第231回 歩きながらも頭はフル回転のメッシ

facebook icon twitter icon

 北中米ワールドカップはスペイン代表の16年ぶり2度目の優勝で幕を閉じました。長かったようで終わってみれば短く感じた大会でした。スペインのサッカーとアルゼンチン代表のFWリオネル・メッシの活躍は世界中のサッカーファンを楽しませてくれました。

 

 準優勝に終わったアルゼンチンのメッシですが、本大会が最後のW杯になるのか否かは本人のみぞ知るところです。しかしながら、彼のプレーからは並々ならぬ気迫を感じました。身長だけで勝負は決まらないというのは彼を見ているとよくわかります。

 

 メッシの画面に映っていないところのポジショニングにも興味がわきました。ディフェンダーからするとおそらく、歩いていたりすると“今はボールに関わろうとしていないな”というようにも見えてしまします。しかし、その間にメッシは、自分がどこの位置に居て、相手はどこに移動して、次にボールを受けたら、こういうプレーをすべきだと少々の体力の回復と、頭をフル回転させて判断しているのでしょう。決して、無駄な休み時間ではないなと、改めて教えさせられました。

 

 彼はボールを受ける位置も最適で、コントロールも最高で一瞬にして自らが目指すゴール方向へと向きます。チャージされても揺るがないだけの体幹をも有しているのがメッシです。決定的な仕事ができるわけですよね。

 

 前回大会に続き、今大会もミドルシュートが目立ちました。ボールの進化が影響しているのでしょうが、プレーヤーの技術向上もすばらしいですよね。FW上田綺世(フェイエノールト)のチュニジア戦のミドルもお見事。上田にしても上田以外の世界的プレーヤーにしても、シュートを止めにブロックにいけば決定的なスルーパスを通される。距離を取ればズドンと強烈なミドルを放たれる。各国のディフェンダーは対応が難しくなってきています。

 

 今大会は初出場のカーボベルデ代表が“旋風”を巻き起こし、盛り上げてくれました。ベテランGKのボジーニャの活躍はすばらしかった。サッカーのすそ野が広がっているなと感じることができました。

 

 さて、8月に入るとJリーグが開幕します。ついに昇降格のあるリーグ戦において、鹿島アントラーズと水戸ホーリーホックの茨城ダービーがあります。意地と意地のぶつかり合いに期待したいです。

 

 また、アントラーズは連覇がかかっています。昨季まで途中出場でクラブを支えてくれていた選手たちが他クラブへ移籍をしました。やはり自分を高めるためには、長い時間、ピッチに立っていたいと思うのが当然です。移籍した選手たちには、思う存分、ピッチの上で自分を表現してほしいです。

 

 ショッキングなニュースが届きました。7月28日に発生した「令和8年熊本地震」により、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。熊本県で最大震度7を記録し、九州地方の広範囲で強い揺れが観測されました。猛暑日を迎えているにも関わらず、電気等のライフラインが停まっているとニュースで見聞きしております。どうか、これ以上、被害が拡大しないことを切に祈っております。

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。24年1月、長く務めた鹿島ハイツスポーツプラザを退職。新たな夢の実現のため、日々奮闘中。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。

 

 

facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP