第559回 赤ヘルに「交流戦」という名の試練

facebook icon twitter icon
 23年ぶりのリーグ優勝を狙う広島にとって鬼門は交流戦である。これまでの9シーズンで広島が勝ち越したのは2008、09年のわずか2度だけ。通算成績は96勝134敗10分け、勝率4割1分7厘である。
 この数字は12球団で横浜DeNAの89勝145敗6分けに次いでワースト2。いかに広島が交流戦を苦手にしているかが窺えよう。
 11年にはリーグワーストの連続50イニング無得点という不名誉な記録を残している。


「しかし、今年のカープは一味も二味も違う。ローテーションには大瀬良大地、九里亜蓮という新戦力が加わり、不動の4番にはブラッド・エルドレッドがいる。よもや負け越すことはないでしょう」
 ある球団関係者は、自信たっぷりにそう語っていたが、スタートからつまずいてしまった。
 パ・リーグ2位の福岡ソフトバンク、首位のオリックスに4連敗。好調な2チーム相手とはいえ、先行きが思いやられた。

 交流戦が1カード3試合から2試合になったのは07年からだが「これにより、戦い方が大きく変わった」と語るのは、あるセ・リーグ球団のスコアラー。「3試合やれば、まぁ普通は2勝1敗か1勝2敗。3連勝や3連敗ということは、余程のことがない限り起きません。
 ところが2連戦だと、互いにエース級を立てるから2連勝、2連敗がありうる。残念ながら好投手はセよりもパの方が多い。3試合制から2試合制になったことで、よりパ・リーグが有利になったと見ています」

 まだパ・リーグに好投手が多いものの、ダルビッシュ有(レンジャーズ)や田中将大(ヤンキース)のような“難攻不落の城”ではない。セ・リーグ勢にもチャンスはあったはずだ。

 しかし、交流戦でセ・リーグはパ・リーグに大きく負け越している。広島にいたっては借金10で交流戦最下位である(16日現在)。かつて「鯉のぼりの季節まで」と揶揄されていたた広島。どうにか、それを乗り切りはしたが、後門の狼とばかりに待っていたのが交流戦だ。パ・リーグという名の滝は高く険しかった。

<この原稿は2014年6月16日号『週刊大衆』に掲載された原稿を一部再構成したものです>

facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP