井 vs.  新潟
(福井・敦賀市総合運動公園野球場 13時〜)
群馬 vs.  信濃
(群馬県立敷島公園野球場 14時〜)
石川 vs.  富山
(石川県立野球場 18時半〜)