二宮: 引き続き、そば焼酎「雲海」のソーダ割り、Soba&Sodaを。
武田: そういえば先日、福岡に解説の仕事で行った時に、飛行機の中で吉田羊さんに会いましたよ。そば焼酎「雲海」のCMにも出演されているんですよね。そのPRでヤフオクドームの始球式に登板していました。

二宮: 吉田さんには以前、このコーナーに出演してもらって、ちょうど始球式の話題になったんですよ。さて、武田さんは1988年にドラフト1位で日本ハムに入団しました。当時の監督は?
武田: 高田繁さんです。2年目から近藤貞雄さんで、僕はクローザーに転向したんです。

 吹っ切れた近藤監督の喝

二宮: 転向のいきさつは?
武田: 最初はローテーションの3番手で、開幕3戦目にロッテの園川一美さんと投げ合って、0−2で負けたんです。そしたら、近藤さんから「明後日から抑えをやれ」と言われました。

二宮: 近藤さんは投手分業制をいち早く取り入れるなど、先駆者的な部分もある指揮官でした。
武田: 僕にとっては、この転向はありがたかったですね。抑えになって最初の試合、東京ドームで島田直也のリリーフで登板したら、同点に追いつかれてしまったんです。緊張して自分のピッチングができなかった。すると、近藤さんがマウンドに来て、ものすごく怒られたんです。

二宮: どんな叱咤を受けたんですか。
武田: 「試合の勝ち負けの責任を取るのはオレだ。オマエは好きに投げて来い!」。その一言で気持ちが楽になって、パーッと目の前が開けたんです。そこから、オールスターまで9勝1敗9セーブをあげましたよ。

二宮: 最終的に、この年の成績は10勝5敗13セーブ。当時は抑えと言っても、今のように1イニング限定ではありませんでしたから、立派な成績です。
武田: 結構、大変でしたよ。柴田保光さんや酒井光次郎が先発だと、6回くらいから登板していましたから(苦笑)。だから、この2人が投げる前日はお酒は飲まなかったんです。

二宮: 翌日は投げる可能性が高いと、お酒は楽しめないと?
武田: ええ。西崎幸広さんが先発だと、ほとんど完投してくれるので1週間に1回は休めるんです。前日もお酒を飲めた。ところが、たまに調子が悪くて、早々に降板してしまうと接戦で投げなくてはいけない。その時はつらかったですよ(苦笑)。

 365日一緒だった若き日の城島

二宮: 現役時代、いろんな投手コーチの指導を受けたでしょうが、最も役に立ったものは?
武田: 入団時のコーチだった高橋善正さんの練習です。1年目の秋季キャンプで毎日、腹筋2000回をやらされました。V字腹筋を100セットで20回。途中でV字を保てなくなったらやり直し。もう秋なのにユニホームが汗でびしょびしょになっていましたね。

二宮: ピッチングには腹筋が大事だと?
武田: そうです。しかもブルペンでは毎日200球投げて、全部のメニューが終わってから坂道ダッシュのタイムトライアル。設定したタイムを切らないと終わらない。朝10時から練習して、ホテルに帰るのは21時ぐらいでした。でも、僕にとっては、それが2年目の飛躍につながったんです。劇的にピッチングが良くなりましたから。

二宮: その後、96年に下柳剛投手らとのトレードで福岡ダイエーに移籍します。
武田: 本当はトレード当日の午前中までは中日に行く予定だったんです。交換相手は与田剛だったんですけど、最終的には中日が出すのを渋って、まとまらなかった。それでダイエーの王貞治監督が、僕を鹿取義隆さんに似ているということで欲しがったようなんです。それで、急遽、ダイエーへの移籍が決まりました。

二宮: 下柳投手も日本ハムで活躍して、双方にとってプラスのトレードとなりました。
武田: 僕にとっては生まれてから日本ハムまで、ずっと東京が拠点だったので、環境を変える意味でも本当に良かったです。

二宮: 当時のダイエーはBクラスの常連で、王さんも苦労していました。負けが込んで、移動中のバスに生卵をぶつけられる事件もありましたね。
武田: めちゃくちゃ弱い時期でした。移籍1年目は最下位で54勝しかできなかったんですけど、僕は、そのうち15勝したんです。僕が1週間に1回勝って、あとはほとんど負けている状態でした。

二宮: そんな中で、後のホークスを背負う選手が育っていきます。キャッチャーの城島健司も、そのひとりでした。
武田: 彼はすべてがプロとしては未熟でした。考え方はピッチャー型で、スターになりたいタイプ。だから、ロッカーでは工藤さんと僕が隣同士だったんですけど、いつも、その間にいましたよ。ほぼ、“生息”していたといっていい状態でしたね(笑)。

二宮: アハハハ。それで2人で説教していたと?
武田: でも、彼を実家に連れて行ったこともあって、365日ずっと一緒にいる感覚でしたね。自主トレも一緒に連れて行って、「バットを持ってくるな」と言ったんです。「バッターじゃなくてピッチャーの気持ちになって練習しろ」とトレーニングメニューも全部、ピッチャーと同じにしました。

二宮: なるほど。ピッチャーの考えを知ることが、まずは大事だと?
武田: そして、FAで移籍してきた田村藤夫さんと城島を同じ部屋にして、キャッチャーとはどういうものか、毎日、飯を食ったり、お酒を飲みながら話をしてもらったんです。本人は本当にバットを持って来なくて、バッティング練習を全くせずにキャンプに臨みました。ところが、その年、打率3割を打ちましたからね。打つことに関しては彼は天才ですよ。

 大きかった工藤の存在

二宮: 工藤さんと武田さんが入って、ダイエーのバッテリーに意識改革を促した面も大いにあったと思われます。
武田: ダイエーに行って最初のキャンプでブルペンに行って、投げ込みをしていたのは僕と工藤さんだけでした。実績のある選手は誰もいないのに、なぜ投げ込まないのか。当時のダイエーの投手陣は、投げないのが当たり前になっていたんです。

二宮: ピッチャーにとって投げ込みは是か非かという議論になりますが、武田さんは必要だと?
武田: 投げ込みは下半身をつくるために重要です。僕と工藤さんはキャンプの間に2500から3000球は投げていました。走っているだけでは、投げるための下半身はできないんです。だから、とにかく投げる。その上で走ることで土台がしっかりしてくるんです。

二宮: 肩をつくるよりも、下半身を仕上げるための投げ込みというわけですね。
武田: 工藤さんはウェイトトレーニングも取り入れていました。ベンチプレスのスクワットをものすごい数でこなすんです。僕も工藤さんに勧められ、必要性を感じて始めました。

二宮: 当時はウェイトトレーニングは無駄な筋肉がつくから良くないという風潮もありました。
武田: 僕と工藤さんがペンチプレスをやっていると「え? そんなことやって大丈夫なんですか」と若手が聞いてくるんです。でも、ボールを投げる際に腕を引っ張ってくるための胸筋や背筋がないと、長いシーズンは持たない。そのことを工藤さんが話をして、皆でウェイトをやるようになっていきました。

二宮: 工藤さんの存在は武田さんにとっても大きかったと?
武田: たぶん僕と工藤さんは右投げと左投げの違いはあれど、背もあまり大きくなくて、下半身の使い方が似ていたんだと思います。だから、トレーニングやケアの仕方は工藤さんから完全に教わりました。工藤さんは1年中、24時間、野球のことばかり考えている。僕がその後も現役を続けられたのは、あの人のおかげ。今もそう思っています。

二宮: 気づけば、そば焼酎「雲海」のSoba&Sodaも、だいぶ進みました。また、機会をつくって一杯やりましょう。
武田: このSoba&Sodaは本当においしかったです。僕はお酒を飲み始めた頃から焼酎は好きでした。プライベートでも、これからはSoba&Sodaを飲みたいですね。

(おわり)

武田一浩(たけだ・かずひろ)
1965年6月22日、東京都生まれ。明大中野高を経て、明治大へ。六大学通算20勝8敗の成績で88年にドラフト1位で日本ハムに入団。90年にリリーフで10勝13セーブをあげると、翌91年には18セーブをマークし、最優秀救援投手に輝く。その後、先発に転向し、93年には再び2ケタ勝利。95年オフには、下柳剛らとのトレードでダイエーに移籍。1年目、チームは最下位ながら自己最多15勝をあげる。98年には13勝で最多勝のタイトルを獲得。オフにFA宣言をして中日に移籍。99年のリーグ優勝に貢献する。02年には巨人に移り、史上3人目となる全球団からの勝利を達成。同年限りで現役を引退。06年には第1回WBCで投手コーチを務め、優勝に尽力した。現在はNHKのプロ野球、メジャーリーグ中継で解説を務める。現役時代の通算成績は341試合、89勝99敗31セーブ、1008奪三振、防御率3.92。


今回、武田さんと楽しんだお酒は本格そば焼酎「雲海」。厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
十割そば・地酒 蔵や
東京都新宿区四ツ谷1−4−2 綿半野原ビル1F
TEL:03-3356-7571
営業時間:
ランチ  11:30〜14:30(月〜日)
ディナー 17:00〜23:30(月〜金)、17:00〜22:00(土日)

☆プレゼント☆
武田さんの直筆サインボールを本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「武田一浩さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は9月10日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
今回、武田一浩さんと楽しんだお酒の名前は?

お酒は20歳になってから。
お酒は楽しく適量を。
飲酒運転は絶対にやめましょう。
妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成・写真:石田洋之)


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