第6回 ふれあい、つながる住まい ~Well’fe西国立~
学生寮「学生会館ドーミー」や「ドーミーイン」などのホテルを多数運営する株式会社共立メンテナンスが、2026年3月に女性専用食事付きサービスレジデンス「Well'fe西国立」(ウェルフ西国立)をオープンした。「ウェルフ」とはウェルフェアとライフを合わせた造語である。「幸福な生活」を生み出す住まいというわけだ。学生・社会人・高齢者などを、年齢を問わずに入居者を受け入れることから、ウェルカムの意味も持つ。

(写真:共立メンテナンスレジデンス企画部の田村さん<右>は元ドーミーの寮生)
ウェルフ西国立はJR南武線の西国立駅から徒歩11分の閑静な住宅街の一角にある。東京都多摩地域最大級のターミナル駅である立川駅(JR中央線・青梅線・南武線、多摩モノレール)へ向かうバス路線がウェルフ西国立付近を通っており、交通アクセスも整っている。コンビニ、スーパー、ドラッグストアが徒歩圏内にあり、日々の生活には困らない。
3階+地下1階建てで全34室。元々は社員寮としてスタートしたが、女子学生寮を経て、現在の多世代型レジデンスに至る。新たに廊下や階段などの動線箇所に手すりを設置した(写真)。一部の共有スペースを改装し、地下1階の食堂とラウンジはパーテーションを取っ払い、開放感のあるスペースに生まれ変わった。食堂には大型のテレビが設置されており、鑑賞会イベントや会合を開くには十分なスペースを有する。またWi-fi完備でソファにはコンセントが付いている。

(写真:食堂はオープンなテーブル席だけでなく、仕切り付きの席もある)
共立メンテナンスのレジデンス企画部の田村彰臣さんは、食堂をオープンな設計にした狙いを、こう説明する。
「食事をしない時間帯も開放しています。当初、ここをリアレンジする時から、食堂だけの機能に終わらない場所にしたかった。カフェのコワーキングスペースのように使っていただくことを考えています」
仕事場としての機能だけではない。ラウンジは木目調をベースに、座席にはライトグリーンのカバーが付けられている。地下1階にあるが、外から日差しが差し込み、日中は温かい雰囲気を漂わせている。ドリンクや軽食を片手に“女子会”を開くこともできる。歓迎会や誕生日パーティーも開催可能なスペースだ。

(写真:共立メンテナンスは「食は生命の源」という考えの下、栄養価だけでなく味にもこだわっている)
食事は月曜日から土曜日の朝食と夕食を食堂で提供。管理栄養士監修の下、栄養バランスの良いメニューが揃う。選択制のため、入居者が希望するなら共用キッチンでの自炊も可能となっている。
多世代型住宅のフェーズ2

(写真:リニューアルされたエントランス。見た目にも温かい雰囲気を漂わせている)
1階のエントランスはオートロックで、住み込みの寮母が常駐しており、「安心・安全」を担保している。ウェルフ西国立はリニューアルしてから、従来のタイル貼りのデザインを木目調に変えた。「明るい雰囲気の方が、入居者の方も見学にいらっしゃる方にとってもいいと思い、変更しました」と田村さん。
出入り口付近にはセンサーが設置されており、入居者に配布されるICチップ付きの鍵に反応する仕組みとなっている。センサーに鍵をタッチすれば入退館、外泊などの履歴が残る。もし入居者に48時間以上、動きがない場合は、寮長が部屋に安全確認に向かうシステムとなっている。1人暮らしにはない、「安心・安全」な体制を敷いている。

(写真:スマートフォンひとつで食事の予約可能。朝食は和・洋と2パターンから選べる)
また入居者は共立メンテナンスが独自に開発した「Domico(ドミコ)」というアプリを利用できる。ドミコの主な機能は食事の予約と寮長とのメッセージ交換。アプリで献立の写真やカロリー、栄養情報を確認のほか、食事の有無を簡単に予約できる。また寮長とのメッセージ交換で相談事だって可能だ。そのほか荷物の到着通知やドーミーでのイベントなどの情報が手元に届く便利なアプリである。
居室にはベッド、机、椅子、クローゼット、カーテン、エアコン、照明、Wi-Fi環境が整っている。トイレ、ランドリー、シャワーブース、ユニットバスルーム、大浴場は居室の外に設置されているが、水回りの清掃負担が解消されるというメリットがある。
多世代と交流するメリットは人脈づくり、情報交換などだ。現代はスマートフォンひとつあれば、様々な情報にアクセスでき、モノを揃えることができる。その一方で人と人とのコミュニケーションは減り、心の不安を抱える人々が増えている。

(写真:「西国立の行政やまちの人との連携を深めていくためのイベントも計画中です」と田村さん)
だからこそウェルフ西国立のような、人々がつながり、ふれあうことのできる施設の役割は、今後重要になってくるだろう。
「世の中にニーズはありましたが、対象となる物件がなかった。弊社が運営する宮城県仙台市にある学生寮ドーミー福田町では、空室の一部を高齢者の方にご案内し、“多世代型レジデンス”のフェーズ1を実現しました。ウェルフ西国立はフェーズ2の1号店となります」(田村さん)
現代は生き方も暮らし方も、そして住み方も多様化している。今回、ウェルフ西国立を見学し、少子高齢化社会における多世代型レジデンスの可能性を見出すことができた。

<二宮清純(にのみや・せいじゅん)プロフィール>
1960年、愛媛県出身。明治大学大学院博士後期課程修了・博士(学術)。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。経済産業省「地域×スポーツクラブ産業研究会」委員。認定NPO法人健康都市活動支援機構理事。『スポーツ名勝負物語』(講談社現代新書)『勝者の思考法』(PHP新書)『プロ野球“衝撃の昭和史”』(文春新書)『変われない組織は亡びる』(河野太郎議員との共著・祥伝社新書)『歩を「と金」に変える人材活用術』(羽生善治氏との共著・廣済堂出版)など著書多数。
Well'fe西国立
東京都国立市西2-17-11
2026年3月にオープンした「多世代交流型」住宅。管理栄養士監修の栄養バランスの良いメニューを朝・夕食提供している。食堂やラウンジなど共有部で、交流を図れる造りとなっている。有料オプションで見守りサービスも導入しており、安心して暮らせるサポート体制が整っている。少子高齢化社会にマッチした“令和型”シェアハウスとなっている。