島﨑もも(東京女子体育大学新体操競技部/愛媛県松山市出身)第1回「柔軟性を武器に代表入り目指す」
新体操は、音楽に合わせて13m四方のマット上で手具(道具)を操作しながら、バレエのように華麗に舞い、美しさと技術を表現する採点競技である。女子日本代表の愛称は、妖精のように舞うという願いを込め、「フェアリージャパン」と名付けられた。この春、生まれ育った愛媛県松山市を離れ、名門・東京女子体育大学に入学した島﨑ももは、柔軟性を生かした華麗なパフォーマンスで観客を魅了するフェアリージャパン候補生だ。
彼女主戦場とする個人総合はフープ、ボール、クラブ、リボンの4つの手具操作技術が求められる。得意種目はクラブ。クラブの特徴は日本新体操連盟HPにこう記されている。<一見マラカスのように見えるこの手具は、2本1組で使います。2本を同時に使うので集中力も2倍となり、他の競技より難しいかもしれません。クラブをくるくる回したり投げたりしますが、例えば右手で投げて左手で回すように、左右違う演技をすることもあります。特に注目したいのは2本のクラブを同時に、または次々と投げては受け止める投げ技です>
「武器としてるのはラファエリですが、まだ完成できてなく、かたちの見直しをしないといけない」と島﨑。4種目で取り入れているという彼女の武器「ラファエリ」とは、2022年世界新体操競技選手権5冠でパリオリンピック個人総合銅メダリストのソフィア・ラファエリの名を冠した技、ラファエリターン(ラファエリローテーション)のことだ。
手での保持を伴わないサイドスプリット(横開脚)の状態で、上体を水平に倒し、かつフリーレッグ(上げている足)の膝を曲げた姿勢を維持したまま、つま先立ちで回転する。高難度ゆえ基礎点は1回転で0.5点が付く。半回転増えるごとに0.2点が加算される。
現在、彼女を指導する東京女子体育大の秋山エリカに話を聞いた。秋山は1984年ロサンゼルス、88年ソウルとオリンピック2大会に出場。89年世界新体操で8位入賞を果たした。日本新体操の第一人者で、現役引退後は指導者として後進を育成。東京女子体育大を全日本学生新体操選手権大会において団体65連勝を達成するなど数多くの教え子を世界大会出場に導いた。
「愛される選手」
その秋山から見て、島﨑の長所とは?
「既に国際大会に送り出ても恥ずかしくないぐらいの表現力と技術を持っている選手だと思います。自分で努力ができる賢い子です。私の言わんとすることもすぐ理解できる。性格が明るく、人柄もとてもいいので、周りから愛される選手。日本の中でもファンを多く持ってる選手の1人です。まだ未完成ですので、大学の4年間でどこまで完成されるか、を楽しみにしています」
秋山が島﨑の存在を知ったのは、彼女が中学生の頃だ。
「綺麗な選手だなというのが第一印象です。華やかなものも持っていますし、将来性のある選手だと感じました。愛媛時代にきちんと基礎を作っていただいた、地元の先生の教えはものすごく大きかった。身体のラインや骨格という点でも飛び抜けていいものを持っている。これを維持するのは本人の努力ですし、指導者の影響も抜きには語れない。今後は目指す新体操を自分で見つけ、それを磨いていく作業になると思います」
島﨑本人は自らの長所をどう捉えているのか。彼女は語る。
「人とは違った動きができるのとあと表現力はまだまだなんですけが柔軟性が人よりも優れてると思う。それらを武器にし、回転数を増やしたりとかしたい。あとはもう少しバランスの取り方を意識していきたいと思います」
新体操を始めたばかりの頃は、「硬かった」という島﨑だが、今では180度以上開脚できるほど柔軟性を身に付けている。
新体操は一般的に3、4歳から始めるケースが多いが、島﨑は小学1年からと決して早いスタートではない。きっかけは愛媛の体育館での“スカウト”だった。
(第2回につづく)
<島﨑もも(しまざき・もも)プロフィール>2007年12月4日、愛媛県松山市出身。小学1年時に地元の新体操クラブにスカウトされ、競技を始める。16年~2020年度にかけて、5年連続で愛媛県優秀選手賞を受賞。18年度〜21年度の4年連続で新体操ナショナル強化指定選手に選出される。高校1年時に全高校総合体育大会(インターハイ)で2位に入る。翌年のインターハイも2位。3年時には全国高校新体操選抜大会とインターハイで優勝。国際大会にも出場した。今春から東京女子体育大学に進学。身長161cm。リフレッシュ方法は散歩。
(文・写真/杉浦泰介)

