村上裕一郎(ENEOS野球部/愛媛県八幡浜市出身)第1回「バッティングの正解はホームラン」
愛媛県八幡浜市出身の村上裕一郎は、社会野球の名門ENEOS入社3年目の右の長距離砲だ。身長185cm、体重95kgの恵まれた体躯を生かし、今年は公式戦で5本塁打をマークしている。
入社1年目(2024年)から都市対抗野球大会デビューを果たした。初戦の東海理化戦で東京ドームのレフトスタンド上段に突き刺さるホームランを放った。この年は社会人野球の年間最多本塁打賞(対象大会12試合で5本塁打)のタイトルを手にしている。
この年の9月に開催された「第5回 WBSC U-23野球ワールドカップ」の日本代表に選ばれ、2本塁打を放つなどチームの大会2連覇に貢献した。
ドラフト解禁年となった昨年は苦しんだものの、その長打力は健在だ。今年はケガで一時戦線を離脱した時期があったものの、昨年を上回る本塁打を放ち、復調の兆しを見せている。
典型的なプルヒッターだ。ヒットの延長線がホームランか、ホームランの打ち損じがヒットか。村上の考えは後者に近い。
「長打力には自信があります。僕の中ではバッティングの正解がホームラン。状態が良ければホームランは打てる」
ホームランバッターとはいえ、力任せにバットを振るタイプではない。「練習で出力を上げるため、あえてフルスイングすることはありますが、試合では8割の力を意識しています」と確実性を求める。
今年は4番を任されることが増えたが、「4番目のバッター。昔は自分で決めたいという考えでしたが、今はシンプルな気持ちで打席に向かっています」と気負いは見られない。
エゴイストではない
25年からENEOSでコーチを務める渡邉貴美男は、社会人野球で10シーズンプレーし、チームで3度の全国大会制覇を経験した。その渡邉をして「選手、コーチとして10年以上、社会人野球に関わってきましたが、長打力はその中でも何本かの指に入るレベル。それは誰が見ても分かる彼の魅力ですね」と言わしめる。
ホームランアーチストではあるがエゴイストではない。
「村上の独りよがりな姿勢は見たことがない。チームが負けても、自分がホームランを打てばいい、自分がプロに入れればいい、という自分勝手なプレーヤーではありません。チームプレーも厭わない。我々にとって貴重な存在です」
渡邉は村上の人間性も高く買っている。
「感覚派というより理論派。バッティングのことを考え、守備に対しても意識が高い。練習に関しては、私がもっとやれ、と思うことはない。姿勢やマインドは十分なものを持っています。ユニホームを脱げば、先輩後輩に分け隔てなく接し、終始ニコニコ会話している印象があります。一言で言えば、いい子です」
村上には宇和島東高校時代、打球が飛び過ぎて練習で金属バットを禁じられたという逸話がある。怪力スラッガーの鋳型は、愛媛県八幡市で、どのようにしてつくられたのか。
(第2回につづく)
<村上裕一郎(むらかみ・ゆういちろう)プロフィール>
2001年6月14日、愛媛県八幡浜市出身。小学2年でソフトボールを始め、中学から軟式野球部に所属した。保内中学-宇和島東校-九州共立大学を経て、24年にENEOS入社。宇和島東3年時には甲子園出場を果たした。福岡六大学野球リーグの九州共立大では3年秋に本塁打王とベストナインを獲得。ENEOSでは1年目から主力として活躍した。都市対抗野球大会で本塁打を放つなど、この年は社会人野球の年間最多本塁打賞(対象大会12試合で5本塁打)を獲得。また9月に開催された「第5回 WBSC U-23野球ワールドカップ」の日本代表として、2本塁打を記録し、チームの大会2連覇に貢献した。長打力が武器の大砲。身長185cm、体重95kg。右投げ右打ち。背番号26。
(文・写真/杉浦泰介、プレー写真/ENEOS野球部提供)

