南アフリカW杯3次予選グループ2第4戦が、オマーンのロイヤル・オマーン・ポリススタジアムで行われ、日本代表はオマーン代表と対戦した。この試合に勝てば、3次予選通過をほぼ確実にする日本だったが、前半12分、オマーンのMFアハメド・アルマハジリにミドルシュートを放たれ、先制を許す。後半8分、日本はMF遠藤保仁がPKを決めて同点に追いついたものの、その後はゴールをあげられず引き分けに終わった。

 遠藤のPKで追いつく(オマーン・マスカット)
オマーン代表 1−1 日本代表
【得点】
[オ] アハメド・アルマハジリ(12分)
[日] 遠藤保仁(53分)
「ゲームは支配していた。チャンスはできていた」
 岡田武史監督は試合後、そう語った。日本には勝ち目があった試合だった。しかし、勝ち点1しか得られなかった。

 3−0と快勝したホームのオマーン戦から岡田武史監督はスタメンを大きくいじらなかった。右足首捻挫のDF長友佑都に代わって、左サイドバックに内田篤人を入れ、駒野友一を右に配置転換したのみ。それ以外は5日前と同じ布陣で試合に臨んだ。DF田中マルクス闘莉王、MF長谷部誠ら、故障で出場が不安視された選手も変わらずピッチに立った。

 現地の気温は38度。灼熱の太陽を背に受ける形で試合は始まった。最初のチャンスは前半5分、MF中村俊輔のパスにFW玉田圭司がゴール左前に抜け出す。玉田はすかさずシュートを放ったが、相手GKにはじき出された。

 オマーンは地の利を生かし、日本では見られなかった積極性をみせる。直後の6分にはカウンターからFWハシム・サレハがシュート。立ち上がりから日本は押し込まれる場面が目だった。

 そんな前半12分、オマーンにやってはいけない得点を与えてしまう。右サイドでの相手FKのこぼれ球がMFアハメド・アルマハジリに渡る。ディフェンスの寄せが一瞬遅れ、アルマハジリの左が炸裂。GK楢崎正剛が倒れこみながら伸ばした指の先をボールがゴール右隅へと抜けていった。

 先制点をあげたオマーンは5バックのディフェンスラインが無理せず引いて、守りに入る。日本戦では出場停止だった主力メンバーも復帰し、簡単には裏を取らせてくれない。前半29分、日本はコーナーキックを得るとMF遠藤保仁のキックにDF中澤佑二が頭で合わせる。ホームでの先制ゴールを彷彿とさせるシーンだったが、相手GKの正面をついた。

 ならばと日本は細かくパスをつなぎ、相手DFを崩しにかかる。33分には左右にパスを繰り出し、中村俊が左からクロスを入れる。前線の大久保嘉人がヘッドでゴールを狙ったものの、相手GKが腕を伸ばしてセーブした。

 逆にオマーンはボールを奪うと、カウンターで日本ゴールを脅かした。前半36分には数的優位をつくって右サイドへスルーパス。DFイスマイル・アルアジミにフリーでシュートを打たれる。コースが左にそれ、事なきを得たが危ない場面だった。結局、日本はリードを許したまま、試合を折り返す。

「サイドを使ってシンプルにボールを早く動かす」
 ハーフタイムに指揮官の指示を受け、日本は後半に入ってボールを次々とつなぎ、リズムをつかむ。駒野、内田の両サイドが敵陣へ切り込み、クロスを送れば、中村俊も司令塔となってチャンスを演出。ブルーのユニホームがゴール前で盛んに動き始めた。

 後半8分、MF長谷部誠の縦パスに玉田が飛び出すと、たまらず相手DFがPA内で足をかけた。判定はもちろんPK。プレッシャーのかかる状況でキッカーの遠藤は緩いボールをゴール右隅に蹴り出す。タイミングを外されたキーパーは全く反応できず、1−1。日本に待望の同点ゴールが生まれた。

 ところが直後、日本は大ピンチに陥る。クリアボールを拾われて、相手に中央突破を許し、抜かれた闘莉王がPA内で相手を倒してしまった。判定はPK。またもリードを許すのかと覚悟した次の瞬間、スーパープレーが飛び出す。GK楢崎がMFファウジ・ドゥールビーンのキックを読みきり、左へ。日本の守護神がゴールを死守した。

 窮地を脱した日本は、再び攻勢に入る。サイド攻撃に加え、引いて守る相手に対して、中村俊、松井大輔の海外組がミドルレンジからシュートを放つ。多彩な攻撃で日本は勝ち越し点を奪いにかかった。

 ゲームプランが狂ったのは後半29分。玉田の左からの低いクロスに飛び込んだ大久保が相手GKと接触。エキサイトした大久保が相手GKを蹴って一発レッドを喰らう。その後のもみあいで松井の胸をこづいたオマーンのDFカリファ・アルナウフリも退場となり、終盤は10人対10人の戦いとなる。

 ここで日本はMF山瀬功治を投入。突破力に期待をかけたものの、いつも以上に体力を消耗した猛暑の中、攻撃の枚数を1枚失ったのは痛かった。ゴール前に迫るシーンは何度か見られたものの、得点につながるようなチャンスはつくれず。オマーンもカウンターからミドルシュートでゴールをうかがうが、決定打とはならなかった。

 終了間際には山瀬が左サイドをフリーで駆け抜けた内田にパスを供給。ビッグチャンスかと思われたが、無情にもオフサイドの判定。「残念ながら、あと1本が出なかった」(岡田監督)まま、試合終了のホイッスルを聞いた。

 日本は勝ち点を7とし、グループ2位の座はキープした。この後はタイに渡り、14日にタイ代表と第5戦を戦う。「次は勝ち点3ですっきり日本に帰りたい」。同点ゴールをあげた遠藤の言葉を借りるまでもなく、最終予選進出には勝利が求められる試合となる。

<日本代表出場メンバー>

GK
楢崎正剛
DF
駒野友一
田中マルクス闘莉王
中澤佑二
内田篤人
→今野泰幸(89分)
MF
遠藤保仁
長谷部誠
松井大輔
→山瀬功治(78分)
中村俊輔
FW
大久保嘉人
玉田圭司
→矢野貴章(89分)