ロンドンでの女子バレーボール“火の鳥ジャパン”の快挙は今も記憶に鮮明だ。準々決勝では五輪史上初めて中国を破り、3位決定戦では韓国にストレート勝ち。アジアのライバル勢を倒し、ロサンゼルス五輪以来、実に 28年ぶりのメダルを獲得した。その原動力となったのが、 JTマーヴェラスの主力として活躍してきた竹下佳江(9月末で退団)と大友愛だ。そこで二宮清純が2人にロングインタビューを敢行。五輪での壮絶な戦いの舞台裏に迫った。

二宮: 竹下さんはアテネ、北京に続いての3大会連続での五輪出場でした。3度目の正直で悲願のメダルを獲得されたわけですが、3位決定戦で韓国に勝った瞬間というのはどんな気持ちでしたか?
竹下: 最後の2点はどうやって取ったか覚えていないくらい、試合に集中していました。メダル獲得が決まった瞬間は、言葉にすると簡単に聞こえてしまいますが、「嬉しい」のひと言に尽きます。

二宮: 走馬灯のように、これまでのことが頭に浮かんだのでは?
竹下: そうですね。苦しいことの方が多かったので、ほっとしましたし、「よくここまでやってきたな」という気持ちが強かったですね。

二宮: 北京五輪直後は「代表引退」ということもおっしゃっていました。そこから4年間続けてきたわけですが、今振り返るといかがですか?
竹下: 北京五輪後、新しく就任された眞鍋政義監督といろいろと話をする中で、「とにかく1年、1年やってみよう」と。そこからのスタートでしたが、本当にやり続けてきてよかったなと思います。

 中国に勝った“攻め” の気持ち

二宮: アトランタ、アテネ、北京とここ最近の五輪では、いずれもグループリーグの初戦を落としていますね。しかし、今大会ではアルジェリアにストレート勝ち。相手が格下であったにせよ、初戦を取ったというのは大きかったのでは?
竹下: 確かに初戦を取ったというのは、勢いをつけるためにも良かったと思います。でも、私たちにとって一番大きかったのは、準々決勝が予定されていた8月7日だったんです。日本はアトランタ、アテネ、北京と過去3大会は、そこでいつも破れてメダルを逃してきました。ですから、準々決勝は日本にとって大きな壁になっていたんです。そこでの勝利に向かって、グループリーグは戦っていました。

二宮: その準々決勝では、これまで五輪では1勝どころか、1セットも奪うことができずにいた中国との対戦でした。
竹下: 五輪では一度も中国に勝っていないことは知っていました。でも、不安要素はなかったですね。チーム全員が同じ気持ちで同じ方向を向いていましたし、実際に試合になると、コート上のメンバーが誰ひとり引いていなかった。みんなが最初から最後まで攻めていました。そういう気持ちの部分が勝利につながったのだと思います。

二宮: 逆に中国の方が、バタバタしている印象を受けました。
竹下 明らかにこれまでの中国とは違いましたね。北京で銅メダルを獲得しながら、それ以降は苦しい時期もあったのですが、昨年のワールドカップで3位に入って、再び自信を取り戻したかなと思っていましたが……。日本に対しては「絶対に負けてはいけない」という気持ちでいたでしょうから、それがプレッシャーとなって固くなったのか、絶対的な強さは感じませんでした。

(つづく)

竹下佳江(たけした・よしえ)
1978年3月18日、福岡県生まれ。小学校3年生からバレーボールを始める。不知火女子高(現・誠修高)3年時にはユース代表に選出され、世界ユース選手権で優勝した。1996年、NECに入団。翌年、全日本代表に初選出される。2000年シドニー五輪最終予選からレギュラーに定着した。2004年アテネ五輪では5位入賞を果たす。08年北京五輪には主将として出場した。10年の世界選手権で銅メダル獲得に貢献。今夏のロンドン五輪では28年ぶりのメダルに輝いた。JTマーヴェラスでも司令塔として活躍し、2010/11V・プレミアリーグ初優勝に大きく貢献した。今年9月末で退団。

2012/13V・プレミアリーグ、男子は11月3日(土)開幕!
 JTサンダーズは「自考改革」をチームスローガンに掲げ、ユニフォームもリニューアル! 入れ替え戦に回った昨シーズンの雪辱を果たすとともに、悲願の初優勝を目指して心機一転、リーグ戦に挑みます。

<開幕からの試合日程>
11月3日(土)14:00 vs 鹿沼総合体育館(栃木)
11月4日(日)14:00頃 vsFC東京 太田市運動公園市民体育館(群馬)
11月10日(土)14:00 vs豊田合成 岡崎中央総合公園総合体育館(愛知)
11月11日(日)15:00頃 vsパナソニック 岡崎中央総合公園総合体育館(愛知)
11月17日(土)16:00頃 vs東レ 福山市緑町公園屋内競技場(広島)
11月18日(日)15:00頃 vsサントリー  福山市緑町公園屋内競技場(広島)
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(構成・斎藤寿子)
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