フェザー級王者シェイドゥラエフ、朝倉未来に完勝 女子スーパーアトム級は女王・伊澤が因縁のRENAに一本勝ち 〜RIZIN〜

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 31日、格闘技イベント『RIZIN師走の超強者祭り』がさいたまスーパーアリーナで行われた。メインのフェザー級タイトルマッチは王者のラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)が朝倉未来(JTT)を1ラウンド2分54秒TKO勝ち。2度目の王座防衛に成功した。女子スーパーアトム級タイトルマッチは王者の伊澤星花(Roys GYM/JTT)がRENA(SHOOTBOXING/シーザージム)を2ラウンド1分58秒一本勝ちで3度目の防衛。ライト級とバンタム級のタイトルマッチは、イルモフ・ノジモフ(ウズベキスタン)とダニー・サバテロ(ATT/アメリカ)がいずれも王者を破って王座を奪取した。フライ級のベルトを懸けた同級トーナメント決勝は扇久保博正(パラエストラ小岩)が元谷友貴(ATT)に判定勝ちし、RIZINのベルトを初めて腰に巻いた。

 

 10周年の締めくくりは、朝倉未来ファンにとって残酷な結末となった。試合終了のゴングが打ち鳴らされた瞬間、足早に会場を後にする者、席で呆然としている者もいた。

 

 メインイベントは2018年8月に参戦以降、RIZNの顔として興行を引っ張ってきた朝倉未来がリングに立った。対戦相手は朝倉未来も「過去最強」と位置付ける最強王者のシェイドゥラエフ。朝倉未来にとっては3度目のフェザー級タイトルマッチだ。

 

 煽り映像は、朝倉未来が手紙を書くかたちで描かれた。ファンや家族などへのメッセージが紹介された後、<最強のチャンピオンへ>と映し出され、<1Rから殺し合いましょう>と宣戦布告。<遺書とかではないです>とも続いたが、朝倉未来の覚悟の想いが見て取れた。

 

 日本とキルギスの国歌がさいたまスーパーアリーナに響き渡った後、会場の「未来コール」を背に、朝倉未来は王者と拳を重ねた。左ハイ、ミドルに会場が沸く。「ストライキングは結構上手いと感じた」とシェイドゥラエフ。しかし、ここからは一方的な展開となった。

 

 シェイドゥラエフはロープ際に追い込むとパワースラムのように朝倉未来を叩き付ける。レスリングをバックボーンとする王者は、さらに反り投げを連発。「観客を盛り上げようと思った」という余裕ぶりだ。圧倒的なパワーを見せつけながら挑戦者の心を折りにいく。

 

 最後はグラウンドでバックを取ると、パンチの雨を降らせた。“キルギスの犬鷲”の異名を取るシェイドゥラエフ。「朝倉選手が立つかもしれないと思い、打撃を続けた」。猛禽類が獲物を仕留めるが如く容赦ない攻撃だった。様々な角度から様子を窺っていたレフェリーが試合を止めた。

 

 これで2度目の防衛に成功。「簡単な試合だった」と傷ひとつない顔で振り返ったシェイドゥラエフ。今後については「相手を私は選ばない」との姿勢を示し、「グローバルな団体のトップファイターと戦い、最強を証明したい」と語った。

 

 敗れた朝倉未来は担架で運ばれ、会場から救急車で搬送された。榊原信行CEOによれば「意識はある」とのこと。吐き気があって精密検査等を行うため救急車を呼んだという。

 

 今大会唯一組まれた“ジョシカク”は女子スーパーアトム級タイトルマッチ。試合前から舌戦が繰り広げられた。

 

 さいたまスーパーアリーナでのRIZN旗揚げ戦に出場したRENA。無敗の女王として君臨する伊澤。“ジョシカク”の核としてのプライドが、リング外でも火花を散らした。

 

 先手を取ったのは下馬評では不利と見られていたRENAだ。スタンディングでの左フックが炸裂。伊澤からダウンを奪う。まさかの一撃に会場は沸いたが、絶対女王はここからが冷静だった。すぐに立たず猪木アリ状態から、RENAに蹴りを当てる。「下になった時の蹴り上げは得意。時間を稼ぐ狙いもあった」。回復を図った。

 

 一方のRENAはここで畳み掛けたかったものの「何発かパウンドも当てたが十字のセットアップもあったのでいけなかった」と伊澤の寝技を警戒したため、仕留めにいくのを迷った。

 

「あれで目が覚めた」と伊澤。「ダウンしなければスタンディングでやり合っていた可能性もある」。自身の強みであり、相手の弱点でもある寝技を生かした戦いにシフトした。

 

 再びスタンディングの状態で向かい合うと、伊澤はコーナー際でテイクダウンを奪いにいく。グラウンド勝負に持ち込み、マウントでパウンド。バックチョークで相手の体力を削る。ここはRENAがゴングに救われた。

 

 第2ラウンドも伊澤は自身のフィールドにRENAを引き込む。タックルで組み付き、踏ん張ろうとする相手をグラウンドに。ノースサウスの構えから「2つ3つあったうちの一番決めやすかった」というギロチンチョークで。RENAがタップして決着はついた。

 

「いつでも誰でも試合する」と伊澤。榊原CEOは「若くて未来を担う選手も生まれている。海外にもたくさんいる。“これは強い”という選手からもラブコールが来ている」と語り、「景色も変わる」と展望した。

 

 旗揚げ興行から10年間、数々の名勝負の舞台となっていた、さいたまスーパーアリーナは大規模改修に入るため来年1月13日より休館となる。期間は1年以上。この“2026年問題”について、榊原CEOが「1年前から交渉してきた」というバンテリンナゴヤドームで大晦日興行を打つ。舞台は武蔵から尾張へ。新たな歴史は刻まれるのか。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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