第320回 11・8千葉『RIZIN.55』で井上直樹vs.イリスベク・ティレノフ! バンタム級王座次期挑戦者決定戦─
10月3日、長崎スタジアムシティ・ハピネスアリーナ『RIZIN LANDMARK 16』第5試合終了後に前RIZINバンタム級王者・井上直樹(キルクリフFC)がケージに登場。11月8日、千葉・LaLaアリーナ東京ベイで開催される『RIZIN.55』でイリスベク・ティレノフ(キルギス)と対戦することが発表された。
意外なマッチメイクだと感じた。井上の次戦はRIZINバンタム級王者ダニー・サバテロ(米国)とのリベンジマッチだと思っていたからだ。
昨年大晦日『RIZIN師走の超強者祭り』で井上はサバテロに1-2のスプリット判定で敗れ王座から陥落、実質ドローファイトの悔しい負け方だった。リマッチの資格を得るべく井上は今年5月にPFLのケージに乗り込み再起戦を行う。ここで2025年「PFLバンタム級トーナメント」優勝者のマルシルリー・アウベス(ブラジル)相手にタフファイトの末、判定勝ち。夏か秋にサバテロとのリマッチが組まれる流れかと思いきや、そうはならなかった。アウベス戦で負ったダメージも考慮されてのことだったろう。
長崎のケージ内ではRIZIN榊原信行CEOとこんなやり取りがあった。
井上「本当はタイトルマッチを希望していたんですけれど……」
榊原「そのままタイトルマッチと言っていたんですけれど、その前にもう一戦やって欲しいと(話しました)。ティレノフに勝って誰の目から見ても『直樹行ってくれ』という期待感が高まったタイミングで(実現させたい)」
井上「強い自分を出して欲しいと言ってもらいました。RIZINで今年は試合してないのもあったので」
榊原「PFLでは素晴らしい活躍をしたんですけれど、今年日本で初試合しますので強い直樹をみんなに見せつけた後、あの憎きサバテロにリベンジしてタイトルをもう1回奪取してください」
井上「絶好の相手だと思うので、ここでしっかりと倒してから(サバテロに)やり返しに行きたいと思います」

(写真:7月、広島での『RIZIN LANDMARK 15』に参戦し太田忍を2ラウンドTKOで下したイリスベク・ティレノフ ©RIZIN FF)
よって11月・千葉『RIZIN.55』での試合が井上にとってはタイトルマッチ前哨戦となるが、決してイージーファイトではない。
相手のティレノフは、ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)と同門でSnow leopard(ユキヒョウ)の異名を持つ22歳の気鋭。レスリングをバックボーンとし2022年10月にMMA(総合格闘技)プロデビューをしている。同年12月の2戦目で敗北を喫するも以降7連勝を飾り、これまでの戦績8勝(5KO&1一本)1敗。前戦(7月18日・広島『RIZIN LANDMARK 15』)で日本初登場、太田忍(THE BLACKBELT JAPAN)を強烈なパンチで追い込み、最後は右ヒザ蹴りで2ラウンドKO勝利を飾った。打撃の破壊力もさることながら、組み、寝技にも長けたファイターだ。
「自分もラジャブアリ(シェイドゥラエフ)のように腰にベルトを巻きたい。ここで勝てばチャンピオンへの挑戦が見えてくる。チャンスを貰えて嬉しい」
ティレノフは、そうコメントを寄せており勝つ気満々だ。

(写真:昨年大晦日、ダニー・サバテロ<左>と激闘を繰り広げた井上直樹だったが、1-2の判定負けで王座陥落 ©RIZIN FF)
井上はタフな闘いを強いられるだろう。おそらくティレノフはKOを狙い1ラウンドからラッシュをかける。その勢いを如何に止め、自分のリズムを刻み主導権を握ることが井上にとっての闘いのポイントか。
「キャリアで優る井上が優位」と見る向きが多いが、果たして?
私は「互角」と感じる。ティレノフの攻撃力は凄まじく一気にペースを握り、そのままフィニッシュに持ち込む可能性も十分にあろう。前王者にとって苛烈な闘いのなることは間違いない。
すでに王座挑戦の資格はあるにもかかわらず、敢えて試練に挑む井上の闘いを注視したい。
なお『RIZIN.55』は、ほかにも好カード揃い。フライ級タイトルマッチの神龍誠(王者/ATT)vs.トニー・ララミー(米国)、福田龍彌(MIBURO)vs.キム・スーチョル(韓国)、鹿志村仁之介(Battle-Box)vs.太田忍など十数試合が組まれている。
<直近の注目格闘技イベント>
▶10月17日(土)、東京・有明アリーナ/「ONE SAMURAI4」キックボクシング・バンタム級タイトルマッチ、ジョナサン・ハガティーvs.秋元皓貴ほか
▶10月17日(土)、東京・後楽園ホール/「RISE 202」フェザー級王座決定戦、大森隆之介vs.中嶋愛樹斗ほか
▶10月23日(金)、東京・後楽園ホール/「KNOCK OUT .69」重森陽太vs.セーンマニー・ノー・プムマリンほか
▶10月24日(土)、東京・後楽園ホール/「SHOOT BOXING 2026 act.5」笠原弘希vs.ザウル・マメドフほか
▶10月25日(日)、東京・テレビ東京 天王洲スタジオ/ 「キックボクシングフェス.3 GOAT」ISKA K-1ルール世界スーパーフェザー級タイトルマッチ、龍聖vs.ロドリゴ・ボガドほか
▶10月31日(土)、東京・後楽園ホール/「Krush.193」ライト級タイトルマッチ、大岩龍矢vs.児玉兼慎ほか
<近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。
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