第827回 セ・パの確執映すDH制の歴史

facebook icon twitter icon

 今年の日本シリーズ、優勝したホークスが5試合で5本塁打をマークしたのに対し、敗れたタイガースは0本だった。両リーグの“パワー格差”が如実に表れたシリーズだった。

 

 格差解消なるか。パ・リーグから52年遅れて、セ・リーグも2027年のシーズンからDH制を採用することになった。

 

 ここでNPBにおけるDH制の歴史を振り返っておこう。パ・リーグがDH制を導入したのは75年からだ。

 

 DH制導入の背景には、両リーグの“人気格差”があった。導入前年の入場者数は、セ・リーグが約760万人であるのに対し、パ・リーグは半分以下の約350万人。海の向こうでは、入場者数の減少に悩まされていたア・リーグが73年に導入していたこともあり、それに倣ったのである。

 

 しかし、導入に際しては一悶着あった。セ・リーグから強烈な横ヤリが入ったのだ。

 

 

 以下は当時、太平洋クラブライオンズの球団代表を務めていた坂井保之の回想。

 

<投手をスイッチさせるべきかどうかの妙味、見どころが失われる、走れない、守れない、ただ打つだけの選手は、プロとしては不適格ではないか、野球は本来9人でやるもの、それを10人でやるなんて野球の邪道だ……という言い分だった。こうした批判を口で言うだけならまだしも、連盟発行の公式文書にして、広くマスコミにも配布しているのには驚いた。それも、セ・リーグ企画部長八木一郎という著名入りだ>(自著『波瀾興亡の球譜』ベースボール・マガジン社)

 

 人気面でセ・リーグの後塵を拝するパ・リーグにすれば、起死回生の一手だったわけだが、セ・リーグ関係者の目には「邪道」と映ったようだ。

 

 しかし、時代は大きく変わった。19年の日本シリーズで、ホークスに4タテをくらった直後、巨人・原辰徳監督(当時)から、「(セは)DH制で相当(パに)差をつけられている」という発言が飛び出した。これがセのDH制導入の呼び水となる。パワー格差は解消できるのか。

 

<この原稿は2025年12月15日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 

 

 

facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP