WBC連覇かかる侍ジャパン、井端監督の起用法に注目
ミラノ・コルティナオリンピックが閉幕しました。日本選手団の活躍が目立ちましたが、私はフィギュアスケートペアで金メダルを獲得した“りくりゅう”こと三浦璃来選手&木原龍一選手が印象に残っています。個人戦のショートプログラムで5位となりましたが、そこからの逆転劇に2人の精神力の強さに加え、チームワークの良さが見て取れました。何よりフリースケーティングが素晴らしい演技だった。とても感動しました。
女子スノーボードの村瀬心椛選手は負けん気の強さが前面に出ていました。ビッグエアで金メダルを手にしましたが、スロープスタイルでは銅メダル。素晴らしいパフォーマンスだったんだけど、金メダルは19歳の深田茉莉選手。「今度は絶対金を獲る」と涙ながらに語っている様子に気持ちの強さがうかがえました。ああいう勝気な点はスポーツ選手に必要だと思いますね。
さて、プロ野球は2月にキャンプインし、各チームがオープン戦をこなしています。毎年12球団を楽しみにしていますが、この時期は外国人選手を含めた新戦力の見極めがポイントとなってきます。私が今注目しているのは古巣・広島カープのルーキーコンビです。
ドラフト1位の平川蓮選手と3位の勝田成選手。近畿大学出身の内野手・勝田選手については、去年の大学ジャパンの合宿で観た時から気になっていました。身体は小柄ですが、守備も足もいい。バッティングもコンタクト率が高く三拍子揃った将来が楽しみな選手です。仙台大学出身の外野手・平川選手は紅白戦から8試合連続安打を放つなど、スイングがいい。チームは転換期に来ていますし、レギュラーを掴むチャンスは大いにあると思いますよ。
同じくキャンプ中で、来るWBC本番に向け、実戦を積んでいるのが侍ジャパンです。プールCで3月6日からチャイニーズ・タイペイ、韓国、オーストラリア、チェコの順に戦います。報道では日本を優勝候補に挙げていますが、第1ラウンドの相手も侮れません。チャイニーズ・タイペイのピッチャーがいいと聞いています。韓国はロサンゼルス・ドジャースのキム・ハソン選手含めメジャーリーガーを揃えている。両チームと対戦する際には、先制点をしっかり取っていかないと、終盤に相当なプレッシャーがかかってしまう。0対0、1対1、終盤1点リードの場面では、勝負がどちらに転ぶかは、わかりません。
侍ジャパンのロースターが発表されました。投手陣は山本由伸投手、菊池雄星投手らメジャーリーガーに加え、千葉ロッテの種市篤暉投手ら国内組も選ばれました。中でもオリックスのサウスポー宮城大弥はいいですね。三振が取れる大きなカーブ、スライダーとチェンジアップンがある。前回のWBCで投げている経験もあるので、期待は高いです。
熾烈な外野手争い
あとは抑えを誰にするかというのもポイントです。今回も球数制限があり、先発完投というかたちはおそらく望めない。MLBで経験しているメジャーリーガーたちは別ですが、ピッチクロック、ピッチコムという今回加わった新ルールにもアジャストしなければならない。そういうところに早く慣れ、集中できるようなピッチャーが必要。いち早く適応していくことが大事じゃないかなと思います。
たとえ状態が悪くても本番に強いピッチャーをチョイスしていくしかない。やはり信頼がカギを握るはずです。強化試合の内容が悪くても、WBCではやってくれる。そういう信頼関係を監督と築けているかどうか。監督から信頼を受けて起用されれば、選手たちもその期待に応えようとするので、ピッチャーを出し惜しみしないことが重要だと感じています。
あとは、スターティングメンバーを固定していくのか。阪神で主軸を打つ佐藤輝明選手、森下翔太選手をスタメンで使うのか、それともベンチに置くのか。そして彼らがその時、どういう反応をするのかに、個人的には注目しています。彼らもプロとして割り切ると思いますが、代打中心の起用というのも十分にあり得る立ち位置です。
外野手は鈴木誠也選手が有力。残り2枠を近藤健介選手、吉田正尚選手、森下選手、あるいは佐藤選手が争う。俊足で代走としてベンチに置いておきたい周東佑京選手を除いても、誰か1人は外れる。井端弘和監督も頭を悩ませているかもしれませんね。佐藤選手は昨季阪神でサードを守りましたが、クリーンアップ候補の村上宗隆選手、岡本和真選手のどちらかがサードを守る可能性が高いと思われます。
吉田選手や森下選手は勝負強いので、代打の切り札としてベンチに置くのも手かもしれませんね。吉田選手は前回のWBC準決勝で同点3ランを叩き込むなど抜群の勝負強さを発揮しました。森下選手は初球から積極的にフルスイングする思い切りの良さがある。それでいて球の見極めも上手い。大学ジャパンに選ばれたこともあるので、国際試合を経験していることも強みだと思います。
最後にセガサミー硬式野球部についてもお話しさせていただきます。大卒3年目の尾崎完太が今年はいいと聞いています。とにかくチームの中心になって、今年を最後だと思ってプロを目指して欲しいですね。都市対抗の予選で完投、完封するようなピッチングを期待しています。それでは、今月はこのへんで。
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<西田真二(にしだ・しんじ)プロフィール>
1960年8月3日、和歌山県出身。小学3年で野球を始める。PL学園高、法政大学を経て、83年にドラフト1位で広島カープに入団。高校時代は78年夏にエース&4番として甲子園優勝に貢献した。大学時代は5度のベストナインに輝くなど、3度のリーグ優勝に導いた。プロ入り後は左投げ左打ちの外野手として、91年のセ・リーグ優勝に貢献するなどカープ一筋13年で現役を終えた。現役引退後は野球解説者を経て、カープ、四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の愛媛、香川などで後進を育成。20年より6年間、セガサミー野球部の監督を務め、都市対抗野球大会4度、社会人野球日本選手権大会に2度出場に導いた。26年からは野球解説者に復帰した。