「私たちトレーナーのライバルです」
 テニスのクルム伊達公子選手や多くのアスリートのパーソナルトレーナーを務めたことでも知られるフィジカルトレーナー中野ジェームズ修一氏が、「プロのトレーナーとして見て、その精度の高さには驚いた」というトレーニングツールがある。アディダスが4月10日に発売したハートレートモニター(心拍計)『miCoach Heart Rate Monitor for Bluetooth SMART』だ。運動中の心拍数を計測し、ひとり一人の心肺機能と目的に合ったパーソナルトレーニングを指示するというもので、そのコンセプトは“あなただけのパーソナルトレーナー”だ。

 効果の有無は目的に合った“強度”

 言うまでもなく、トレーニングの成果を出すために最も重要なのは、目的にあった「運動強度」だ。つまり、身体にどれだけの負荷をかけるか、である。その強度を知る目安となるのが心拍数(1分間に心臓が鼓動する回数)。心拍数を把握することによって、無駄のない効率的なエクササイズが可能となる。これを「心拍トレーニング」と言い、プロのアスリートも取り入れている。

 人にはそれぞれ最大心拍数があり、それを100%として、どのくらいの割合で動くかによって、使われるエネルギー源が異なる。例えば、60〜80%程度の強度では、脂肪が主なエネルギー源となり、ダイエットには最適だ。最大心拍数を185とすると、120〜150の心拍数で運動することが求められる。80%を超えると主なエネルギー源は糖質にかわり、脂肪は燃焼されにくくなる。つまり、ハードなトレーニングをすれば、その分だけ脂肪が燃焼されるかというと、そう単純ではない。スタミナや筋力アップには最適な強度だが、ダイエットを目的とした場合には、逆に効果は薄くなる。

「いくら1時間走り続けても、脂肪燃焼率が最も高い60〜80%の強度でなければ、期待するほどの効果は得られません。逆にわずか10分でも、適した強度で動き続ければ、きちんと効果は出るんです」と中野氏。だからこそ、重視すべき点は「時間」よりも目的に合った「運動強度」であり「心拍数」なのだ。

 業界初! 音声コーチング

 だが、この「運動強度」を本人が自覚するのは、非常に難しい。「例えば」と中野氏は言う。
「ダイエットを目的とした人に『ややきついくらいが脂肪燃焼ゾーン(運動強度)ですから、それくらいで走ってみてください』と言っても、後で心拍数のデータを確認すると、ゾーンから外れている場合が多々あります。プロのアスリートであれば、自分の心拍数がどれくらいになっているかということを把握できますが、一般の人には難しい。だからこそ、心拍計を使って欲しいんです。アスリート以上に一般の人たちにこそ、心拍計は必須アイテムだと思います」

 そこで今回、登場したのが『miCoach Heart Rate Monitor for Bluetooth SMART』だ。心拍モニター(写真)を胸に取り付け、事前に無料トレーニングアプリ「miCoachアプリ」を登録した対応機種のスマートフォンを接続すると、運動中のペース、スピード、距離、カロリー等のデータを見ることができる。

 ここまでなら、他社にも類似したものはある。『miCoach Heart Rate Monitor for Bluetooth SMART』だけが持つ機能、それが業界初の「リアルタイム音声コーチング」だ。ヘッドホンから「もっとスピードを上げてください」「もう少しスピードを落としてください」という音声によるアドバイスがリアルタイムで伝えられるのだ。そのため、これまでのように画面に表示された心拍数を目で確認したり、ボタンを押すというような必要はない。まるで隣にパーソナルトレーナーがいるような感覚でトレーニングをスムーズに行うことが可能となる。

 この機能の有効性について、中野氏は次のように語る。
「運動している時というのは、視覚ではなく、聴覚から情報を得た方が、ストレスなくスムーズに身体が認識することができるんです。なぜなら、目で見た情報というのは一度、どういう意味なのかを“考える”というプロセスが必要です。でも、耳から得た情報はそのままストレートに身体に伝わる。例えば、横断幕に『頑張れ』と書かれてあるのを見るよりも、声援が耳に届いてきた時の方がストレートに身体が反応しますよね。そういう意味では、『miCoach』の音声コーチングは、ストレスなくエクササイズするのに非常に有効的な機能だと思いますね」

 プロも驚く高精度なトレーニングプラン

 また、「miCoachアプリ」には世界的なトレーニング専門知識によって設定された3000種類以上のメニュープランがある。トレーニングの初回に行なわれるアセスメントワークアウト(心肺機能の測定)によって計測された心拍基準をもとに、希望するカテゴリーやレベル、期間などに応じたトレーニングプラン、さらには筋トレや体幹トレーニングなども提案してくれる。このプランの精度の高さにも、中野氏は驚いたという。

「例えば、半年後にフルマラソンを4時間以内で走りたい、という目標を設定するとします。そうすると、半年間のプランを立て、毎日のメニューを提示してくれるんです。しかも、1日トレーニングしなかったとしますよね。そうすると、すぐにプランを立て直すことができます。プロのトレーナーの目から見ても、その内容は非常に精度が高い。まさに僕たちパーソナルトレーナーがやっていることそのものですよ」

 心肺機能、目的、レベル、ライフスタイルに合った“オンリーワン”のトレーニングに欠かせない“リアルコーチング”。まさに、かゆいところに手が届くトレーニングの伴走者だ。その意味で『miCoach Heart Rate Monitor for Bluetooth SMART』の登場は、画期的と言っていい。

>>miCoachの詳細はこちら(adidas公式HP)
◎バックナンバーはこちらから