元横綱・白鵬氏、夢への一歩 〜白鵬杯〜

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 8日、第16回世界相撲大会白鵬杯がTOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京)で行なわれた。2日間かけ、男子9部門に加え、新設された女子14部門と成人の部男女を実施。約20カ国・地域から約1700人以上が参加した。

 

 都心は積雪5cmとなった日曜日。強烈な寒波が襲っていた。江東区のトヨタアリーナ東京には熱のこもった試合が繰り広げられた。両国国技館から場所を移したことで復活した女子の部、そして新設した成人の部が開催された。主催者である大相撲第69代横綱の白鵬翔氏は閉会後、「たくさんの稽古と努力でこの土俵に立ったと思います。見ていて感動しました。来年もやっていきますので今後とも宜しくお願いいたします」と挨拶した。

 

 相撲の2036年夏季オリンピックでの実施競技入りを目指す白鵬氏は「女子と成人の国際大会が増えていかなければオリンピックというものはない。第一歩として非常に大きな取り組み」と力強く語った。

「本当にいい取組が多くて、集まった350人の女の子たちに未来があるんだな、と。今日は雪です。雪と雨が降れば、地が固まる。縁起のいいものがあった。もう道が決まったなという気持ちで見ていた」

 

 白鵬氏が掲げる世界相撲グランドスラムに向け、海外招待選手によるエキシビションマッチを行なった。エディ・ジョー・ウィリアムズ氏(オーストラリア)、バットマグナイ・エンクトゥフシン氏(モンゴル)、ヤルデン・ヤトコヴスキー氏(イスラエル)、クサノフ・クスニディン氏(ウズベキスタン)が参加。総当たりの勝者がエストニア出身の元大関・把瑠都ことカイド・ホーヴェルソン氏に挑戦した。結果はエンクトゥフシン氏に胸を貸したホーヴェルソン氏が、意地を見せて勝利。最後は出場者全員で笑顔で記念撮影に応じた。

 

 審判役として土俵下でエキシビションマッチを見守った白鵬氏は、「目指せ四大大会、グランドスラム構想の一部としてやった。下から見ていても非常に緊張感があった」と感想を述べた。今秋から各国を回り、出場選手のスカウトや育成に取り組む考えも示し、「来年はもっと大きなものを見せたい」と意気込んだ。

 

 今回初開催となったトヨタアリーナ東京という場所も今後の可能性を秘めている。男子プロバスケットボールリーグのB.LEAGUEのアルバルク東京の本拠地で、日本発のプロダンスリーグのD.LEAGUEのメイン会場。プロスポーツ興行が開催される舞台をアマチュア相撲の聖地にするという狙いもある。白鵬氏は2日間をこう振り返った。

「5つの土俵を置くというのは、アマチュア相撲や国際相撲では初めてのことだと思う。トヨタアリーナは改めて素晴らしいアリーナだと感じました。今後、相撲の国際大会をここでやっていきたい。女子の大会がなければオリンピックは見えてこない。両国国技館で10年間開催してきましたが、女の子たちから『私も大会に出たい』というたくさんの声があった。今日(8日)はその声に応えることができた日。胸がいっぱいです」

 

 白鵬氏の夢、オリンピック競技採用に対し、エキシビションマッチの参加者もエールを送った。世界相撲連盟の理事を務めるホーヴェルソン氏が「相撲がオリンピックスポーツになるように、みんなでひとつになって目指すものだと思います」と言えば、世界の力自慢が集まる番組『World's Strongest Man』4度出場のウィリアムズ氏は「横綱(白鵬氏)の夢に感動した。私もできるだけ協力したい」と続いた。モンゴル相撲で大関格のエンクトゥフシン氏は「オリンピックになったら私も参加したい。また白鵬杯が成年の部で世界大会を開催したら、モンゴル代表として出たい」と話した。

 

 白鵬氏の夢は、子どもたちの夢にも繋がる。女子小学生6年生軽量級で優勝した永井千麗さん(柏相撲少年団)は「女子の部ができ、うれしいですし、感謝しています」と言い、こう続けた。

「今回優勝できてうれしいですし、頑張って良かった。また来年も出場したいと思います」

 小・中学生のみならず成年女子の部が創設されたことで、白鵬杯が女子相撲の選手が目標とする舞台になる可能性もある。今大会成年の部・軽重量級で3位に入った慶應義塾大学相撲部の長谷川理央さんは大会前、「たくさんが注目が集まる大会に改めて女子部門が設置された。女の子たちも頑張っていたら、注目してもらえる、認めてもらえるということで、次、頑張ろうという気持ちになると思う」と話していた。彼女自身、白鵬杯の第3回大会で男子に混じって3位に入った経験を持つ。白鵬杯の経験を糧に、2024年には世界選手権女子中量級(73キロ未満)を制した。今大会の出場者の中からも、世界に飛び出していく女子選手が現われる可能性だって十分にある。

 

 16回目にして新たな一歩を踏み出した白鵬杯。白鵬氏の夢に近付く、確かな一歩となった。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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