二宮: 1988年ソウル以来、6大会ぶりに準々決勝を突破し、準決勝ではブラジルと対戦しました。ブラジルには、昨年のワールドカップでストレートで勝っています。勝てない相手ではないと思って見ていたのですが、結果はストレート負けでした。
竹下: ブラジルは、予選では韓国にストレート負け、アメリカにも負けて、グループ4位と決勝トーナメント進出ギリギリだったんです。ところが、準決勝でのブラジルは、予選の時とはガラリと変わっていました。とにかく強かった。ここ1、2年は少し衰えが見えていたので、久しぶりにあんなに強いブラジルを見たというくらいの完敗でした。

二宮: やはりここぞという時には強さを発揮すると。
竹下: 予選では、準々決勝にさえ行けるかどうかのチームだったのに、決勝トーナメントになった途端に、ガラッと変わっていましたからね。いったい、何なんでしょうね……。米国との決勝でも1セット目は25−11と完全に米国ペースだったのに、2セット目に入ったら一転、ブラジルペースになって、結局は優勝しちゃいましたから。ブラジル特有の強さがあるんでしょうね。

二宮: この時点で最大の目標としていた金メダルは消えたわけですが、次の3位決定戦に向けて、気持ちを切り替えるのは大変だったのでは?
竹下: 負けた以上は、自分たちにその理由があるはずなので、そういう意味ではすごく悔しかったです。でも、次の3位決定戦はそれこそメダルが獲れるか獲れないかの大一番でしたので、気持ちの切り替えはスムーズにできました。とにかく、メダルを獲って帰りたいという気持ちが強かった。

 成熟度の違いが出た日韓戦

二宮: その3位決定戦では韓国と対戦しました。1セットも落とさずに、ストレート勝ち。日本のいい点が全て出ましたね。
竹下: 点数うんぬんというよりも、自分たちのペースでバレーができていたかなと思いますね。

二宮: 逆に韓国の方が、スタートからバタバタしている印象を受けました。
竹下: エースのキム・ヨンギョン選手はコンスタントに力を発揮していましたが、他の選手とあまりうまくかみ合っていなかったような感じでした。

二宮: チームとしての成熟度は日本の方が高かったと?
竹下: そうですね。その差が大事な場面で出てしまったんだと思います。

二宮: 今回のロンドンオリンピック全体的に見ても、日本は競ったゲームでも慌てるようなことはなかったですし、点差が離れても、決して諦めずに全員でつないで追いつこうという粘りが見られました。
竹下: 大会前にしっかりとディフェンスの練習をしたことが良かったのだと思います。普段はあまりレシーブに重点を置かないミドル線の選手も、時間を費やしてレシーブ練習をしていましたし、サイド線の選手もすごく頑張ってくれたおかげで、日本らしいしつこいバレーができました。

(つづく)

竹下佳江(たけした・よしえ)
1978年3月18日、福岡県生まれ。小学校3年生からバレーボールを始める。不知火女子高(現・誠修高)3年時にはユース代表に選出され、世界ユース選手権で優勝した。1996年、NECに入団。翌年、全日本代表に初選出される。2000年シドニー五輪最終予選からレギュラーに定着した。2004年アテネ五輪では5位入賞を果たす。08年北京五輪には主将として出場した。10年の世界選手権で銅メダル獲得に貢献。今夏のロンドン五輪では28年ぶりのメダルに輝いた。JTマーヴェラスでも司令塔として活躍し、2010/11V・プレミアリーグ初優勝に大きく貢献した。今年9月末で退団。

2012/13V・プレミアリーグ、男子は11月3日(土)開幕!
 JTサンダーズは「自考改革」をチームスローガンに掲げ、ユニフォームもリニューアル! 入れ替え戦に回った昨シーズンの雪辱を果たすとともに、悲願の初優勝を目指して心機一転、リーグ戦に挑みます。

<開幕からの試合日程>
11月3日(土)14:00 vs 鹿沼総合体育館(栃木)
11月4日(日)14:00頃 vsFC東京 太田市運動公園市民体育館(群馬)
11月10日(土)14:00 vs豊田合成 岡崎中央総合公園総合体育館(愛知)
11月11日(日)15:00頃 vsパナソニック 岡崎中央総合公園総合体育館(愛知)
11月17日(土)16:00頃 vs東レ 福山市緑町公園屋内競技場(広島)
11月18日(日)15:00頃 vsサントリー  福山市緑町公園屋内競技場(広島)
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(構成・斎藤寿子)
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