二宮: 舞台から女優の道へ。劇団では飲み会の機会も多かったでしょう。
吉田: もう、よく飲みましたね。脚本、演出ができる女性と「東京スウィカ」という劇団を立ち上げて約8年やっていましたが、その頃は飲むか、舞台か(笑)。毎公演後、近くの居酒屋でお客さんも交えて「明日も頑張ろう」と決起集会をやる。お客さんも飲み会を楽しみに舞台を観に来ていました。

 飲み会で決まるキャスティング

二宮: 私も学生時代は下北沢の小劇場によく行きましたね。唐十郎さんの状況劇場が大好きで、花園神社の紅テントにもよく行きました。唐さんとは以前は事務所が近かったので、会うとお酒を飲んでいましたよ。私にとっては神様とお酒を飲んでいるような気分でした。
吉田: 三谷幸喜さんの舞台で共演した風間杜夫さんは、ステージから降りたら飲んでいるという印象でした(笑)。お酒が、あのパワーの源なんだとビックリしました。

二宮: 俳優さんはお酒も芸の肥やしにしている面がありますよね。
吉田: 私も劇団でお酒を学んだと言っても過言ではないですね。舞台を始めた時に「これから女優を続けるなら、お酒のひとつも飲めた方がいい」と言われました。実際、小劇団の世界ではお酒の席で仕事が入ることも多い。「来月、空いてる? これ、出てみない」とキャスティングが決まっていくんです。

二宮: いろんな意味で小劇場が吉田さんの原点になっているわけですね。
吉田: 最近は舞台に立つことが少なくなりましたが、劇場に行くと独特の空気感に懐かしい気分になります。劇場で、その空気をかぐのが好きなんです。舞台では汗をかいて芝居をするのに憧れていました。頑張って汗をかける女優になりたいと思っていたのに、なかなかうまくいかない。でも、映像の世界に来ると、逆に「汗をかかない方がいいんだよ」と言われました。その意味では、この道に進むのは必然だったのかもしれません。

二宮: この秋からはフジテレビ『オモクリ監督』で初のバラエティー番組のレギュラーを務めるなど活躍の幅を広げています。忙しい日々だと思いますが、健康管理で気をつけていることは?
吉田: 羊なのに雑食で(笑)、食い意地が張っているので、食べ過ぎたら断食をするんです。食べる時は食べる。食べない時は食べない。0か100か、でメリハリをつけるようにしています。

二宮: 撮影前日には、さすがにニンニク料理とかは食べられないでしょう。
吉田: そうなんです。大好きなんですけど、食べられない(笑)。先日もロケ現場の近くに韓国食材のお店があって、お手製のキムチがおいしそうだったんです。思わず、大量に買って帰ったのですが、撮影が続くので食べられない……。

二宮: 体を動かしたり、スポーツをすることはありますか。
吉田: 以前、「ゴルフくらい、お付き合いでできた方がいい」とマネジャーさんと一緒に始めたのですが、一向にうまくならない(笑)。ちゃんとコーチについてレッスンをしてもらったのに、全然飛ばないんです。負けず嫌いな性格なので一生懸命練習したんですけど、「これはセンスがない」と断念しました。始めたばかりの頃、知り合いにつくっていただいたゴルフセット一式が今では宝の持ち腐れになっています。聞くと、プロ仕様でかなりいいクラブらしいのですが……(苦笑)。

 セリフは自然と出る言葉に

二宮: これからも映画、ドラマの出演が続くでしょうが、どのくらい同時並行で撮影を行うのでしょうか。
吉田: ひと月で4役やったこともあります。頭の切り替えが大変で、パンクしそうでしたね。4人分の人生を生きるので、ヘトヘトになるんです。

二宮: 4役ともなると、演じ分けるのは大変でしょうね。
吉田: 幸いにも4役とも全く違うキャラクターだったので、まだスイッチを別々に入れることができました。私は役を演じる際に資料はあまり見ないタイプ。専門的知識が必要な役柄の時には用語の意味くらいは勉強しますが、基本的には台本に書かれている内容を体現しようとしていますね。

二宮: その中で公表してもよい作品があれば教えてください。
吉田: 先月撮り終わった映画で『脳内ポイズンベリー』に出演します。原作は水城せとなさんの漫画。恋に奥手な女の子が主人公で、その脳内でいろんなキャラクターが会議をしながら、彼女の恋を後押ししていく。私はその中で、何事もネガティブに考えるキャラクターです。あえてコミカルにやることで笑いをとる役回りなので、現場はとても楽しかったですね。

二宮: 脳内のキャラクターだと、役作りが大変でしょうね。
吉田: むしろ参考になるものがないので、自由にできました。佐藤祐市監督からは「笑えるネガティブにしたい」という要望があったんです。とことんネガティブにやっていくと、回り回ってポジティブに見えてくる。演じていて、新たな発見がありました。来年5月の封切りですから、ぜひ観にいらしてください。

二宮: その他の出演予定作は?
吉田: 新年からNHKの木曜時代劇『風の峠〜銀漢の賦〜』に出演します。中村雅俊さんと柴田恭兵さんがW主演です。そしてTBS系の金曜夜10時からのドラマ『ウロボロス』にも出演させていただきます。こちらは生田斗真さん、小栗旬さん、上野樹里さんがメインキャストの刑事ものです。

二宮: いろんな役が同時進行で続くと、セリフを覚えるのも一苦労でしょう。それこそ吉田さんの脳内がどうなっているのか気になります(笑)。
吉田: そんなにたいしたものではないですよ(笑)。訓練でできます。自分の中でセリフが腑に落ちると、スッと入ってきますね。だから、専門用語が並ぶ説明のセリフが一番難しい。最近は私も、ある程度、任されるようになってきたので、その点はやりやすいです。

二宮: では、台本のセリフも言いやすいように変えると?
吉田: ここは変えてはいけないと思われる部分は別にして、言い回しは変えますね。演じる際には、ただのセリフになってはダメ。その役柄から自然と出てくる言葉にしなくてはいけないと思っています。

二宮: それでもセリフと自分の感情が合致しない時はどうするのですか。
吉田: 私はそう思わないけど、どうして、この役はこんな言い方をするんだろう、と考えますね。そこから役のイメージを膨らませていく。私の中に全くないものは出せませんが、なるべく役に自分自身を近づけていく。この作業も役者としての幅を広げるには必要だと感じています。

 憧れは田中裕子さん

二宮: 一番長いセリフでは、どのくらいになるのでしょう。
吉田: つい最近、撮影したのは台本で9ページもありました。時間にすると10分弱。車内のシーンで動きも少ないので、連動して覚えられないところが大変でした。

二宮: 特に大ベテランの俳優さんと共演する際には、「セリフを間違ってはいけない」と緊張するのでは?
吉田: 確かにプレッシャーはかかります。ただ、キャリアを積んでいる方は包容力がある。NGを出しても「大丈夫、大丈夫。緊張するよね」と優しく声をかけてくださるんです。演技に関しては厳しい面があっても、その根底には優しさがある。これは皆さんに共通する部分ですね。

二宮: 目標としている女優さんはいますか。
吉田: 目標と呼べるかどうかわかりませんが、「こんなお芝居ができるようになったらいいな」と思っているのは、田中裕子さんです。決して目立つ役ではなくとも田中さんが演じると、役柄の背景までが自然と想像できてしまう。そんな演技ができるようになりたいですね。

二宮: そう言われれば田中裕子さんとは、どことなく雰囲気も似ている気がします。
吉田: ありがとうございます。ゆくゆくは、私自身も「吉田羊みたいになりたい」と思っていただけるような女優を目指したいと思っています。

二宮: 今回はとても楽しかった。そば焼酎「雲海」のSoba&Sodaを飲みながらだと話も弾みますね。
吉田: 本当ですね。対談場所に選んだ「高太郎」さんのおでんも、そば焼酎「雲海」のSoba&Sodaによく合いますよね。「高太郎」さんはカジュアルスタイルのおでん屋さんですが、どんな料理にも、どんな雰囲気のお店でも、Soba&Sodaはピッタリくる。それが魅力だと感じます。

二宮: Soba&SodaのCM次回作も期待しています。
吉田: 私も楽しみにしています。最近はそば焼酎「雲海」の500mlペットボトルが出て、これがちょうどいいサイズなんです。友達にもプレゼントすると、とっても喜ばれます。まだ福岡県限定発売だそうで、ぜひ全国展開していただきたいですね。

二宮: では、締めに改めて乾杯を。
吉田: CMでは「すっきり、かろやか」と言っていますから、掛け声は、これにちなんで。「すっかろー!」
二宮: アハハハ。それはおもしろい。すっかろ!

(おわり)

吉田羊(よしだ・よう)
2月3日、福岡県生まれ。2001年、劇団「東京スウィカ」を旗揚げ。07年、フジテレビ『愛の迷宮』でドラマデビュー。08年のNHK連続テレビ小説『瞳』、11年のNHK大河ドラマ「江」、12年のNHK連続テレビ小説『純と愛』などに出演。舞台にも三谷幸喜作・演出の東京サンシャインボーイズ復活公演『returns』(09年)、『国民の映画』(11年、14年)などに出演する。今年公開の出演映画は『魔女の宅急便』『六月燈の三姉妹』『幕末高校生』。7月からのフジテレビ月9ドラマ『HERO』では女性検事役で好評を集める。NHK『SWITCHインタビュー達人達』ではナレーションを担当。10月からフジテレビ『オモクリ監督』で進行役として、初のバラエティー番組レギュラーを務める。新年1月からはNHK木曜時代劇『風の峠〜銀漢の賦〜』、TBS系ドラマ『ウロボロス』に出演する。
>>公式サイトはこちら



日本初の本格そば焼酎「雲海」。時代とともに歩み続ける「雲海」は、厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
おでん高太郎
 春夏秋冬、おいしいお酒とおでんが楽しめるお店です。

東京都世田谷区奥沢5−37−10(東急東横線自由が丘南口徒歩6分)
TEL:03-3721-3738
営業時間:
17:00〜24:00(L.O.23:30)
火曜日定休

☆プレゼント☆
 吉田羊さんの直筆サイン色紙を本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「吉田羊さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は12月11日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、吉田羊さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)


◎バックナンバーはこちらから