エンゼルスのアルバート・プホルスと言えば、メジャーリーグを代表する強打者のひとりである。カージナルスで2001年にメジャーリーグデビューを果たして以降、2010年まで打率3割、30本塁打、100打点を10年連続で達成している。
しかしFAでエンゼルスに移籍した今季は精彩を欠いた、打率2割8分5厘、30本塁打、105打点。プホルスにしては不本意な成績だった。
気になるのは四球数の減少である。自己最高の出塁率4割6分2厘をマークした08年には敬遠を含めて104回もファーストに歩いたが、今季は52個と大幅に減った。
「動体視力が落ちてきているのではないか……」
そんな感想を口にする関係者も少なくない。
「プホルスの最大の持ち味、それはボール球を振らないこと」
そう語ったのは今季限りで北海道日本ハムの投手コーチを辞任した吉井理人だ。エクスポズ(現ナショナルズ)時代の01、02年、プホルスと対戦したことがある。
「あのマーク・マグワイアもバリー・ボンズも低めの変化球の見極めはよくなかった。ボールになる低めのフォークボールによく引っかかってくれました。これに全く引っかからなかったのがプホルス。抜群の選球眼を持っていましたね」
そう言えばカージナルスで6年間に渡ってプホルスと一緒にプレーした田口壮から、選球眼に関するエピソードを聞いたことがある。
「珍しく試合で三振が続いた後、一緒にバッティング練習をした。彼は“変化球が打てない”と言ってピンポン球を使った練習を始めました。マシンからカーブが出てくるんです。プラスチック製だから、もう見たこともないような変化をする。2球ほど見たあと、彼はパコンパコン打ち始めた。これには皆、びっくりしていましたよ」
筋力や体力の衰えはトレーニングでカバーできるが視力はそういうわけにはいかない。果たしてプホルスは大丈夫か!?
<この原稿は2012年12月24日号の『週刊大衆』に掲載されたものです>
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