第832回 バースとブーマー 「殿堂」の明暗
知将・栗山英樹が野球殿堂入りを果たしたエキスパート部門の4位にブーマー・ウェルズの名前があった。
票数は栗山の約半分の61票。2位は長池徳士と岡田彰布。2位以下は全員が規定投票数に届かなかった。
2008年にエキスパート部門が設けられて以降、外国出身者としてはアレックス・ラミレスとランディ・バ―ス(ともに23年)の2人が選出されている。
バースは2年連続三冠王(1985、86年)を達成。85年には阪神の21年ぶりのリーグ優勝、2リーグ分立以降初の日本一に貢献し、“史上最強の助っ人”の異名をほしいままにした。
日本でプレーしたのは6シーズンと短いが、バースが殿堂入りせずして、誰が殿堂入りするのか。そう言っても過言ではないだろう。
もうひとりのラミレスは19年に日本に帰化したため、正式には日本人としての選出だった。
彼の殿堂入りも当然だ。ヤクルト、巨人、横浜DeNAの3球団でプレーし、NPBで通算2017安打を放った。タイトルも首位打者1回、本塁打王2回、打点王4回。サービス精神旺盛で、ファンには“ラミちゃん”の愛称で親しまれた。16年から5シーズンにわたってDeNAの監督も務めた。
さてブーマーである。83年に阪急に入り、84年には外国出身選手初の三冠王に輝いた。
入団当初は同年入団のバンプ・ウィルスの方が「日本野球向き」と言われたが、彼は2年で日本を去った。
ブーマーにあってバースやラミレスになかったもの。それは守備力である。身長2メートル、体重100キロの巨体ながら、動きは俊敏でグラブ捌きも抜群だった。ファーストで2度、ゴールデングラブ賞を受賞している。
バースとは83年来日の、いわば同期生。彼に見劣りしない成績を残しながら、印象度はまるで違う。投票数は当時の阪神と阪急の人気格差を、そのまま反映しているようにも思われるが、うがち過ぎか。
<この原稿は2026年2月16日-23日号『週刊大衆』に掲載されたものです>
