8日、「バレーボール世界最終予選」(男子)が東京体育館で行なわれ、日本は最終戦でアルジェリアと対戦。試合時間約1時間という驚異的なスピードでアルジェリアをストレートで下し6連勝を飾った。
(写真:チームを鼓舞したWS石島)

日本 3−0 アルジェリア
(25−20、25−13、25−18)
 アジア勢との4連戦で全勝し、前日のアルゼンチン戦もフルセットの末に破って16年ぶりの五輪出場を決めた植田ジャパン。実質、消化試合となったことで、選手らのモチベーションが不安視されたが、気持ちの緩みは微塵も感じられなかった。
 第1セットは山本隆弘、石川雄介、越川優のサイドアタッカー陣の活躍で序盤から主導権を握る。最大4点差あったリードを中盤には1点差に詰め寄られたが、相手のミスにも助けられ、終盤には再びリードを広げていった。途中出場のMB齋藤信治の速攻でセットポイントを掴むと、WS石島のスパイクで一気に決め、日本が第1セットを先取した。

(写真:次代のスーパエースWS清水)
 第2セット、序盤に大量リードを奪うと、植田辰哉監督は若手に切り替える策に出た。WS山本、WS越川に代わって現役大学生のWS清水邦広とWS福澤達哉が投入されると、2人はこれまでの鬱憤をはらすかのような活躍を披露した。清水がスパイク、さらにはサービスエースを決めると、福澤も負けじとチーム一のジャンプ力でキレのあるスパイクを炸裂。若手の躍動感あふれたプレーに会場も沸き、日本が完全に流れを引き寄せた。最後まで攻撃の手を緩めなかった日本は、12点差もの大差をつけて圧勝した。

 第3セットもスタートは日本が3連続得点でリードを奪った。だが、アルジェリアもエースのWSシキ・モハメドがスパイク、ブロックで応戦し、8−7と逆転に成功する。その後は、互いに一進一退の攻防が続いた。均衡を破ったのはやはりこの2人、2セット目に続いてこのセットもチャンスをもらえた大学生コンビだった。WS清水がブロック、サーブを決めると、WS福澤がレフト、ライトからと自由自在にスパイクを決める。植田ジャパンの層の厚さを感じさせる2人の活躍だった。

 そして、最後を決めたのは、この試合もフル出場をした“ゴッツ”ことWS石島だった。石島はエンドラインぎりぎりに入るスパイクを決めてマッチポイントを掴み取ると、そのまま自らがサーブを放った。思いっきり打ち放たれたボールはアルジェリアのレシーバーの腕を弾き、そのままコートのはるか遠くへ飛んでいった。
「最後のサーブは北京へ向けて打った」と石島。五輪でのメダル獲得への強い思いが込められた渾身のサーブだった。

 最終戦をストレートで勝ち、有終の美を飾った植田ジャパン。初戦の悪夢から見事立ち直り、結果を残したことはチームにとって大きな自信となったことは間違いない。だが、その一方で今大会でもレセプションが課題として残された。これが修正されなければ、北京でのメダルはないと言っても過言ではない。
 果たして世界のトップが集う五輪の舞台で、再び植田ジャパンの歓喜の涙は見られるのか。まずは今月半ばから始まるワールドリーグでの戦いに注目したい。
(写真:驚異的なジャンプ力で会場を沸かせたWS福澤)

(写真・斎藤寿子)