二宮: 2杯目は、「那由多(なゆた)の刻(とき)」のロックでいきましょう。
添田: あっ、ソーダ割りもおいしかったですけど、ロックも結構いけますね。普段、ロックはたくさん飲めませんが、これは飲みやすくてスイスイ入っていく(笑)。

二宮: 気に入っていただけて良かったです。
添田: 焼酎とは思えない味わいですよね。洋酒に近い感覚なので外国人も気に入るかもしれません。

二宮: ぜひ遠征先にも、「那由多(なゆた)の刻(とき)」を(笑)。
添田: 1本くらいならバッグに入れて持っていけるサイズですよね。外国人はやはりビールやワイン、シャンパンがメインなので、日本の焼酎も勧めてみようと思います。

 テニス選手は経営者!?

二宮: 今までで一番、お酒がおいしいと感じた瞬間は?
添田: やっぱりデビスカップでチームで勝った時のお酒はおいしいですね。個人戦と違って皆でお酒を飲める。2年前のデビスカップでワールドグループ復帰を果たした試合後も祝杯をあげました。テニスは団体で戦う機会が少ないので、野球などのチーム競技でビールかけやシャンパンファイトをしているのを見るとうらやましい。

二宮: 個人だと大勢では喜びを分かち合えませんからね。
添田: もちろん、個人戦でも勝った後にロッカーでお祝いをすることはあります。ただ、同じロッカーに負けた選手がいることもあって、あまり騒げない……。

二宮: 今、話が出たようにテニスは基本的に個人競技。コーチやトレーナーはいても、自分のことは自分で管理しなくてはいけませんよね。
添田: だから試合以外でも、やることが山積みです。次の遠征のスケジュールを決めて、フライトや宿泊先を手配したり、コーチやトレーナーの代金を支払ったり……。マネジャーをつけてもいいのでしょうが、それもお金や手間がかかる。もう今では慣れてしまって、自分のことは自分でやった方が早いですね(笑)。

二宮: 移動の飛行機も試合が続くとエコノミークラスにずっと乗るわけにもいかないでしょう?
添田: そうですね。ゆっくり寝られないと疲労がとれないので、長いフライトはビジネスを使います。アジアとか近場であればエコノミーです。

二宮: テニスはゴルフなどと同様、自分自身の旅費のみならず、コーチやトレーナーの費用も原則は自己負担です。
添田: グランドスラムになると日本協会がサポートしてくれますが、それ以外は自分で払っています。昨年は僕自身の経費も含めて全部で2000万円以上かかりましたね。コーチやトレーナーをつけなければ安く済みますが、それでは上を目指せない。自らへの投資はなるべく惜しまないようにしたいと考えています。

二宮: その分、試合で賞金を稼いだり、スポンサーを募って資金を集めなくてはいけない。自らにプレッシャーをかけることがモチベーションにつながるのでしょうね。
添田: 気分的には、ちょっとした経営者、社長ですね(笑)。僕が頑張らないと、すべてがうまく回らなくなりますから。

 帰国した若手の再挑戦の場を

二宮: しかも今は円安です。余計に出費がかさむのでは?
添田: その分、賞金はドルやユーロ、ポンドといった遠征先の通貨で入ってくるので、試合で結果を出せば得をします。むしろ円高の時は、かなり損をしていました。

二宮: なるほど。為替にも精通しておく必要がありますね。
添田: 常に、だいたいの相場は頭に入っていますよ(笑)。いつ、もらったドルを円にするか、円をユーロに換えるかを考えながらやっています。

二宮: アハハハ。まるでディーラーですね。ところで添田さんは現在30歳です。30代に入って体の変化はありますか。
添田: 体力が落ちた感覚はありませんが、やはり年々、疲労が残りやすい体にはなりつつありますね。疲労がたまると肩やヒザに負担がかかって痛みが出てきてしまう。最近はウェイトトレーニングで筋力をアップさせるだけでなく、柔軟性を高める方向性も追求しています。

二宮: 錦織圭選手の活躍もあり、近年はテニス選手を志す子どもたちが増えていると聞きます。添田さんの少年時代と比べると環境は変わってきたでしょうか。
添田: 海外と比べるとまだまだですね。外国はテニスコート自体が多くて、好きな時間にいつでもできる。日本は使える時間帯も限られていて、コートを借りる費用も高いです。

二宮: 海外を拠点にしてトレーニングする若手も多いですね。
添田: でも錦織とか、西岡良仁みたいに成功する選手は一握りです。海外に行ったからといって必ず強くなるわけではない。彼らの成功の裏では何十人と夢破れて日本に帰されているんです。それも高校1、2年の段階で帰国するので、高校にも途中編入できず、大学進学もままならなくなってしまう。日本での受け入れ先づくりが課題になっています。

二宮: 若い時期の挫折ならやり直しがききます。年齢を重ねると選択肢も少なくなってきます。
添田: 今は高校の早いタイミングで失格の烙印を押されておしまいなので、選手はすごく傷ついて自信をなくしてしまう。まだ可能性があるのに、テニスを嫌になってしまうのはかわいそうだし、残念ですね。

 松岡修造を超える!

二宮: 次は6月末からスタートするウィンブルドン選手権です。グランドスラムの中でも伝統と格式のある大会だけに、現地の雰囲気も違うのでは?
添田: 確かに他とは異なりますね。ウィンブルドンは僕自身、小さい頃からの憧れ。予選で何年も出られない年が続きましたから、余計に出たいという気持ちが強い大会です。どの大会も大切ですが、個人的には思い入れがありますね。

二宮: ウィンブルドンは芝のコートです。当然、戦い方も変わってくるでしょう?
添田: 芝だとサーブやショットのスピードが殺されるので競った展開になりがちです。芝は滑るので、普段使わない筋肉も使います。切り返しの動作で踏ん張りがききにくいので内転筋に負担がかかる。ハードコートやクレーコートより注意が要ります。

二宮: シューズも芝用のものを用意すると?
添田: はい。滑らないように底に突起が細かくついたものを使います。サッカーのスパイクに近いスタイルですね。

二宮: 対戦相手はシード以外は完全に抽選ですか。同じ国の選手が初戦で激突しないような配慮はあるのでしょうか。
添田: 五輪だけは国・地域ごとの代表として出場するので、いきなりぶつからないような組み合わせを行いますが、他は個人戦なので関係ありません。僕が1回戦でいきなり錦織と対戦する可能性もあります。

二宮: グランドスラムで錦織選手との日本人対決を待ち望む声もあります。
添田: やっている選手としては当たりたくないですよ(笑)。どの選手もドローで左右されるので、組み合わせが決まるまでは皆、ソワソワしていますね。

二宮: ズバリ、今回のウィンブルドンの目標は?
添田: これまでは2回戦止まりなので、3回戦進出です。

二宮: ランキングの最高位は47位です。勝ち進むことで、この更新も見えてきます。
添田: (日本人歴代2位の)松岡修造さんの最高位が46位。あとひとつ足りなかったのは悔しかったです。何とか、そこは抜きたい。プロになった時は100位以内が最初の目標でしたが、今は現実的に50位以内を狙える。もう1度、50位以内と、自己最高位の更新を目指すつもりです。

(おわり)

添田豪(そえだ・ごう)
1984年9月5日、神奈川県出身。4歳でテニスを始め、全国中学生テニス選手権シングルス優勝。藤沢翔陵高2年時にはインターハイでシングルス、ダブルスの2冠を達成。卒業後、2003年にプロ転向し、08、09年の全日本選手権を連覇。07年、全豪オープンで4大大会初の本戦出場を果たす。12年にはウィンブルドンで初勝利を挙げ、その年、自己最高の世界ランク47位に浮上。ロンドン五輪にも日本代表で出場する。13年は全豪とウィンブルドンで2回戦進出。同年9月のデビスカップワールドグループ入れ替え戦(プレーオフ)では日本のワールドグループ復帰に貢献。14年2月には史上初の同グループベスト8進出を決めた。15年も全豪、全仏と本戦出場。5月のルコック・ソウル・オープンで今季初勝利。6月末開幕のウィンブルドンにも出場する。身長180センチ。


 今回、添田豪選手が楽しんだお酒は、長期にわたり、熟成貯蔵された原酒だけを使用した深い味わいの本格そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」。際立つそばの華やかな香りが特徴。またソーダで割ると、熟成の時が刻んだ華やかなバニラのような香りとまろやかなコクが楽しめます。国際的な品評会「モンドセレクション」2015年最高金賞(GRAND GOLD QUALITY AWARD)受賞。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
東銀座 羅豚
東京都中央区築地1−13−1 ADK松竹スクエアビル1F
TEL:03-3524-1545
営業時間:
ランチ  11:30〜15:00
ディナー 17:00〜23:30(月〜金)、16:00〜22:00(土、日、祝日)
年末年始以外無休
>>店舗サイトはこちら

☆プレゼント☆
 添田豪選手の直筆サイン色紙を長期熟成貯蔵そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」(720ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「添田豪選手のサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は7月9日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、添田豪選手と楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成・写真:石田洋之)


◎バックナンバーはこちらから