第846回 プロ野球、ロボット審判導入への壁

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 日本のプロ野球でもABSシステム――いわゆる“ロボット審判”の導入を検討していることが明らかになった。

 

 MLBでは今季から導入され、概ね好評だ。仕組みは至って簡単。打者、投手、捕手がストライク、ボールを巡る審判の判定に不満がある場合、頭をポンポンと叩いて、異議申し立てを行なうことができる。

 

 チャレンジが成功して判定が覆った場合、何度でも権利を行使できるが、2回失敗した時点で権利は消失する。延長に入った場合は、新たに1回分の権利が付与される。

 

 MLBにおける現時点でのABSチャレンジ成功率は、およそ54%。すなわち2回に1回以上は判定が覆ったことになる。

 

 この数字を、どう評価するか。私は当初、想定していた以上に審判が健闘している、と考える。というのも、ストライク、ボールを巡る判定で、選手があれだけ必死になって抗議しているのは、余程の自信があるからだろう、と受け止める向きが多かったからだ。

 

 

 私もそのひとり。開幕前は「成功率は6~7割に上るのでは」と予想していた。

 

 気の早い話だが、導入した暁には日本でもABSチャレンジの成功率は同程度になるだろう。日米の審判に、それ程の差があるとは思えないからだ。

 

 もっともロボット審判を導入する上で、日本においては高いハードルがある。それは地方球場の問題だ。

 

 MLBは基本的に全試合を各球団の本拠地球場で行なう。たまに海外でも公式戦を実施することがあるが、それはレアケースだ。

 

 ABSシステムを稼働させるには、全球場にホークアイなどの高精度カメラを設置する必要がある。概算だが、それには1億円前後のコストがかかる。

 

 地方球場を保有する自治体が、年に1度行なわれるか行なわれないかわからないプロ野球の試合のために、システム導入の予算を計上できるだろうか。NPBが資金援助しない限り、話はそう簡単ではない。

 

<この原稿は2026年9月28日-10月5日合併号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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