二宮: プロ野球はセ・リーグが稀にみる大混戦となっています。そこで「プロ野球ニュース」などでもおなじみの金村さんをお招きしました。そば焼酎「雲海」を飲みながら野球談議に花を咲かせたいと思っています。
金村: いいですね。お酒は大好きで、ほぼ毎晩飲んでいます。実は昨日も結構、飲んでいたんですよ(笑)。

二宮: そば焼酎もよく飲みますか。
金村: 焼酎は好きですが、そばはあまり飲んだことがないですね。でも、冬場にそば屋で、トロットロのそば湯で割って飲んだそば焼酎はおいしかったです。

二宮: では今回は、そば焼酎「雲海」のソーダ割り、Soba&Sodaをぜひ。
金村: 炭酸で割るんですか。あ、これはうまい。飲みやすくてナンボでもいけそうです。

二宮: これまで、いろんなお酒の席があったでしょうが、一番おいしかったのは?
金村: やっぱり近鉄で初めてリーグ優勝した時でしょうね。実家にお祝いのビールが10ダースほど届いて、オフに社会人野球をやっていた兄貴と2人で浴びるように飲みました。

二宮: 勝利の美酒は、また格別でしょうね。
金村: まぁ、現役時代は飲み屋の合鍵を4つくらい持って飲み歩いていましたよ(笑)。今の八角親方、元横綱の北勝海とは同学年だったこともあって、よく飲みましたね。20歳を過ぎたばかりの頃、こっちがウエスタンリーグで昼間の試合が終わる時間と、向こうの打ち出しが一緒だから、夜の街に繰り出しましたよ。「かかってこーい」と言いながら、洋酒を競うように飲んでボトルを7本ほど空けたこともありましたよ(笑)。

二宮: 7本も!? 力士もお酒は強いですからね。
金村: 北勝海が大阪場所で優勝した時には、皆でパーティをしたんですよ。向こうも力士を5人くらい連れて、こちらも選手を5人呼んで勝負です。「出世酒や」と日本酒をどんぶりに入れて、入れかわり立ちかわり飲む。これはおいしかったですね。

 戦力充実・阪神の不安材料

二宮: アハハハ。お酒の武勇伝は尽きないようですね。ここからは野球の話を。現在、セ・リーグは全チームが借金を抱えたこともありました。前代未聞の展開です。この原因は交流戦でのセ・リーグ勢の大幅な負け越しにあります。
金村: 今回の交流戦ではセ・パの野球の質がはっきり出ましたね。セ・リーグはピッチャーがバッターボックスに立つけど、パ・リーグはDH制がある。しかもパ・リーグの本拠地の方が球場が広いから、どんどんパワーヒッターを集めてくる。まぁ、パ・リーグが強いというより、セ・リーグが弱いと言った方が正しいでしょう。

二宮: ここまで格差が開いた理由は?
金村: コーチの教え方にも問題があると思いますよ。たとえば福岡ソフトバンクの柳田悠岐。王貞治球団会長が「大きく育てろ」と言って、フルスイングを貫かせたから今がある。埼玉西武の森友哉や浅村栄斗のスイングも素晴らしい。一方、セ・リーグはイエスマンのコーチが多くて、目先のことしか見ていないんです。監督が何と言おうと、選手を大きく育てるという方針がない。

二宮: 加えて、その柳田や森といった将来有望な選手がパ・リーグに多く流れている面も大きいのではないでしょうか。
金村: それはあるでしょうね。ピッチャーでもパ・リーグの方がパワーピッチャーを獲ってきている。北海道日本ハムなんかポリシーがしっかりしていて、一番欲しい選手から指名していますよね。そして、絶対、何年後には1軍で活躍させるというプランを持っている。

二宮: 交流戦前は首位だった横浜DeNAに至っては3勝14敗1分で史上最低勝率でした。
金村: ちょうどチームのリズムが下降線に入った時期でしたからね。主砲の筒香嘉智が故障して状態がガタガタっと落ちてしまいましたね。

二宮: この混戦を抜け出すとしたら、どのチームでしょう。
金村: 戦力的に見たら阪神でしょうね。昨年の首位打者マット・マートン、打点王のマウロ・ゴメス、最多勝と最多奪三振のランディ・メッセンジャー、最優秀中継ぎの福原忍、最多セーブの呉昇桓。これだけのメンバーが揃っていれば、普通は優勝できるでしょう。それが、この成績なのはフロントやベンチワークに問題があるんですよ。

二宮: 単刀直入ですね(苦笑)。
金村: 今回、藤川球児が四国アイランドリーグplusの高知に入った件にしても、阪神は中継ぎが弱いんだから獲得すべきでしたよ。それが、交渉の過程で球児に「僕を本当に必要としているんですか」と不信感を抱かせてしまった。同じ独立リーグのBCリーグ・石川からネルソン・ペレスを補強したのも、東京ヤクルトでミッチ・デニングが活躍したからでしょう。デニングはウラディミール・バレンティンやラスティングス・ミレッジが故障離脱して、真中満監督が球団に「とにかくカタカナのバッターをひとり獲ってきてくれ」とお願いして、BCリーグ・新潟から連れてきた。独立リーグの選手だけにハングリーだし、使えば一生懸命やりますよ。阪神はそれを見て、2匹目のどじょうを狙っただけですから。

二宮: 和田豊監督の采配は?
金村: もうビックリするようなことばかりですよ。ヘンなカウントでバントをやらせての失敗も多いし、外国人選手が拗ねた態度を見せても、ちょっと話し合って終わりだったり……。決断力も指導力もハテナマークがつく中、成績が悪いと、まず責任をとらされるのは監督ではなくヘッドコーチ。それでも勝てているのは選手の力でしょう。

 問題抱える広島と巨人

二宮: スタートでつまずいた広島にもチャンスが出てきましたね。
金村: 僕は開幕前に広島、阪神、巨人、ヤクルト、DeNA、中日の順で予想していたんです。もちろん、シーズンに入って故障者が出たり、補強がうまくいったりして状況は変わってくるものですが、ぜひ予想が当たってほしい願望はあります。広島は黒田博樹が加入して有形無形の効果があると見ていました。ところがバッターがこけまくった上に、緒方孝市新監督の采配も……(苦笑)。

二宮: それは痛い指摘です。緒方監督は野村謙二郎前監督の下でコーチをしていましたから、新人指揮官でも良い部分を継承し、改める部分は改められると周囲は見ていたのですが……。
金村: 僕ももっと、まともにやれるとみていたんですけどね。最初は2点以上負けている展開でも送りバントばかりさせたかと思ったら、最近は一転してバントのサインが少なくなった。継投も何度、同じ失敗を繰り返したか……。挙句の果てに丸佳浩をスタメンから外したこともあったでしょう。キクマルはチームの中心。絶対に外したらダメだと思います。

二宮: 4連覇を狙う巨人も今季は乗りきれません。
金村: 僕も予想で3位にしたように、そろそろ原辰徳監督のマジックが通用しなくなってきています。あれだけ大見得を切って、「阿部慎之助はキャッチャーで使わない」と言いながら、開幕1週間で元に戻した。ベテランの村田修一の起用法も配慮を欠いているし、原さんの求心力がだいぶ失われてきている印象を受けます。

二宮: 阿部選手の後釜とみられた小林誠司選手の伸び悩みも誤算でしたね。
金村: 開幕前から彼にレギュラーは難しいと見ていました。線が細くてバッティングが弱い。1年目はお客さんみたいなものですから、相手も様子見をしてくる。でも、実際にレギュラーキャッチャーとなったら、本気で潰しにかかりますよ。厳しいインコース攻めも経験しなくてはいけない。そういうのを乗り越えないと、古田敦也や谷繁元信みたいな本物のキャッチャーにはなれないんです。

二宮: パ・リーグは金村さんも優勝予想していたオリックスがまさかの最下位です。
金村: オリックスは森脇浩司監督とフロントの目指す方向性が違っていました。昨季、頑張って2位になり、今季、優勝を目指す上で森脇さんが補強したかったのはピッチャー。守りの野球を推し進めたかったんです。ところがフロントが何十億円もかけて獲ってきたのは故障を抱えたバッターが中心だった。トニ・ブランコなんか足に不安があるのは分かっていたことですからね。

二宮: 中島裕之や小谷野栄一ら補強した選手が軒並み、ケガで離脱してしまいました。
金村: しかも、今年からキャンプ地を沖縄・宮古島から宮崎の清武に変えましたよね。宮古島ではほとんどお客さんが来ない中、キャンプができたのに、今年は優勝候補ということでファンもメディアも、ものすごい数が詰めかけた。連日、騒がれたら、選手たちは間違いなく張り切りますよ。それで飛ばし過ぎた面がある。反動がオープン戦から開幕にかけてやってきて、故障者が続出したんです。もう、そこから負の連鎖に陥ってしまいましたね。

二宮: 森脇監督も“休養”の記者会見で涙をみせていたように、思うような指揮が執れなかったのは苦しかったでしょうね。
金村: これは、事実上の解任ですよ。遠征先の東京で辞めるなんて普通はおかしい。おそらく東京本社で顔色をうかがったフロントが、「自分から辞めた格好にしてくれ」と話をしたんでしょう。これでオリックスはシーズン途中に指揮官が代わったのは何人目ですか。石毛宏典さん、テリー・コリンズ、岡田彰布さん……。新聞にも書かれていましたけど、低迷の責任を現場に押しつけて「トカゲの尻尾切り」をしているようにしか映らないですね。

 パはソフトバンク包囲網を

二宮: パ・リーグは首位を走るソフトバンクの連覇が濃厚でしょうか。
金村: ソフトバンクは誰が監督をしても強いですよ。今季は工藤公康監督になって、ヘッドコーチを置かなかったのが不安材料だったんです。投手コーチも佐藤義則さんに吉井理人と個性が強い。でも、それ以上に、このチームは選手がしっかりしている。柱の内川聖一や松田宣浩は精神的に強くて明るい。そこに柳田や中村晃がいる。本多雄一が離脱していても、その穴を全く感じさせませんでしたよ。ヤフオクドームのフェンスを前に出したのも、これまで二塁打だったのがホームランになって、プラスに働きましたね。

二宮: 少々、選手が抜けても、チーム力が落ちない層の厚さがソフトバンクの強みですね。
金村: 元三冠王の松中信彦だって2軍暮らしですからね。彼も2軍ではホームランを打って活躍しているんですよ。それでも、このチームだと出る幕がない。ソフトバンクは育成選手を大量に獲って3軍制を敷き、コーチ陣だけで26人も抱えているんです。3軍は韓国に行ったり、独立リーグと試合をしたりして、底上げを図っている。松坂大輔なんか1軍で投げなくても、キャンプであれだけ注目を集めたら、宣伝効果としては充分だったんじゃないですか。

二宮: 松坂投手は満足に投げられない状態が続いています。復活の可能性は?
金村: キャンプで見た時から厳しいと感じましたね。ただ、投手コーチの佐藤義則さんは名伯楽です。東北楽天のコーチ時代も、高卒ルーキーの松井裕樹を指導して、1年でパッと良くなった。佐藤さんの下で、もう一度やり直せるかにかかっているんじゃないでしょうか。

二宮: ソフトバンクを追いかけるとすれば、2位の日本ハム、3位の西武になるのでしょうか。
金村: 日本ハムは若いチームだけに、乗っている時は強くても、落ち込んだ時にチームの雰囲気を変えられるベテランがいない。中田翔も年々、成長しているとはいえ、どうしても波がある。引退した稲葉篤紀や金子誠の存在の大きさを感じる時期が必ず来るでしょう。

二宮: では、他の5球団にとっては、ソフトバンクを走らせないことがポイントと?
金村: そうですね。「プロ野球ニュース」でも言っていますが、「ストップ・ザ・ソフトバンク」が合言葉です。特に最下位のオリックスは期待を裏切った責任がある。とにかくソフトバンクだけは叩きに行く意地をみせてほしいですね。

二宮: いや〜、お酒が入ったせいか、ますます歯に衣着せない評論が冴えています。
金村: 「オマエ、何様や」と言われる覚悟ですよ。引退から16年、ずっと現場主義で見てきて感じるのは、最近のプロ野球は稚拙になってきている。誰のために野球をやっているのかわからない。「じゃあ、オマエやってみろよ」って言われるのを僕は待っているんですよ。いつでもユニホームを着る気持ちはある。監督、コーチなんて永久就職の職場じゃない。クビになる覚悟で自分の思ったようにやらせてもらいます。そこまで言っているんだけど、話は来ない……(笑)。

二宮: アハハハ。
金村: それにしても、このそば焼酎「雲海」のソーダ割りはうまいなぁ。もう1杯、いいですか。

(後編に続く)

金村義明(かねむら・よしあき)
1963年8月27日、兵庫県生まれ。報徳学園高時代は3年時(81年)に甲子園春夏連続出場。夏の大会はエースとして予選から決勝まで1人で投げ抜き、全国制覇を果たす。同年のドラフト1位で近鉄に入団。内野手に転向し、4年目の86年からサードのレギュラーに定着し、サイクル安打も達成。89年にはリーグ優勝を経験し、90年はオールスター初出場を果たす。94年オフにFA宣言を行い、中日に移籍。97年には交換トレードで西武に移る。西武では主に代打、DHとして活躍し、99年限りで引退。現在はテレビ、新聞などで解説を務める。現役時代の通算成績は1262試合、打率.258、127本塁打、487打点。


 今回、金村さんと楽しんだお酒は本格そば焼酎「雲海」。厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
三国一 アイランドイッツ店
東京都新宿区西新宿6−5−1 新宿アイランドタワーB1F
TEL:03-3346-3591
営業時間:
平日  11:00〜23:00(L.O.22:30)
土曜  11:00〜22:30(L.O.22:00)
日祝  11:00〜22:00(L.O.21:30)
>>「三国一」公式サイトはこちら

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 金村さんの直筆サインボールを本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「金村義明さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は8月12日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、金村義明さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成・写真:石田洋之)


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