東北楽天の新外国人ケビン・ユーキリスの評判がいい。“不動の4番”アンドリュー・ジョーンズ(A・J)の後ろを打つことになりそうだ。

「実はユーキリスの楽天入りをアシストしたのがA・Jなんですよ」
 とは楽天幹部。こう続けた。

「入団交渉を行っているなかでA・Jがユーキリスに電話してくれたんです。これがウチに来る決定打となった。A・Jにしてみれば“ユーキリスがオレの後を打ってくれれば”との思いもあったのでは。A・Jは“ユーキリスは人間的にもしっかりしている”と話していました」

 昨季の楽天のリーグ優勝、日本一は5番ケーシー・マギー(現マーリンズ)の活躍に依る所が大きかった。勝負強い打撃でA・Jを支えた。今季はマギーの役割をユーキリスが担うことになる。

 ユーキリスのキャリアは華々しい。主に名門レッドソックスでプレーし、オールスターゲームに3度も選出されている。
 メジャーリーグ通算1053安打、150本塁打、618打点。守備もよく、07年にはサードでゴールデングラブ賞に輝いている。

 しかし、球団が彼に白羽の矢を立てた理由は別のところにある。出塁率とランナー有りの場面での打率が極めて高いのだ。

 まず出塁率だが、メジャー通算打率が2割8分1厘であるのに対し、こちらは3割8分2厘。いかに選球眼がいいかを物語っている。

「メジャーのバッターの一流と二流の違いはボール球に手を出すか出さないか、なんです」
 とは日米7球団でプレーした木田優夫(現BCリーグ・石川)のセリフだが、ユーキリスはその典型と言えよう。

 得点圏打率について言えば、ランナー無しが2割4分8厘であるのに対し、ランナー有りは3割1分9厘。クラッチヒッターの面目躍如である。

 A・Jに続き、ネームバリューだけでなく玄人受けする外国人の獲得に成功した楽天。虎視眈々と連覇を狙っている。

<この原稿は2014年3月24日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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