第309回 那須川天心、8戦目での「世界奪取」なるか? 公開練習で自信を漂わす
ボクシング界を熱くさせる注目の一戦が間近に迫っている。
WBC世界バンタム級王座決定戦、那須川天心(1位/帝拳)vs.井上拓真(2位/大橋)が、11月24日にトヨタアリーナ東京で行われる。新設の同会場でボクシングイベントが開かれるのは今回が初めてのこと。

(写真:那須川天心の公開練習には約100人の報道陣が集まった。11月24日の試合は「Prime Video」で独占生配信される)
プロボクシング8戦目にしての世界に挑む那須川は一昨日(11月12日)に所属ジムでメデイアに練習を公開している。
ステップワーク1ラウンド、シャドーボクシング2ラウンドの後、セレックス・カストロ(WBO世界スーパーバンタム級14位/メキシコ)を相手に2ラウンドのスパーリングを披露。相手のパンチをほとんどもらわず、逆に力強い右フック、左ストレートを放ち圧倒していた。さらにミット打ち2ラウンド、最後はシャドーボクシング1ラウンドで練習を締めている。
公開練習前のメデイアとの質疑応答で、那須川は次のように話していた。
「すでに仕上がっています。相手がどんな闘い方をしてきても対応できる準備もしてきた。これまでに、いろいろなスタイルのボクシングに挑戦してきたが今回が集大成」
「捌く、という意識はない。スピードで闘う概念でもやっていない。そこをポイントと見る人が多いが、そこじゃない面白いものが見える。出たとこ勝負。どんなスタイルできても大丈夫な用意はしてきた」
「向こうはたくさんの手札を持っているが、それを逆手にとれる。ボクシングと言えば井上兄弟、その概念を壊したい」
「自分がベルトを獲った方が絶対にボクシング界が盛り上がる。そのためにも勝たないといけない」
スパーリングでの動き、そして発言からは、那須川の調整が順調であると感じられた。
ここまでの戦績は7勝(2KO)無敗。
勝ち続けてきたが、判定決着が多かったことから「パンチ力が乏しく、KOできるタイプではない」と周囲から言われ続けもした。これに対して「倒す」ことを意識して闘った時期もあったが、今回は世界タイトルマッチで内容云々は関係ない。
勝つか負けるか――。
ファンの興味、そして闘いの意義もこの一点に集約される。

(写真:公開練習前に帝拳ジム・本田明彦会長、粟生隆寛トレーナーと言葉を交わす那須川天心)
当然のことながら、那須川は勝利するために最善の策を選択する。それがスピードを活かした闘い方になることは想像に難くない。もちろん、井上陣営もそれは百も承知のはず。対策が練られる中で、那須川が作戦を遂行できるか否かが大きなポイントとなる。
これまでにWBC世界バンタム級の正規王者に名を連ねた日本人選手は7人。
ファイティング原田(第2代/1965年5月~68年2月)
辰吉丈一郎(第18、24代/1991年9月~92年9月、97年11月~98年12月)
薬師寺保栄(第21代/1993年12月~95年7月)
長谷川穂積(第26代/2005年4月~10年4月)
山中慎介(第29代/2011年11月~17年8月)
井上尚弥(第34代/2022年6月~23年1月)
中谷潤人(第36代/2024年2月~25年9月)
那須川は日本人として8人目の「黄金のバンタム」グリーンベルト・ホルダーになれるのか?
また、同タイトルの元暫定王者でもある井上拓真の公開練習は、来週に大橋ジムで行われる予定になっている。
<直近の注目格闘技イベント>
▶11月15日(土)、東京・国立代々木競技場第一体育館/「K-1 WORLD MAX 2025」-70キロ級世界最強決定トーナメントほか
▶11月15日(土)、東京・後楽園ホール/「KNOCK OUT.59」大沢文也vs.ゲーオガンワーン・ソー・アムヌワイデッーほか
▶11月16日(日)、東京・有明アリーナ/「ONE 173」キックボクシング・フェザー級王座統一戦、スーパーボンvs.野杁正明ほか
▶11月16日(日)、東京・後楽園ホール/「PROFESSIONAL SHOOTO 2025 Vol.9」世界フライ級チャンピオンシップ、関口祐冬vs.亮我ほか
▶11月22日(土)、大阪・GORILLA HALL/「PROFESSIONAL SHOOTO 2025 Vol.10 in OSAKA」石原“夜叉坊”暉仁vs.宮口龍鳳ほか
▶11月22日(土)、東京・後楽園ホール/「Fighting NEXUS vol.41」フェザー級タイトルマッチ、横山武司vs.須藤拓真ほか
▶11月23日(日)、東京・竹芝ニューピアホール/「DEEP JEWELS 51」&「DEEP TOKYO IMPACT 2025 5th ROUND」浜崎朱加vs.イ・イェジほか
▶11月24日(祝・月)、東京・国立代々木競技場第二体育館/「SHOOT BOXING 40th Anniversary S-cup×GZT 2025」海人vs.エンリコ・ケールほか
▶11月29日(土)、東京・後楽園ホール/「Krush.182」ライト級タイトルマッチ、大岩龍矢vs.篠原悠人ほか
<近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。
連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)