佑ちゃんどうした!?
 北海道日本ハムの斎藤佑樹がもがき苦しんでいる。
 7月29日、オリックスに4回途中でKOされ、監督の栗山英樹から2軍落ちを命じられた。故障以外での登録抹消はプロに入って初めてのことだ。

 困ったことに佑ちゃん、2軍でもパッとしない。2軍で非公式戦を含む4試合に登板し、0勝4敗、防御率6.65(9月3日現在)。一時は食事不振に悩まされ、“激ヤセ”したという情報もある。

 開幕戦を白星で飾り、4戦目のオリックス戦でプロ初完封を記録した時には「今季は2ケタ勝つだろう」と誰もが思ったに違いない。
 しかしプロの水は甘くない。6月6日の広島戦を最後に白星から見放され、以降は出れば打たれの繰り返し。17試合で54失点はリーグワースト。ついには2軍暮らしも1カ月を越えた。

 このまま埋もれてしまうようなタマではないと思うが、立ち投げのようなフォームを見ていると復活できるか心配である。
 気になるのは左ヒザの突っ張りだ。もう少し沈み込まないと、ボールに体重が乗らない
のではないか。

 その点を懸念する評論家は少なくない。昨年まで日本ハムの監督をしていた梨田昌孝もそのひとり。
「左ヒザが突っ張ると体重移動がスムーズにできない。必然的にリリースポイントも手前になる。手でかくようなフォームでは腕もしなってこないですね」

 昔を懐かしんでも仕方がないのだが、高校(早実)時代のフォームには躍動感があった。だから低めのボールがよく伸びたのだ。田中将大(東北楽天)と投げ合った夏の甲子園決勝では、140キロ台後半のストレートがアウトローにビシビシ決まっていた。
 6年前の夏を振り返って本人も「最強の18歳」と語っていた。
 失った時間を取り戻すことは容易ではない。しかし、やり直すことはできる。どうすれば、躍動感あふれる高校3年時のフォームは甦るのか。苦悩の先に光があることを願っている。

<この原稿は2012年9月17日号の『週刊大衆』に掲載されたものです>

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