第319回『RIZIN大晦日』で「シェイドゥラエフvs.秋元強真」決定! この一戦の深い意味―
「キルギスの大鷲」は、やはり強かった。
9月10日、京セラドーム大阪『超RIZIN.5』のメインで行われたRIZIN&PFLフェザー級タイトルマッチでは、ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)が AJ・マッキー(米国)に判定に勝ちを収めている。KOこそできなかったが、すべてのラウンドで元Bellator同級王者を圧倒しての完勝、2本のベルトを肩にかけた。

(写真:メインエベント終了後のリングでシェイドゥラエフ<左>と秋元の対戦が電撃決定。中央は榊原信行CEO Photo by 藤村ノゾミ)
そしてシェイドゥラエフの次戦も電撃決定した。
8月の『RIZIN.54』でクレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術)を破った秋元強真(JTT)が試合後のリングに登場。
「大晦日、名古屋(バンテリンドームナゴヤ)のメインでやらせてください!」
そうシェイドゥラエフとの対戦を求める。これに王者が呼応。
「(RIZINとの契約が)あと1試合残っています。アキモトと闘いましょう」と。
ドーム内が大いに盛り上がる。その場で榊原信行RIZIN CEOが「対戦決定」をアナウンスした。

(写真:AJ・マッキーに勝利した直後、メディアからの質問に笑顔で答えるシェイドゥラエフ Photo by 藤村ノゾミ)
大いに楽しみなカードの実現だが、気になることもある。
シェイドゥラエフの「あと1試合」発言だ。これまでRIZINで闘い続けてきた彼は、次戦を最後に主戦場をPFL(Professional Fighters League)に移す。つまり、RIZINの契約選手ではなくなるわけだ。
ならば、シェイドゥラエフが秋元に勝利した場合、RIZIN王座は返上され空位となるのだろうか?
大会後の総括で榊原CEOは、次のように話した。
「秋元が勝てば、チャンピオンベルトは流出せずにRIZINに残る。そうしたら気持ちよくシェイドゥラエフにはPFLにチャレンジしてもらってもいいかなと思います。シェイドゥラエフが勝った場合は、PFLサイドとの調整ですね。PFL所属のまま、RIZINで王者としてタイトルマッチを闘うことも可能かなと思っています」
今大会にRIZINはPFLのジョン・マーティンCEOを招いている。両団体の関係は良好であり、来年以降もシェイドゥラエフがレンタルという形でRIZINのリングに上がるというわけだ。

(写真:第5試合終了後にリングに上がったPFLのジョン・マーティンCEO ©RIZIN FF)
それでも気になることもある。
PFLは、これまでにプロボクシングの興行などを手掛けてきた「MVP(Most Valuable Promotions)」と近く合併することを発表している。これによりPFLは「MVP MMA」に名称を変更、現在の各階級PFL王者が、MVP MMA初代チャンピオンに就く流れだが、新組織となることに変わりはない。MVPのトップはYouTuberでプロボクシングのリングにも上がるジェイク・ポール(米国)。一昨年11月に元世界ヘビー級王者で当時58歳のマイク・タイソン(米国)と闘い勝利したことでも話題になった男だ。マーティンCEOはMVP MMAでも要職に就くことが決まっておりRIZINとの好関係は維持されようが、ポールの考え方によっては風向きが変わらぬとも限らない。
シェイドゥラエフが大晦日に勝利し、来年はMVP MMAとRIZINの両方で闘うのも面白い。だが、RIZINサイドが安定した形でタイトルマッチを組むためにはベルトの流出は好ましいことではないだろう。
深い意味を持っての一戦で秋元は、勝利することができるのか?
もし、シェイドゥラエフ超えを20歳の超新星が果たせたならば、美しい形で「RIZINフェザー級新時代」の扉が開かれることになるが……。
<直近の注目格闘技イベント>
▶9月12日(土)、東京・国立代々木競技場第二体育館/「K-1 WORLD MAX 2026」70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦4試合ほか
▶9月12日(土)、神奈川・横浜BUNTAI/「ONE SAMURAI 3」吉成名高vs.ハー・リン・オムほか
▶9月13日(日)、東京・後楽園ホール/「DEEP 133 IMPACT」メガトン級タイトルマッチ、大成vs.シビサイ頌真ほか
▶9月19日(土)、東京・EBARA WAVE ARENAおおた/「RISE WORLD SERIES 2026 TOKYO.2」世界スーパーフライ級タイトルマッチ、大﨑一貴vs.那須川龍心ほか
▶9月23日(祝・水)、東京・立川ステージガーデン/ 「PANCRASE 365」杉山しずかvs.
藤野恵実ほか
▶9月24日(木)、東京・後楽園ホール/「Lemino修斗.8」永井奏多vs.ニコラ・リーキンギほか
▶9月26日(土)、東京・後楽園ホール/「Krush.192」新美貴士vs. 兼田将暉ほか
▶9月27日(日)、トヨタアリーナ東京/「Prime Video Boxing」WBC世界バンタム級タイトルマッチ、井上拓真vs.那須川天心ほか
▶9月27日(土)、東京・後楽園ホール/「KORAKUEN JAMBULL」キックボクシング9団体集結大会
▶9月27日(日)、東京・竹芝ニューピアホール/「PROFESSIONAL SHOOTO 2026 Vol.6」世界女子アトム級チャンピオンシップ、青野ひかるvs.徳本望愛ほか
▶9月27日(日)、福島・KNOCK OUT常葉アリーナ/「KNOCK OUT REBELS SERIES.13」/祐輝vs.松岡優太ほか
<近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。
連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)