狙う的はただひとつだ。
 ダイキ弓道部が成年女子での6年ぶり国体出場へ調子を上げてきている。14日の愛媛県代表最終選考会を終え、主将の北風磨理が1位、山内絵里加が2位、玉木里奈が3位で代表入りの権利(上位4名)を得た。また5位だった岡本豊未は強化合宿に参加する。8月の四国ブロック予選まで、残り2カ月。大きな目標へ矢を放つ部員たちに話を聞いた。
「的中率は限界に近いくらい上がっています。普段通りの力を出してくれれば大丈夫と言える状態です」
 青野常孝監督は部員たちの状態に目を細める。昨年は5年連続でのブロック予選敗退となり、主将を務めた原田喜美子が引退。新体制で再出発した今年は、まず練習量をアップさせるところから始めた。

 1カ月の練習本数は従来から200本増。その効果を入社2年目の玉木は「体力がついた。疲れて集中力が切れることがなくなった」と明かす。山内は的中率が75%前後だった昨年から、80%に上昇したという。

 5月に北風、山内、玉木のメンバーで参戦した住吉大社遠的大会(大阪)、全日本弓道大会(京都)は入賞こそならなかったが、6月の全日本勤労者弓道選手権(岩手)では1次予選を12本中8中で通過。2次予選は9中と的中を上げて決勝トーナメント進出を果たした。

 決勝トーナメントもマツダ防府(山口)との初戦を10−6で快勝してベスト8入り。準々決勝は安永(三重)に9−10で競り負けたが、北風は「実績が上がってきている手応えがつかめた」と振り返る。
「試合に慣れることで心構えや精神面が強くなることを期待しています」
 青野監督は実戦経験が部員の成長につながることを望んでいる。

「試合で落とし穴がある」
 青野監督が指摘する通り、ここ数年のブロック予選では本来の力を出し切れず、出場権を逃すことが多かった。昨年も最初の近的で、まさかの4県中最下位。遠的では2位だったが、総合成績3位で上位2県に入れず、涙を飲んだ。

 それだけに、山内が掲げるように「近的をいいかたちで入り、遠的と両方で2位以内に入る」ことが重要だ。ブロック予選まで、好不調の波を減らし、安定した射を維持することがテーマとなる。

 この点も練習の過程で、「どこから、どう悪くなるかわかってきた。修正ポイントがわかって、調子が悪い状態からすぐ抜け出せるようになった」と北風は変化を口にする。山内も「波はあるが、いい状態をキープしている。全体的に安定してきた」と胸を張る。

 ブロック予選に向け、選手たちの意欲も、より高まっている。玉木は体力強化を兼ねて自主的にランニングを実施。勝負どころで夏バテしないように心がけている。今回、惜しくも代表入りを逃した岡本は「1本の大事さを痛感した。練習から試合と同じ気持ちで引きたい」と気持ちを切らすことなく弓に打ちこんでいる。

 今回のブロック予選は地元・松山市内が開催地。地の利も味方につけ、国体が行われる和歌山行きの切符を手にしたいところだ。
「今の練習量を継続させ、故障が出ないようにいいかたちで臨ませたい」
 青野監督は「平均値を出してくれれば大丈夫。気楽な気持ちで引いてほしい」と部員に“平常心”を求める。

 昨年のブロック予選に出場した玉木は「調子は悪くなかったが緊張した。周りの雰囲気に飲まれないようにしたい」と話す。「青野監督からは“そのままでいい”と言われている」という山内も自身8年ぶりの国体へ静かに意気込む。

「今年こそは大丈夫という気がしています」
 主将の北風は自信を深めている。あと2カ月、100%の状態でブロック予選の的に向かうべく、選手たちは1日1日、1本1本を大切に過ごしていく。  

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(石田洋之)

(このコーナーでは2017年の「愛顔つなぐ えひめ国体」に向けた愛媛県やダイキのスポーツ活動について、毎月1回レポートします)


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