5日から後期がスタートしました。前期はあと一歩のところで優勝することができませんでしたので、その悔しさを晴らしたいと思っています。最大のポイントは、やはり群馬ダイヤモンドペガサス戦でしょう。前期は、優勝した群馬に3勝7敗1分けと大きく負け越してしまいました。いかに群馬戦で白星を増やすことができるかがカギを握ってくるはずです。
 前期で一番印象に残っているのは、5月30日の群馬戦です。新潟は1、2回にそれぞれ3点ずつを挙げ、序盤で6−0と大量リードを奪っていました。ところが中盤以降、群馬がじりじりと追い上げ、7回には一挙6得点。結局、この試合、6−9で新潟は逆転負けを喫したのです。今年の群馬の恐ろしさを感じた試合でもありました。とはいえ、負け続けるわけにはいきません。

 群馬打線の柱は、打率、打点、本塁打と現在3冠のカラバイヨです。新潟もカラバイヨにやられる試合は少なくありません。彼をどう抑えていくかが、群馬戦の最大の課題と言ってもいいでしょう。確かに、カラバイヨはBCリーグにおいて強打者です。しかし、選手たちが本気でNPBに行きたいと思うのであれば、カラバイヨを抑えないといけません。

 真っ向から力で抑えるのは難しい。しかし、選手にはそれぞれスピードやコントロール、変化球のキレなど、何らかの武器があるはずです。その自分の持っているものを、全力でぶつけて欲しいのです。そのためには、やはり日頃のトレーニングが重要です。与えられたメニューだけをこなすのではなく、「もっと上を目指すんだ」という気持ちで、プラスアルファのトレーニングをしていってもらいたいと思っています。

 そんな中でも成長が感じられたのは、2年目、19歳の田村勇磨(日本文理高)です。昨年は1勝(1敗)だった田村ですが、今年は前期で4勝(1敗)を挙げました。防御率1.11はリーグトップ。こちらもリーグトップの7勝(3敗)を挙げている間曽晃平(横浜商業高−神奈川大)とともに、主戦として頑張ってくれています。マウンドでの立ち姿を見ても、非常に度胸があるピッチャーです。

 しかし、田村はあまり練習が好きではありません。それでもこれだけの成績を挙げているわけですから、もっと練習さえすれば、さらにいい成績を残すことができるはずです。後期はフル回転で起用するつもりなので、さらに成長していって欲しいと思います。

 待たれるキーマン荒井の活躍

 一方、野手はというと、全体的に元気がありません。打率が3割に到達しているのは、平野進也(東福岡高−武蔵大)とデニング(豪州)の2人のみ。チーム全体が、明確な目標がなく、モチベーションが下がっているように感じられます。このままでは後期も同じ結果となることは想像に難くありません。自分は今、なぜこのリーグで野球をやっているのか。そのことを改めて見つめ直し、前期とは違う姿を見せて欲しいですね。

 後期のキーマンをひとりあげるとすれば、荒井勇介(文星芸大附属高−中央学院大)です。昨季は、内に秘めたものを持っている荒井がプレーで引っ張り、チームが波に乗ることが少なくありませんでした。しかし、今季はまだ力が出し切れていません。

 先日の6日の群馬戦、4−4で迎えた最終回、2死から2番・佑紀(日本文理高−平成国際大)がヒットで出塁し、盗塁を決めて2死二塁という場面で3番・荒井を迎えました。しかし、結果は三振。「ここで荒井が打ってくれていたら……」という場面だっただけに、残念な結果に終わりました。今後、奮起してくれることを期待しています。

 現在、後期は0勝1敗1分と勝ち星を挙げることができていません。チーム全員が変わっていかないことには、前期と同じ結果となってしまいます。球場に足を運んでくださるファンのためにも一戦、一戦を必死に戦い、チームスローガンである「最強」を目指していきたいと思います。

内藤尚行(ないとう・なおゆき)>:新潟アルビレックスBC監督
1968年7月24日、愛知県出身。豊川高から87年、ドラフト3位でヤクルトに入団。その後、ロッテ、中日でプレーし、97年限りで現役を引退。現役時代から「ギャオス内藤」の愛称で親しまれている。2013年より新潟アルビレックスBCの監督を務める。
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