毎年、この季節になると想うことだが、1年が過ぎるのが本当に速い。アッという間に師走だ。
 例年通り、今年も12月は格闘技シーズンとなる。年末に向けて総合格闘技、プロボクシングのビッグイベント開催が続々と発表されている。気分が盛り上がらぬわけがない。
(写真:井上尚弥、拓真兄弟はオマール、ネストールのナルバエス兄弟との兄弟対決が組まれた)
 中でも目を引くのが、30日、大晦日のプロボクシング世界戦ラッシュ。なんと、この2日間で日本において8試合もの世界タイトルマッチが行われることになったのだ。

 まずは12月30日、東京体育館での『ボクシングフェス2014 SUPER BOXEO』、フジテレビ系にて中継。
▼WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ 
オマール・ナルバエス(王者・アルゼンチン)vs.井上尚弥(挑戦者8位・大橋)
▼WBC世界ライトフライ級王座決定戦
ペドロ・ゲバラ(1位・メキシコ)vs. 八重樫東(3位・大橋)
▼WBC世界ライト級王座決定戦
ホルヘ・リナレス(1位・ベネズエラ)vs.ハビエル・プリエト(2位・メキシコ)
 ここに村田諒太(帝拳)vs.ジェシー・ニックロウ(米国)のミドル級ノンタイトル戦も加わる。

 翌日の大晦日はダブル興行。

<大田区総合体育館、テレビ東京系にて中継>
▼WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
内山高志(王者・ワタナベ)vs.イスラエル・ペレス(挑戦者8位・アルゼンチン)
▼WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
河野公平(王者・ワタナベ)vs.ノルベルト・ヒメネス(挑戦者5位・ドミニカ共和国)
▼WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ
アルベルト・ロセル(王者・ペルー)vs.田口良一(挑戦者8位・ワタナベ)

<大阪ボディメーカーコロシアム、TBS系にて中継>
▼WBA&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
ギジェルモ・リゴンドー(王者・キューバ)vs.天笠尚(挑戦者WBAフェザー級11位、WBO同級9位・山上)
▼IBFミニマム級王座決定戦
高山勝成(3位・仲里)vs.大平剛(6位・花形)
 加えて井岡一翔(井岡)vs.ジャン・ピエロ・ペレス(ベネズエラ)のノンタイトル戦も行われる。

 何とも豪華なラインアップだ。
 3階級制覇に挑む八重樫、2階級制覇に燃える井上の闘い、内山の1年ぶりのファイトなどなど……実に楽しみ。また、この中にひとつ異質な世界戦が含まれているのも興味深い。

 大阪で行われるリゴンドーvs.天笠だ。
 リゴンドーはシドニー、アテネ五輪(バンタム級)の2大会連続金メダリスト。米国へ亡命後、プロに転向、昨年4月にはノニト・ドネア(フィリピン)を3−0の判定で退けてWBAとWBOの王座を統一した強豪である。

 そんな大物に一般には無名のファイター・天笠が挑む。なかなか思いつけないマッチメイクだ。天笠は現OPBFフェザー級王者で、ボクシングファンの間には、「意外性のある一発屋」のイメージがある。普通に考えれば、リゴンドーの勝利は動かないだろうが、まったくタイプの異なる選手同士の闘いだけに、注目せずにはいられない。

 さて最後に、大晦日には総合格闘技のビッグイベントも2つ開催される。両国国技館では恒例の『INOKI BOM-BA-YE2014』(ミルコ・クロコップと石井慧の再戦)、また、さいたまスーパーアリーナでは『DEEP DREAM IMPACT2014大晦日special』が行われる。

 大晦日は、どの会場に足を運ぶか。今年もギリギリまで迷いそうだ。


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近藤隆夫(こんどう・たかお)
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実〜すべては敬愛するエリオのために〜』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー〜小林繁物語〜』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン 〜人種差別をのりこえたメジャーリーガー〜』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『忘れ難きボクシング名勝負100 昭和編』(日刊スポーツグラフ)。
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