日本サッカー協会(JFA)は10日に行われた理事会で、川淵三郎会長の後任として、犬飼基昭常務理事を新会長とする人事案を承認した。12日に行われる評議員会と新理事による理事会で正式に決定する。
 犬飼氏は埼玉県出身の66歳。浦和高校、慶応大学を経て三菱重工に入社。日本リーグで4シーズンプレーし通算27試合で4得点をマークした。1968年に引退後は欧州三菱自動車代表取締役などを歴任。2002年に浦和レッドダイヤモンズ取締役社長に就任し、それまで低迷していたレッズは強豪クラブの仲間入りを果たした。06年に退職後、Jリーグ専務理事に就任していた。

 JFA次期役員推薦委員会(委員長:川淵会長)は、犬飼氏のレッズを率いた経営手腕と海外勤務が長く国際経験が豊富な点を高く評価し、会長候補者として承認した。協会会長の定年である70歳になるまでに、2期4年間の任期を全うできる点も人選に影響を及ぼしたようだ。次期会長の有力候補とされていた小倉純二副会長は現職に留任する。

 会長人事に加え、次期理事候補者も大枠が決まった。その中にはラグビー元日本代表監督の平尾誠二氏、テニスプレーヤーのクルム伊達公子氏が名を連ねている。承認されればJFAで初めて他競技経験者理事の誕生となる。2人の人選に関しては、犬飼氏が強く希望したものだという。

 また特任理事として、北澤豪氏、中西哲生氏、野田朱美氏らが新任される見込みだ。北澤氏は39歳、中西氏と野田氏は38歳。他競技からの視点と若さを取り入れた人事案には、早くも犬飼新会長のカラーが示されている。

 一方、川淵三郎キャプテンと釜本邦茂副会長は現職を退いた後、それぞれ名誉会長と名誉副会長となる。Jリーグチェアマンの鬼武健二氏は協会の人事案を受け、チェアマン職を続投となる見通しだ。