ペナントレースで負け越したチームが日本一に――。
 もし、そんなことにでもなったら、レギュラーシーズンの価値は地に墜ちたも同然だ。

 9月16日現在、セ・リーグは首位・巨人が2位・阪神に11.5ゲーム差をつけて独走している。マジックナンバーは5だ。ペナントレースの灯を消さないためにも阪神の粘りに期待したいところだが、この差を引っくり返すのは絶望的だ。

 問題は3位争いである。広島、中日、横浜DeNAという三つ巴でサバイバルレースを展開しているが、3位・広島でも借金4。3チームとも5割を割っている。

 2007年からスタートしたクライマックスシリーズ(CS)は事実上の弱者救済制度だ。3位までに入ってCSを制すれば、日本シリーズに出場することができる。道は日本一へとつながっているのだ。

 複雑な表情を見せるのは、首位を独走する巨人の球団関係者だ。
「弱者救済? 確かにそんなオモムキですよね。まぁ、この制度を導入した時から、(負け越したチームが日本一になるという)リスクはありました。しかし、ルールはルールだから、どうしようもない。
 制度の見直し? ウ〜ン、場合によっては、そんな声が出てくるかもしれませんね。ウチは当初から、この制度には問題があると考えていましたから……」

 過去、ペナントレースで負け越しながら、CSに進出したチームは09年のヤクルトだけ。ただ負け越しとは言っても、借金は、わずかに1だった。この時はファースト・ステージで姿を消している。

 解決策はあるのか。このプレーオフ制度のお陰で、弱小チームが潤っているのは紛れもない事実だ。廃止すれば、戦力格差は、さらに広がる可能性がある。
 とはいえ、5割をはるかに割り込んだチームが日本シリーズに進出した場合、レギュラーシーズンに意味はあるのか、となりかねない。

 負け越しチームにはCS出場権を与えない――。当面の落とし所は、このあたりか。

<この原稿は2013年9月6日号『週刊漫画ゴラク』に掲載された原稿を再構成したものです>

◎バックナンバーはこちらから