5月21日(日本時間22日)、モスクワ・ルジキニ・スタジアムにて2007-2008UEFAチャンピオンズリーグの決勝が行われる。今年のファイナルに残ったのは98-99シーズン以来3度目の栄冠を目指すマンチェスター・ユナイテッドとクラブ史上初の制覇を目指すチェルシー。チャンピオンズリーグの決勝でイングランド勢同士が対戦するのは、欧州チャンピオンズカップ時代を含めて史上初だ。
 チェルシーにとってここまでの道のりは決して平坦ではなかった。チームの不調、監督の交代などあったが、それらを乗り越えて3勝3分で決勝トーナメントに進出した。

 決勝トーナメント1回戦、ホームで迎えたオリンピアコス戦ではここまでケガで目立った活躍が出来ていなかった皇帝ミヒャエル・バラックが躍動。2得点に絡んで8強入りの原動力となった。続くフェネルバフチェ戦でも第2戦でバラックが2試合連続のゴールを決める。最後はフランク・ランパードが逆転ゴールを決め、劣勢をはね返した。バラックの復調に呼応するようにチームは本来の姿を取り戻しつつある。

 準決勝のリヴァプール戦では、第1戦を相手のミスに助けられるかたちで引き分けると、第2戦では120分の激闘をランパードとディディエ・ドログバの劇的ゴールで制したチェルシーが悲願の決勝進出を果たした。

 一方のマンチェスターUは、グループリーグを5勝1分で難なく通過すると、決勝トーナメント1回戦ではリヨン、準々決勝のローマと順調に勝ち上がってきた。

 マンチェスターUの強みは試合によって戦い方を変えることができることだ。リーグ戦ではクリスティアーノ・ロナウド、ウェイン・ルーニー、カルロス・テベスの強力トライアングルを武器に得点を量産し、相手の戦意を奪ってきたが、チャンピオンズリーグでは堅実な戦いを披露している。決勝トーナメント進出以降、マンチェスターUが2点以上奪った試合は1試合のみだ。あえて魅せるサッカーを捨てて、勝ち抜くためのサッカーを選んだアレックス・ファーガソン監督はさすが百戦練磨の知将だ。

 準決勝のバルセロナ戦では、第1戦でC・ロナウドがPKを失敗してしまい引き分けに終わったが、第2戦ポール・スコールズのミドルシュートでマンチェスターUが決勝進出を決めた。

 今シーズンの両者の対戦成績はともにホームで上げた1勝1敗と互角。昨シーズンのイングランド協会(FA)杯では、延長の末、チェルシーがマンチェスターUを1−0で降した。

 勝負のポイントは、マンチェスターUのディフェンスをいかにチェルシーが崩せるか。マンチェスターUには攻撃のイメージがあるが、実は守備も堅い。チャンピオンズリーグでは12試合で5失点。そのうち決勝トーナメント以降の6試合で奪われた得点は1回戦リヨン戦で喫したわずか1点のみという堅守を誇る。復帰が濃厚のネマニャ・ビディッチ、リオ・ファーディナンドのセンターバックコンビは屈強なチェルシーといえども簡単には突破できないだろう。もしこの2人を突破したとしても最後尾には守護神エドウィン・ファン・デル・サールがいる。

 チェルシーは両ウイングを使ってうまく相手を崩したい。いくらドログバといえども前述のディフェンス陣をひとりで突破することは困難だ。となるとジョー・コール、サロモン・カルーの両翼の働きが重要になってくる。サイドで高い位置を取り、マンチェスターUの両センターバックを誘い出したい。突進力のあるミカエル・エシアンの攻撃参加もひとつのアクセントになるだろう。

 サッカーの女神は今年もまた決勝戦にサプライズを用意しているのだろうか。結末はもうそこまで迫っている。

・5月22日
マンチェスターU − チェルシー (3:15、モスクワ・ルジキニ・スタジアム)

※海外の情報はすべて日本時間