Jリーグがいよいよ3月1日に開幕する。今年はW杯イヤーということもあり、例年以上にサッカーが脚光を浴びる1年となりそうだ。その中で今季最大のポイントは、サンフレッチェ広島が史上2クラブ目(鹿島、07〜09年)の3連覇を達成できるかどうか――。
開幕屈指の好カード、広島対C大阪 連覇を狙う広島は昨季、その戦いぶりを相手に研究され、結果として持ち前の攻撃力は影を潜めた。それでも失点数リーグ最少の堅守で接戦をモノにし、上位をキープ。そして最終節での逆転優勝につなげた。
今年は連覇の原動力となったGK西川周作が浦和レッズへ移籍したが、代わりにベガルタ仙台から元日本代表GK林卓人を獲得。フィールドプレーヤーでもMF柴崎晃誠、MF柏好文ら他チームで主力を張っていた選手を補強した。迅速で的確な補強は、現場とフロントの意思疎通ができている証左だろう。
また、FW佐藤寿人、MF青山敏弘らこれまでの主力に加え、新たな才能も着実に育っている。ともに19歳のMF野津田岳人とFW浅野拓磨だ。シーズンの幕開けを告げる富士ゼロックス・スーパー杯で天皇杯王者の横浜F・マリノスを2対0で下した。勝利の立役者となったのがこの2人だった。「育成型クラブ」としての取り組みの成果が見てとれた。
これを受け、森保一監督は「今季もこれまで積み上げてきたサンフレッチェのスタイルを出したい」と路線継続を宣言した。攻守にバランスのとれたサッカーを貫き、最後は頂点に立つ――ブレない強さを武器に広島は3連覇に挑む。
広島の対抗馬は、セレッソ大阪だろう。周知のとおり、10年南アフリカW杯MVP&得点王のFWディエゴ・フォルランを獲得。今、Jで最も注目されているクラブと言っていい。フォルランは両足で正確かつ強烈なシュートを放ち、ゴールに遠い位置からも積極的に得点を狙う。アシスト能力にも長けた攻撃のオールラウンダーだ。コンディションを維持できれば、15ゴールは計算できる。日本代表FW柿谷曜一朗とのコンビは、相手にとって脅威になるはずだ。
フォルランはJにとって久々のビッグネームだ。ホームのC大阪のみならず彼を楽しみにスタジアムまで足を運ぶファン・サポーターは間違いなく増えるだろう。しかし、チームメイトの柿谷は「僕らがサポーターやメディアと同じ目線で接していたらうまくいかない」と語り、こう続けた。
「フォルランも『僕を絶対特別扱いしないでくれ』と言っている。ポジションが近いので、いいライバルだと思ってやっている」
C大阪には柿谷を筆頭に有望な若手が多い。彼らが世界屈指のプレーヤーと同じ土俵で切磋琢磨していけば、さらなる成長が見込める。悲願の初タイトル獲得へ、フォルラン効果を最大限に活かしたい。
広島とC大阪、この2チームが、いきなり開幕戦で激突する。優勝候補同士の戦いを制して勢いを得るのはどちらのクラブか。両チームのファンならずとも注目の一戦だ。
戦力充実の浦和、徳島は残留目標に 充実の戦力を誇る浦和も虎視眈々とリーグタイトルを狙っている。DF森脇良太やFW興梠慎三らを獲得した昨年に続き、今年は広島から日本代表GK西川を迎え入れた。他にもMF阿部勇樹、MF原口元気ら日本代表経験者がズラリ。この布陣でタイトルを逃せば、サポーターも黙ってはいまい。
浦和にとって、西川は8年ぶりの優勝へ向けてのラストピースだった。というのも昨季は、得点数がリーグトップ(66点)だったものの、失点も56点と多かった。特に第30節から最終節にかけては5試合で16失点。守備の崩壊が優勝争いから脱落する大きな要因となった。西川は昨季、広島の守護神としてリーグ最少失点(29点)に貢献。抜群の反射神経でスーパーセーブを連発し、幾度もチームのピンチを救った。的確なコーチングにも定評がある。
開幕戦はJ1復帰を果たしたガンバ大阪とアウェーで戦う。日本代表MF遠藤保仁、同DF今野泰幸擁する相手を攻守に圧倒できるのか。赤い悪魔の真価が問われる。
G大阪とともに、J2から昇格したのが四国初のJ1クラブとなった徳島ヴォルティスだ。昇格初年度で旋風を巻き起こせるか。
徳島はJ1で実績のある選手が少なく、どうしても戦力的に他クラブと比較してスケールの小ささは否めない。序盤は組織力で対抗しつつ、残留争いが佳境になる終盤に向けて個の力を伸ばしていく。小林伸二監督はそんなシーズンプランを描いているのはないだろうか。
幸い、昨季、12ゴールを挙げたエースFWドウグラスの慰留に成功した。徳島としては粘り強く守って、カウンターからドウグラスにボールをつなぐ回数を増やしたいところだ。四国勢初のJ1クラブは、地域に何をもたらせるのか。
J2、ラモス率いる岐阜に注目! J2では今年も名門クラブが初めてJ1から降格して戦う。3度のJ1年間優勝を誇るジュビロ磐田だ。もちろん目標は「1年でのJ1復帰」。それを達成すべく、DF駒野友一、MF山田大記、DF伊野波雅彦ら主力が多く残留した。J2屈指の選手層で、昇格レースを独走する可能性が高い。
また、今季から元日本代表MF松井大輔が新加入した。フランス、ブルガリア、ポーランドを渡り歩いたファンタジスタが10年ぶりにJへ戻ってきたのだ。入団会見では「やるべきこと、求められることもわかっているので、自分らしくプレーしたい」と決意を述べた。松井が攻撃のタクトを振るうことで、磐田に黄金期のような華麗さが戻ってくるかもしれない。
もうひとつ、J2で注目しているのがFC岐阜だ。今年1月、ラモス瑠偉が監督に就任した。ラモスにとって7年ぶりのJの現場復帰である。彼の熱意に動かされたのか、フロントも元日本代表GK川口能活、同DF三都主アレサンドロら実績ある選手を次々と補強。指揮官も「僕が要求したことをフロントはすべて与えてくれた」とサポートに感謝する陣容となった。一からチームづくりを進めることを指し引いても、J1昇格プレーオフ進出圏内の6位以内は十分可能だろう。
ラモスは常々、「理想は読売クラブがやっていたサッカー」と語っている。彼が現役時代にプレーした読売クラブのスタイルはパスサッカー。どんなに敵が密集していて空いているスペースが狭くてもショートパスをつないで崩す。サイド攻撃全盛の近年ではめっきり少なくなったスタイルで、就任1年目でラモスの考えをすべて浸透させるのは難しいだろう。それでもラモスは「徹底的に練習すれば2年目あたりからできるんじゃないかな」と先を見据える。独特の色を持ったチームに育ててもらいたい。
「県民とサポーターの期待を裏切らないチームを作って、成績を残したい。それだけよ」
ラモスは、こうも語っていた。
J2は12年からJ1昇格プレーオフ制度が導入されて以降、最終節まで熱戦が繰り広げられるようになった。また、下位チームには「明治安田生命J3リーグ」(J3)降格を巡る戦いが待っている。今季も最後までしびれる試合が続くだろう。
J3は初年度王者を目指して12チームが火花を散らす。ブラウブリッツ秋田、福島ユナイテッドFC、グルージャ盛岡による東北ダービーは盛り上がりそうだ。沖縄初のJクラブであるFC琉球は、相手にとって過酷な南国のホームゲームでいかに勝ち点を稼げるか。若手育成を目的としたJリーグ・アンダー22選抜(ホームを持たず、全試合がアウェー戦)の戦いぶりと、日本の将来を担う選手が現れるかどうかにも注目したい。
「スカパー!」は今季もテレビ・スマホ・PC・タブレットで、J1・J2リーグ戦を全試合生中継する。またJ3リーグ戦も全198試合のハイライト番組を放送し、注目試合は生中継する。2014年も、「スカパー!」でJを隅から隅まで堪能したい。キックオフのホイッスルが待ち遠しい。
J1・J2リーグ戦、全768試合徹底放送!
3月1日、2日はテレビ・スマホ・PC・タブレットで、J1・J2開幕戦全試合、無料生中継!!
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ベガルタ仙台 × アルビレックス新潟(14:00、ユアスタ)
ヴァンフォーレ甲府 × 鹿島アントラーズ(14:00、国立)
名古屋グランパス × 清水エスパルス(14:00、豊田ス)
セレッソ大阪 × サンフレッチェ広島(14:00、長居)
サガン鳥栖 × 徳島ヴォルティス(14:00、ベアスタ)
柏レイソル × FC東京(15:00、柏)
ガンバ大阪 × 浦和レッズ(19:00、万博)
・3月2日(日)
横浜F・マリノス × 大宮アルディージャ(13:00、日産ス)
川崎フロンターレ × ヴィッセル神戸(16:00、等々力)
【J2開幕戦組み合わせ】・3月2日(日)
東京ヴェルディ × 松本山雅FC(13:00、味スタ)
FC岐阜 × カマタマーレ讃岐(13:00、長良川)
ジュビロ磐田 × コンサドーレ札幌(14:00、ヤマハ)
水戸ホーリーホック × 大分トリニータ(15:00、Ksスタ)
横浜FC × 愛媛FC(15:00、ニッパ球)
ファジアーノ岡山 × カターレ富山(15:00、カンスタ)
ギラヴァンツ北九州 × 京都サンガF.C.(15:00、本城)
ロアッソ熊本 × アビスパ福岡(15:00、うまスタ)
ジェフユナイテッド千葉 × 栃木SC(16:00、フクアリ)
湘南ベルマーレ × モンテディオ山形(16:00、BMWス)
V・ファーレン長崎 × ザスパクサツ群馬(16:00、長崎県立)
【J3開幕戦組み合わせ】3月9日(日)
FC町田ゼルビア × 藤枝MYFC(13:00、町田)
Y.S.C.C.横浜 × ブラウブリッツ秋田(13:00、ニッパ球)
SC相模原 × ツエーゲン金沢(13:00、ギオンス)
ガイナーレ鳥取 × グルージャ盛岡(13:00、とりスタ)
AC長野パルセイロ × 福島ユナイテッドFC(13:00、味フィ西)
FC琉球 × Jリーグ・U−22選抜(15:10、沖縄県陸)
※このコーナーではスカパー!の数多くのスポーツコンテンツの中から、二宮清純が定期的にオススメをナビゲート。ならではの“見方”で、スポーツをより楽しみたい皆さんの“味方”になります。
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