オフのFA市場の最大の目玉はオリックスのエース金子千尋である。
 今季16勝5敗、防御率1.98の好成績で、最多勝、最優秀防御率の2冠を獲得した。奪三振199もリーグ2位だ。


 昨季、東北楽天の日本一の立役者となった田中将大(現ヤンキース)が投手部門のタイトルを総ナメにするなか、奪三振王だけは金子に譲った。田中が海に渡った現在、日本で最も安定感のあるピッチャーと言っても過言ではない。

 どれだけ金子がすごいか。まずは敵方の声から。
「金子さんは、すべて同じリズム、同じ腕の振りで投げてくる。特に厄介なのがチェンジアップ。投げた瞬間はストレートに見えるため、(ボールとの)距離感が掴めない。最初からチェンジアップを狙っていないとバットにも当たらない。もし、それでストレートを待っていたら、お手上げです」(楽天・枡田慎太郎)

「ナンバーワン投手は金子さんでしょう。球種が多い上に、どの球種も一級品。どのボールでもストライクがとれ、どのボールでも勝負できる。(攻略するのが)非常に難しいピッチャーです」(福岡ソフトバンク・長谷川勇也)

 身内からも金子を称賛する声はあとを絶たない。
「彼は勝負どころでの変化球の使い方が抜群にうまい。たとえばスライダーならストライクゾーンを通過させ、最後はボールゾーンで勝負する。このように、いいピッチャーはボール球で勝負することができるんです。だからコンスタントに勝てるんですよ」(オリックス・西本聖2軍育成チーフコーチ)

 金子を巡っては、国内球団では阪神が既に獲得のための調査を進めている。海の向こうに目を向けるとマリナーズをはじめとする数球団が興味を示していると言われる。

 もちろん、オリックスもこれだけの大エースを易々と手放しはしないだろう。金子の動向に注目が集まる。

<この原稿は2014年10月6日号『週刊大衆』に掲載された原稿を一部再構成したものです>


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