森保監督「1年続投案」の是非

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 北中米ワールドカップにおける日本代表の旅は、ラウンド32で幕を閉じた。

 

 グループステージを1勝2分けの2位で突破して迎えたブラジル代表との一戦。佐野海舟のゴールで先制した前半はコンパクトな距離感をキープして王国を封じていたが、後半はビニシウス・ジュニオールをウイングとして左サイドに張らせる4-3-3に移行したブラジルの猛攻に対して最終的には耐え切れず2点を奪われて敗れた。

 

 日本代表に関する話題は今、次期代表監督人事に移っている。

 

 まずはワールドカップの戦いの検証が必要になる。オランダ代表には2度リードされながらも追いついてのドロー、そしてチュニジア代表に4ゴールを挙げて快勝し、第3戦は選手を入れ替えつつスウェーデン代表と引き分けた。森保一監督はケガ人が続出するなかでもうまくやりくりし、一体感のあるチームに仕上げた。守備から入るスタンスのチームではあるものの、毎試合ゴールを挙げていて攻撃までがセットという「いい守備からいい攻撃」のコンセプトは大舞台でも発揮された。しかしブラジル戦の後半、反撃の糸口をつかめなかったのは事実。ワールドカップで悲願とも言うべきベスト8入りのためには、“〝大物食い”を果たさなければならない。そのために何が求められるのか、JFAとして方針を固めたうえで次期監督の絞り込みに入るという流れになるのが普通だ。

 

 そんななか早速、監督人事に対する報道が相次いでいる。それも森保監督に1年間という短期での続投オファーを出した、という内容である。もしこれが本当なら、ワールドカップの決勝までしっかり見て世界との差を検証するにはもう少し時間を掛けてもいいと思うのが正直なところだ。

 

 1年オファーが本当なら、JFAはなぜこの判断に至ったのか。

 

 来年1月にサウジアラビアで開催されるアジアカップを勝つには現行体制のほうがいいという判断なのかもしれないが、勝手な推測ではあるものの次期監督候補に名が挙がっている大岩剛U―21日本代表監督にロス五輪アジア予選後バトンタッチさせるという可能性もどこかチラついてしまう。

 

 1年オファーが悪いわけではない。次回2030年ワールドカップで日本が勝てるかどうかを判断する「中間査定」の意味合いでの短期契約であればまったく問題ない。長期政権になる森保監督のチームづくりを、そのときどきで評価するのはある意味当然だからだ。長期契約で途中解除となれば違約金が必要になるだけに、JFAとしてもリスクヘッジとなる。実際、2024年12月になでしこジャパンの監督に就任したニルス・ニールセンも、アジアカップ後の26年4月に任期満了で退任している。アジアカップで優勝しながらも、JFAはチームづくりを評価しなかったということだ。

 

 しかしながら、もし大岩体制への禅譲ありきであれば話は違ってくる。代表監督は、ワールドカップを見据えてチームづくりを進めていくものだ。JFAとしても「次回のワールドカップを任せたい」という前提のもとでの短期契約だから、逆算して評価ができるというもの。禅譲が前提なら、選手たちだって戸惑うはずだ。

 

 筆者の個人的な思いとしては、検証を踏まえたうえで森保監督に任せるというなら中間査定の意味合いを持った短期契約であっても次回ワールドカップまでが基本線としてあること。一方、大岩監督に託すというなら、大変にはなるがもうこのタイミングで兼任監督にすべきというスタンスに立つ。

 

 アジアカップは勝たなければならない大会だが、1カ月にわたってチームづくりができる貴重な機会となる。今回のワールドカップで大活躍したGK鈴木彩艶は前回のアジアカップで失点に絡むミスもあった。それでも森保監督は起用を続けて飛躍を呼び込んだ。

 

 指揮官はのちにこう語っている。

「アジアカップのことは別に彼の責任でも何でもないんです。ミスと言われても、それは誰にでもあること。A代表での経験が浅いなら何試合か見てあげないといけない。本人がネガティブなイメージにならないようにしたいというのはありましたけど」

 

 アジアカップはワールドカップにつながっている。その意味においても4年後を指揮する人がやったほうがいいに決まっている。

 

「リレー形式」が前提となる短期契約オファーはむしろ8年間にわたって日本代表の強化に尽くした森保監督に対して礼儀を欠くと感じる。続投であっても退任であっても、功労者を軽々しく扱ってほしくはない。それが日本代表に対する価値にもつながるからだ。

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