二宮: 高橋さんはイタリアで2シーズンプレーしています。イタリアのお酒といえば、やっぱりワイン。おいしいワインがたくさん味わえたのでは?
高橋: それが体質的にワインが合わなくて、あまり飲めなかったんです……。でも周りの選手は皆、お酒好きで、普通に昼間からワインを飲んでいましたよ。

 おにぎりでゲン担ぎ?

二宮: それは試合のある日も?
高橋: さすがに当日は飲みませんけど、遠征で試合前日に現地に到着したら普通に夕食時にはお酒が出てくるのでビックリしました。普段も翌日が午後からの練習だったりすると、もう皆、ワインを空け始める(笑)。

二宮: 日常的にお酒を楽しむのがイタリアの文化なんですね。
高橋: そうなんです。お酒が入っても翌日は皆、普通にプレーしています。私の場合、ワインが合わないので、チームメイトから「水だよ」と渡されて飲んだらグラッパだったことがありましたね(笑)。飲みやすいので、どんどん注いでもらっているうちに楽しくなってきて完全に酔っぱらってしまいました……。

二宮: グラッパは食後酒ですけど、アルコール度数は高いですからね。
高橋: でもイタリアだと、食後のデザート感覚。次の日、チームメイトに会ったらヘンな帽子やメガネを着けた写真を撮られていて、めちゃくちゃ笑われました(苦笑)。なんか廊下を匍匐前進したり、いろいろやらかしていたみたいです。

二宮: 翌日はちゃんとプレーできましたか?
高橋: 次の日は午後からの練習で、「来なくていいよ」って皆から言われましたけど、休まずに行きました。お酒が入っていたせいか、いつもよりは異様にテンションが高かった(笑)。後にも先にも、あれほど酔っ払った思い出はないですね。

二宮: 日本ではゲンを担いで試合前に決まったものを食べたり、飲んだりする選手もいますが、イタリアでは?
高橋: イタリアではエスプレッソを飲む選手が多いですね。カフェインでテンションを上げるのかどうか理由は分かりませんが、エスプレッソを飲んでから試合に臨む。私が明太子おにぎりと梅おにぎりを食べるようなものですかね。食べたからといって勝てるわけではありませんけど、いつも食べ慣れているし、好きなので必ず試合前に用意していました。

二宮: 今回、『ラ・ソラシド』では高橋さんの地元、山形県産の食材をたくさん使ってメニューを用意していただいています。だだ茶豆、パプリカ、オクラ、庄内牛にヒラメ……。山形は山の幸も海の幸も豊富ですね。
高橋: 意外と地元の人間でもあまり食べたことがない山形の食材が多くて新たな発見があります。焼酎を飲みながら、おいしい食事もできて、いい対談ですね(笑)。

 ブロッカーの小指を狙え!?

二宮: 「那由多(なゆた)の刻(とき)」のソーダ割りは食事との相性もいいですから、ぜひ合わせて楽しんでみてください。今までの話を聞いていると、イタリアでの経験がバレーボール人生の中でも貴重だったことがよく分かりました。
高橋: そうですね。日本と違ってクラブが地域に密着していて、とても地元の人たちは熱狂的です。私がいたビチェンツァは決して大きな街ではありませんでしたが、スポンサーもたくさんついていて、ユニホームのお尻の部分までロゴが貼ってある。地元のテレビ番組ではチームのことがよく取り上げられて、皆が選手のことを知っているんです。街を歩いていると、全く知らない人が「チャオ、シン(高橋さんの愛称)」と声をかけてきてハグしてくる。男の人でも平気で近寄って、キスまでしてきました(笑)。最初は戸惑いましたけど、それだけ応援してくれるんだから頑張ろうという気持ちになりましたね。

二宮: 高橋さんは身長170センチとバレーボール選手としては決して大きくない体ながら全日本の中心で活躍しました。相手との体格差を補ったのがテクニック。以前、話を聞いていて一番、衝撃的だったのはスパイクでブロッカーの小指をめがけて“脱臼させるつもりで打つ”と。一瞬のプレーでそこまで狙えるのかと感心しました。
高橋: アハハハ。女子相手ではないのですが、練習試合で男子とやった時には本当に小指を脱臼させちゃったこともあります(笑)。今までで2、3人くらいかな。まぁ、小指がちょっと曲がる程度だから、すぐ元に戻せますよ。

二宮: いやいや、聞いていて背筋が寒くなりました(笑)。
高橋: だって、女子との試合なのにムキになってブロックで止めようとしているんですよ。そこまで本気で来るなら、こちらも意地になりますね。“トップレベルの技術を見せてやる”って(笑)。

二宮: イタリア以外にもたくさんの国で試合をしていますが、印象に残っている出来事は?
高橋: 中国ではいろいろありましたね。たとえば体育館の床。フロアが完全にコンクリートで、ジャンプすると衝撃でめちゃくちゃヒザが痛くなりました。それから電光掲示板が試合中に爆発したこともある(笑)。たぶん配線がショートしたんでしょう。ボンと突然音がして、煙が出始めました。

 日頃からバレー人気を高めたい

二宮: そういった技術や経験をぜひ後輩たちに伝授してほしいものです。今後は指導者の道も?
高橋: 現時点で指導者は考えていないですね。どこかのトップチームを教えるよりも、全国各地を回ってみたいと考えています。子どもたちや、ママさん、ご高齢の方にバレーボールの教室を通じて体を動かすことの大切さを伝えたいんです。

二宮: 今回の五輪メダルで、またバレーボールに対する人気も回復することが予想されます。その普及の部分に力を注ぎたいと?
高橋: メダル効果はあるでしょうね。バレーボール教室のオファーも増えるんじゃないかと期待しています。子どもたちにバレーボールを教えると、とても素直なんです。だから教えていて、すごく楽しい。かえって私のほうが勉強になります。なるべく子どもたちが1本でも多くボールに触れられるよう、全員にボールを打ってあげるように心がけています。

二宮: 私は常々言っていますが、バレーボールが本当の復活を遂げるには、高橋さんがイタリアで体験したように地域密着で底辺を拡大していく方法が大事だと感じます。底辺が広がらなければ、ピラミッドの頂点は高くならない。日常の地道な普及活動こそ最も重要なのではないでしょうか。
高橋: バレーボールはいつも五輪や大きな大会があると、その時だけは盛り上がる。でも、大会が終わって、普段のリーグ戦に戻ると、あまり盛り上がらない。それも寂しい話ですよね。もう少し日頃からバレーボールの人気を高める取り組みをしなくてはいけないし、私もそのお手伝いができればと考えています。

二宮: 「那由多(なゆた)の刻(とき)」と一緒に、今回は「マヤンの呟(つぶや)き」もご用意しました。イタリアで酔っ払ったグラッパ並みのアルコール度数ですが(笑)、いかがでしょう?
高橋: おいしいです。焼酎というよりもウイスキーみたいな感覚ですね。口の中でポワーンと広がる感じがします。

二宮: バレーボール教室に出かけたら、その土地土地のおいしいお酒や食事との出会いも楽しみですね。
高橋: アハハハ。体動かして、食べて、飲んで、健康的な生活が送れそうです。そう言いながら飲んでいると、酔っ払ってしまいそうですが……(笑)。調子に乗りやすいタイプなんで、ついつい飲み過ぎないように気をつけます!

(おわり)
※9月26日発売の『自遊人』10月号では、この対談の特別編が掲載されています。こちらも合わせてお楽しみください。

<高橋みゆき(たかはし・みゆき)プロフィール>
1978年12月25日、山形県生まれ。小学1年からバレーボールを始め、山形商業高を経て、97年にNECレッドロケッツへ入団。身長170センチと小柄ながら、相手のブロックアウトを狙う巧みなスパイクで頭角を現す。00年より全日本入り。04年のアテネ五輪、08年の北京五輪に出場を果たす。05年からはイタリアに渡り、セリエA・ヴィチェンツァで2シーズンプレー。北京五輪後は競技の第一線から離れ、バレーボール教室やメディア出演など幅広く活躍。昨季、2年半ぶりに競技復帰し、トヨタ車体クインシーズ入り。今年4月に退団し、現役生活を締めくくった。
>>オフィシャルブログ


★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

長期に渡り、樫樽の中で貯蔵熟成した長期貯蔵の本格そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」。豊かな香りとまろやかなコクの深い味わいが特徴。国際的な品評会「モンドセレクション」2012年最高金賞(GRAND GOLD AWARD)受賞。

提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
LA SORA SEED FOOD RELATION RESTAURANT
(ラ・ソラシド フードリレーションレストラン)

 山形県屈指の自然派レストラン「アル・ケッチァーノ」の奥田政行さんとap bank/kurkkuの「Food Relation Network」プロジェクトが実践の場として展開するレストラン。日本の優れた食材を生産者の想いと共にひと皿ごとに表現していきます。ランチは野菜をふんだんに食べていただくビュッフェスタイル、ディナーは“日本”を感じて頂けるコースをご用意し、東京スカイツリーを一望できる最上階でお楽しみいただきます。

東京都墨田区押上1-1-2東京スカイツリータウン・ソラマチ31F
TEL:03-5809-7284
営業時間:11:00〜23:00(定休日なし)

☆プレゼント☆
 高橋みゆきさんの直筆サイン色紙を長期貯蔵本格そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」(720ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。
 また今回は対談店舗にちなみ、「ソラシドエア」から特製モデルプレーン(BOEING737-800、130分の1サイズ)を合わせて差し上げます。ご希望の方はより、本文の最初に「高橋みゆきさんのサイン色紙希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選は発表をもってかえさせていただきます。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、高橋みゆきさんと「那由多(なゆた)の刻(とき)」を楽しんだお店の名前は?



 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)
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