第22回「“やりたいヤツ集まれ!”が原点」ゲスト北澤豪氏

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二宮清純: 今回のゲストは、サッカー元日本代表で、現在は日本サッカー協会参与、日本障がい者サッカー連盟会長、日本フットサル連盟会長などを務める北澤豪さんです。

北澤豪: 本日はよろしくお願いいたします。

 

伊藤清隆: 実は北澤さんは、当社の常務取締役だった藤川孝幸さん(故人)からご紹介いただく予定だったんです。藤川さんと北澤さんは読売クラブ(現・東京ヴェルディ)の先輩後輩の関係です。しかし、藤川さんが病気を患われて……。

北澤: そうでしたね。僕自身、スポーツの普及活動などで全国を回ることが多く、その時にリーフラスさんのスクールを目にすることが何度もありました。全国規模でスクール事業を取り組まれていたのは、他社と比べてもだいぶ早かったんじゃないでしょうか。そのリーフラスについて調べると、チームメイトだった藤川さんに行きつきました。

 

二宮: 私は極真空手の緑健児代表を通じ、藤川さんとよく空手のイベントなどでご一緒しました。伊藤さんが藤川さんと知り合ったきっかけは?

伊藤: 私も緑さんです。彼の紹介で15年に藤川さんが入社しました。藤川さんは普通の社員から最後は役員にまでなった。当社のスポーツスクール事業でJリーグクラブとコラボした際には、大きな力になってくれました。サッカー界にとどまらず、プロ野球球団ともつながりのある方でしたね。

 

二宮: 藤川さんと言えば、PKに強いゴールキーパーという印象があります。

北澤: 優れた反射神経や読みは、空手で培ったものなのかもしれませんね。プレーヤーとしてだけでなく、人柄も素晴らしい方でした。僕らは困ったことがあると藤川さんに相談していました。例えば海外のチームや選手が来日した時、藤川さんに連絡すると「この店だったら対応してくれるぞ」とアドバイスをくれました。

 

二宮: それだけ顔が広いんですね。サッカースクールを立ち上げる際、藤川さんのアドバイスは効果的でしたか?

伊藤: もちろんです。松木安太郎さんやラモス瑠偉さん、都並敏史さんをご紹介いただきました。また技術とハート、両面で当社の社員にアドバイスをしていただきました。

 

二宮: 北澤さんもサッカースクールを運営されていますが、すごく評判がいいとお聞きしています。

伊藤: 私の妻がバレーボールを習っていまして、世田谷区で北澤さんのスクールをよくお見掛けすると聞きました。

北澤: 世田谷ジュニアアカデミーというスクールで、サッカーとフットサル両方を教えています。現役の時から近所の子どもたちに教えたい、という思いがありました。公園に行き、「サッカー、やりたいヤツ!」と募って、サッカーを教えたかったんです。

 

二宮: 自然発生的に集まったのですか。

北澤: そうなんですよ。今は難しくなってきましたが、僕はそれが理想だと思っています。現在は世田谷区のスポーツ振興財団と一緒に世田谷区の施設を利用し、子どもたちの体力低下という社会課題を解決するためにスポーツスクールを運営しています。その対象は子どもたちだけではありません。最近は保護者の方やシニアの参加者も増えてきています。

 

二宮: 北澤さんに教えてもらえるならば、世田谷区以外からも希望者が集まったんじゃないですか?

北澤: ありがたいことに、それが理由で来てくださる人はいます。他には、上から目線で強制的な指導に嫌気が差した子たちが、個性を尊重する僕らのスクールを選ぶというケースもあります。

 

統一ユニホームの効果

二宮: 北澤さんのスクールは、あまり強要しない指導方針ですか?

北澤: 多少はしますよ。ある程度、方向性は示さなければいけません。ただ基本的には、楽しいと思えるスクールを目指しています。「また来たい」と思わせるのが一番大事。子どもに対して画一的な教え方ではなく、それぞれに合った指導を見つけながら進めているつもりです。

 

二宮: レベルの違いもそうですし、目標が異なることもあるでしょうし、なかなか簡単ではないでしょうね。

北澤: 上手じゃない子どもが、上のレベルについていこうとする気持ちは必要だと思います。一方で上手な子が下手な子をサポートしていく姿勢を大事にするのがサッカーだとも思うんです。

 

二宮: そこはリーフラスのコンセプトに近いですね。

伊藤: おっしゃる通りです。当社はすべてのスポーツを教材として、子どもたちに非認知能力を身に付けさせることが主目的ですから、試合に勝つことの優先順位は高くありません。人数が多いクラブや少年団だと補欠が生まれますが、当社は選手全員に試合出場を義務付けるという独自ルールを設けています。障がいのある子どもにも試合に出場してもらいます。

 

北澤: 確かにうちのスクールの考えと近いかもしれないですね。レベルは問いませんし、障がいのある子どもも受け入れています。

二宮: リーフラスのようにプレータイムをコントロールすることは?

北澤: そうですね。逆にできない子のプレータイムを長くしないと、伸びませんから。

 

二宮: 北澤さんは町田市でサッカーを始めて、中学校で読売クラブのジュニアユースに入団しました。読売クラブは世界を見据えていました。

北澤: 僕らの練習にトップチームの選手たちが来てくれた。ジョージ与那城さん、ラモス瑠偉さん、都並さん、藤川さんもその時からの付き合いです。

 

二宮: ファミリー感を大事にしていましたよね。

北澤: 当時から上が下を教えるという文化が根付いていましたね。女子とも隔たりなく、なでしこジャパン(サッカー女子日本代表)の澤穂希とも一緒に練習していました。男女が混ざっていましたし、障がいのある子どもたちとも練習をしていた。視覚に障がいのある子、聴覚に障がいのある子をラモスさんが連れて来るんですよ。それが当たり前で、外国人の子どもたちも来ていた。こうした経験からユニバーサルな発想が、僕の中でも当たり前になっていったんだと思います。

 

二宮: 現在、北澤さんは8つの障がい者サッカー競技団体を束ねる日本障がい者サッカー連盟のトップを務めています。約10年前、加盟団体の日本代表ユニホームデザインを統一しました。23年には、日本サッカー協会(JFA)のSAMURAI BLUE(サッカー日本代表)やなでしこジャパンと同デザインのユニホーム着用を実現させました。選手たちも喜んでいたでしょう?

北澤: 選手たちは涙を流しながら喜んでくれました。僕は、各団体の選手たちが同じ日本代表のユニホームを着られないというのは、おかしいと思っていたんです。誰もが着られるユニホームであるべきだ、と。カテゴリーに関係なく、サポーターが同じユニホームで応援に行けますし、一体感を醸成する上でも大きい。また同じユニホームを着ることによって、日の丸を背負う自覚や誇りをより一層持つようになる。実際、好成績にもつながっています。

 

二宮: ただ単にユニホームが変わっただけではない、と?

北澤: その通りです。統一ユニホームを着た選手たちが活躍すれば、それを見た子どもたちが目標にする。いい循環が生まれると考えています。

 

地域展開への不安

二宮: さて、スポーツ庁が定めた、公立中学校における部活動の地域展開は「改革推進期間」から26年度から「改革実行期間」に移りました。北澤さんは部活動の地域展開について、どうお考えですか?

北澤: 僕は移行をスムーズにやらなければ、ギャップの期間が生まれ、レベルが著しく落ちる競技もあるのではないかという不安を覚えています。

 

伊藤: 北澤さんの懸念はおっしゃる通りだと思います。地域展開といっても、現状は全国一律ではなく、各自治体任せになっています。自治体間では温度差もあります。一番良くないのは、「もう部活動なんかやめてしまおう」と考えてしまう自治体が出てきてしまうこと。そこは公費で地域展開できる仕組みを整備すべきだと思っています。

北澤: やはりお金がないと、持続的に活動できないですし、質のいいものは担保できませんからね。あとは人材確保の問題。指導者だったら誰でもいいというわけではありません。教育の観点も大事です。多感な10代の頃に部活動を経験することによって、得られるものもたくさんあるじゃないですか。

 

二宮: 協調性や礼儀作法も学べますね。

北澤: そこなんですよ。今、世界でサッカー日本代表が評価されているのは、スタジアムをサポーターたちが試合後に掃除したり、代表チームがロッカールームを、来た時よりも綺麗にして帰ったりする点です。そこは今、他国も真似しようとしていて、ユース育成に導入されているそうです。部活動における人間教育の部分は、日本の強みだと思う。それを失ってしまう可能性があるのは怖い。

伊藤: 当社が学校側にも受け入れられているのは、その教育的側面を持ち合わせていることです。我々が大事にするのは挨拶、礼儀なんです。だから学校教育とも親和性が高い。

 

二宮: そこはスポーツスクール事業で積み重ねてきたノウハウが生きていると?

伊藤: ええ。技術を身に付けることだけが、当社のスクールの方針ではありません。ただ、このやり方で今25年目を迎えましたが、毎年会員が増えています。だから社会的ニーズは衰えていないと実感しています。

 

二宮: 少子高齢化が進む中で、会員数が増えているということは、それだけ今までの活動実績が認められてきているということでしょうね。

伊藤: 当社のスクールでも技術は身に付きます。それ以上に人間性の部分で、子どもたちに変化が見られることが、当社の売りなんです。特に非認知能力については点数を付け、可視化できるようにしました。

 

北澤: 子どもたち一人ひとりに成績表のようなものも出すんですか?

伊藤: その通りです。例えば、保護者から「うちの子、ちょっと引っ込み思案で、人前で話ができないので、なんとかしてください」と頼まれた場合、その子に半年間、キャプテン体験をさせる。下の子の面倒を見させるとか、そういう環境をつくることで、非認知能力を上げていく。

 

北澤: となると、指導者の研修プログラムが大事になってくるんでじゃないですか?

伊藤: ええ。当社は1000名以上の指導員を正社員として雇用しています。入社後、ありとあらゆる研修を積んでいただきます。

 

北澤: 指導者はある意味、カウンセラー的な役割を担わなければいけないと思っています。特に今、様々な悩みを抱える子たちが増えてきている。指導者もいろいろな側面からアプローチできることが、今後は必要になってくると思います。

伊藤: 同感です。ぜひ、当社の指導者の研修にも来ていただければ幸いです。指導員の励みにもなりますし、また藤川さんの話なども聞かせていただければ、ありがたいです。

北澤: わかりました! リーフラスさんのスクールにも今度飛び入りで参加したいと思います! よろしくお願いいたします。

 

(鼎談構成・写真/杉浦泰介)

 

<北澤豪(きたざわ・つよし)プロフィール>

1968年、東京都出身。小学校1年生からサッカーを始める。町田SSS、FC町田、読売サッカークラブ・ジュニアユース、修徳高校を経て、本田技研工業株式会社に入社。海外へのサッカー留学、日本代表初選出の後、1991年に読売クラブ(現・東京ヴェルディ)に移籍した。ヴェルディの黄金期を支え、数々のタイトル獲得に貢献。J1リーグで通算264試合出場41得点。日本代表としても国際Aマッチに59試合出場3得点。03年に現役引退後、サッカー解説者としてのメディア活動だけでなく、スポーツ普及や国際貢献、障がい者スポーツの支援など多岐にわたる分野で活躍。現在、日本サッカー協会参与、日本障がい者サッカー連盟会長、日本フットサル連盟会長などを務める。

 

<伊藤清隆(いとう・きよたか)プロフィール>

1963年、愛知県出身。琉球大学教育学部卒。2001年、スポーツ&ソーシャルビジネスにより、社会課題の永続的解決を目指すリーフラス株式会社を設立し、代表取締役に就任(現職)。創業時より、スポーツ指導にありがちな体罰や暴言、非科学的指導など、所謂「スポーツ根性主義」を否定。非認知能力の向上をはかる「認めて、褒めて、励まし、勇気づける」指導と部活動改革の重要性を提唱。子ども向けスポーツスクール会員数、スクール数ともに4年連続国内No.1、部活動受託校数は2年連続国内No.1、支援部活動数も国内No.1(※1)の実績を誇る(2025年12月現在)。2025年10月、日本のスポーツ企業として初めてNASDAQに上場を果たす。社外活動として、スポーツ産業推進協議会代表者、経済産業省 地域×スポーツクラブ産業研究会委員、日本民間教育協議会正会員、一般社団法人日本経済団体連合会 教育・大学改革推進委員ほか。

 

<二宮清純(にのみや・せいじゅん)プロフィール>

1960年、愛媛県出身。明治大学大学院博士後期課程修了・博士(学術)。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。経済産業省「地域×スポーツクラブ産業研究会」委員。認定NPO法人健康都市活動支援機構理事。『スポーツ名勝負物語』(講談社現代新書)『勝者の思考法』(PHP新書)『プロ野球“衝撃の昭和史”』(文春新書)『変われない組織は亡びる』(河野太郎議員との共著・祥伝社新書)『歩を「と金」に変える人材活用術』(羽生善治氏との共著・廣済堂出版)、『森保一の決める技法』(幻冬舎新書)など著書多数。最新刊に『相撲を楽しむ技術』(琴風浩一氏との共著・第三文明社)、『プロスポーツビジネスと地域社会』(釜崎太氏、小澤一郎氏との共著・法政大学出版局)。

 

 

※1

*スポーツスクール会員数4年連続 国内No.1

・スポーツ施設を保有しない子ども向けスポーツスクール企業売上高上位3社の会員数で比較

・会員数の定義として、会員が同種目・異種目に関わらず、複数のスクールに通う場合はスクール数と同数とする。

*スポーツスクール数4年連続 国内No.1

・スポーツ施設を保有しない子ども向けスポーツスクール企業売上高上位3社のスクール数で比較

・キッズ・小学生で分かれている場合は、それぞれを1スクールとする。

*部活動受託校数2年連続 国内No.1

・部活動支援事業売上高上位3社の2025年の受託校数を比較

*支援部活動数 国内No.1

・部活動支援事業売上高上位3社の2025年の支援部活動数を比較

株式会社 東京商工リサーチ調べ 2025年12月時点

 

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リーフラス株式会社

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サッカー、野球、バスケットボール、ダンスなどのスポーツスクール事業を展開している リーフラス株式会社とのタイアップコーナーです。 日本のスポーツ、教育の現場における様々な社会課題解決に取り組む同社代表取締役の伊藤清隆氏が、 スポーツ界の有識者やご意見番をゲストに迎え、スポーツの未来を展望します。 司会進行は当HP編集長・二宮清純が務めます。

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