第22回全日本高校女子サッカー選手権が、1月11日から17日にかけて静岡県磐田市で開催される。地域予選を勝ち抜いた21チームと予選を免除された前回優勝の常盤木学園高(宮城)が出場する。優勝の本命は史上初の大会3連覇を狙う常盤木学園とインターハイ2連覇中の日ノ本学園高(兵庫)。さらに前回大会ベスト8の藤枝順心高(静岡)が優勝に絡んでくると見る。高校女子日本一を賭けた熱戦を制するのはどのチームか。

 “大人”のサッカーで狙う3連覇

 常盤木学園は大会史上最多5度の優勝を誇り、一昨年、昨年と2連覇中だ。OGには鮫島彩(仙台)、田中明日菜(フランクフルト)、熊谷紗希(リヨン)ら現なでしこジャパンに名を連ねる選手がズラリ。豊富な人材と数多の栄光から高校女子サッカー界最強の称号を欲しいままにしてきた。しかし、一昨年から女子サッカーが正式採用されたインターハイでは2年連続で優勝を逃している。女王・常盤木学園にとって、選手権3連覇は至上命題なのだ。

 常盤木学園のサッカーを一言で表すなら、“大人”である。押し込まれる時間帯をしっかりと凌ぎ、逆に相手の勢いが弱まったと判断すれば、攻撃のスイッチを入れてゴールに襲い掛かる。昨年はこの戦い方で、2年ぶりになでしこリーグの2部にあたるチャレンジリーグを制した。2部とはいえ、高校生のチームが大人たちを次々と撃破したのである。

 注目選手は MF白木星(2年、U-19代表)だ。MF登録だが主戦場はFW。チャレンジリーグで13ゴールを叩き出し、得点女王に輝いた。身長169センチの恵まれた体躯を活かしたポストプレー、巧みなポジショニングは現なでしこのFW大儀見優季(チェルシー)とMF澤穂希(INAC神戸)を足したような印象を受ける。インターハイはヤングなでしこ(U-19代表)の海外遠征帯同のため不参加。頼れるエースの復帰は、チームにとって頼もしい限りだろう。

 白木のみならず、「AFC U-16選手権2013」得点女王のFW小林里歌子(1年、U-16代表)、 MF西川彩華(2年、U-19代表)、FW 伊藤美紀(3年、U-19代表)らタレントが揃う。盤石の布陣で夏の悔しさを晴らし、3連覇を達成できるか。

 夏冬連覇狙う西の女王

 日ノ本学園はインターハイで2年連続、常盤木学園を下した。昨年のインターハイは悪天候のため決勝が行われず、準決勝を勝利した2チームの同校優勝というかたちで大会2連覇を達成した。

 日ノ本学園の武器はMF入江未季(3年)とMF小島和希子(3年)の中盤コンビ。入江は得点感覚、キープ力、運動量の全てにおいて高水準を保ち、攻撃のスイッチを入れる役割も果たす。小島は精度の高いキックでチャンスを創出し、時には強烈なミドルシュートで自らゴールも狙う。多くのチャンスがこの2枚看板から生まれており、大会では厳しいマークに遭うことが予想される。入江、小島の負担を減らすために、他の選手がいかにハードワークして2人をカバーできるかがカギだろう。

 今大会予選では県予選と関西予選の序盤を控え選手中心の布陣で臨み、チームの底上げを図った。それでも予選では圧勝に次ぐ圧勝。県予選を含めて4試合で40得点という驚異的なスコアをマークした。また、予選を無失点で終えるなど、守備力も申し分ない。

 昨年末の皇后杯ではライバル・常盤木学園に6対0で圧勝しており、夏冬連覇に向けて視界は良好だ。

 アジアMVP擁する藤枝順心

 藤枝順心は常盤木学園、日ノ本学園と並ぶ3強の一角だ。前回大会は優勝した常盤木学園に0対0からのPK戦で準々決勝敗退。今大会は 06年以来、2度目の日本一を狙う。

 チームにはDF奥川千沙(3年、U-18代表)、MF杉田妃和(2年、U-16、U-17代表)ら年代別代表経験者が揃う。中でも杉田はリトルなでしこ(U-16代表)で主将を務め、「AFC U-16選手権2013」ではMVPに輝いた逸材。精度の高いパス、ドリブルでの仕掛けから局面を打開する。また、献身的に守備もこなすなど、フォア・ザ・チームで勝利に貢献する。

 藤枝順心は攻守の切り替えが早く、攻撃ではしっかりと組み立てながらゴールに向かう。近年は得点力不足に泣いていたが、11月の練習試合では日ノ本学園に4対0で勝利するなど着実に力をつけている。順当にいけば準決勝で常盤木学園と当たる。昨年のリベンジを果たし、2度目の全国制覇を成し遂げられるか。

 3強以外では、前回大会準優勝の神村学園高(鹿児島)、3度の優勝を誇る聖和学園高(宮城)なども虎視眈々と頂点を伺っている。今大会に出場する選手たちは、7年後の東京五輪・パラリンピックで主軸となる世代だ。7年後、なでしこジャパンの一員として世界と戦う選手が、この大会から出てくるのか。未来のなでしこ候補たちのプレーを今からチェックしておきたい。

 TBSチャンネル2にて無料放送決定!
 未来のなでしこジャパンを夢見る女子高校生プレーヤーの美しくも熱き戦いを見逃すな!



【第22回全日本高校女子サッカー選手権放送予定】

(すべてTBSチャンネル2で無料放送)

1月11日(土)9:00〜19:00
<1回戦>
 藤枝順心(静岡)× 山陽女学園(広島) 生中継
 日ノ本学園(兵庫)× 椙山女学園(愛知) 生中継
 大阪桐蔭(大阪)× 湘南学院(神奈川) 生中継
 常盤木学園(宮城)× 本庄第一(埼玉) 録画放送
 作陽(岡山)× 十文字(東京) 録画放送
 常葉学園橘(静岡)× 大谷室蘭(北海道) 録画放送

1月12日(日)10:00〜18:00
<2回戦>
(常盤木×本庄第一の勝者)× (宮崎日大高×鳴門渦潮の勝者) 生中継
(日ノ本学園×椙山女学園 の勝者)× (星陵×飛鳥 の勝者) 生中継
(藤枝順心×山陽女学園 の勝者)× (津田×福井工大高 の勝者) 録画放送
(広島文教× 開志学園 の勝者)× (松山東雲×修徳 の勝者) 録画放送

1月13日(月)10:00〜18:00
<準々決勝>
 4試合中2試合生中継、2試合録画放送

1月15日(水)19:40〜23:00
<準決勝>
 2試合録画放送

1月16日(木)19:40〜23:00
<決勝>
 録画放送

※このコーナーではスカパー!の数多くのスポーツコンテンツの中から、二宮清純が定期的にオススメをナビゲート。ならではの“見方”で、スポーツをより楽しみたい皆さんの“味方”になります。
◎バックナンバーはこちらから