北京五輪開幕に先がけて6日、女子サッカー6試合が行われた。グループGの日本はニュージーランドに2−2で引き分け、勝ち点1を手にするにとどまった。

【女子サッカー】 澤の豪快ボレーで追いつく
◇グループG
日本代表 2−2 ニュージーランド代表
【得点】
[日]宮間あや(72分)、澤穂希(86分)
[ニ]カースティー・ヤロップ(37分)、アンバー・ハーン(56分)
「なでしこジャパン」が決勝トーナメントに進む条件はグループリーグの各グループ2位までと3位の成績上位2チームに入ること。日本としてはFIFAランキング24位と格下のニュージーランド相手に勝ち点3はもちろん、大量得点も狙いたい試合だった。

 そんな目論見とは逆に、前半立ち上がりから日本の動きが硬くボールが足につかない。試合開始10分はロングボール主体の攻勢をかけられ、フィジカルコンタクトで優位な相手に押され気味の展開となった。

 しかし徐々に日本のボールが繋がりだし、ニュージーランド陣内に攻めこんでいく。前半17分にはFW大野忍がFW永里優季とのワンツーから抜け出し右足でシュートを放つが惜しくもゴール右に外れる。決定的な場面も何度か作りだし、先制点は時間の問題かと思われた。

 ところが前半37分に一瞬のスキを突かれる。ニュージーランドに右サイドを突破され低いクロスを入れられると、GK福元美穂とDF近賀ゆかりが一瞬お見合いする形になり、二人の間を抜けたボールがファーサイドのMFカースティー・ヤロップの足元に。これを右足できっちりとゴールに押し込まれ先制を許す。その後は日本が押し気味に試合を進めるが、前半はそのまま0−1で折り返した。

 後半が始まっても日本ペースは変わらない。ニュージーランドになかなか攻撃の形を作らせず、試合の流れは再び日本に傾きつつあった。

 しかし、思ってもみない形で相手に追加点を与えることになった。後半10分、ニュージーランドの右コーナーキックからのボールをクリアした際に、主審が混戦で日本選手がファウルを犯したとの判定を下し、ニュージーランドにPKを与える。コーナーキックからの競り合いの中で悪質なファールがあったようには思えず、日本はチーム全体で抗議したが、当然判定は覆らない。このPKをFWアンバー・ハーンがゴール正面に蹴りこみ、日本は2点のビハインドを背負う。大量得点で勝たなければいけない相手に、逆に2点差をつけられてしまう厳しい展開となった。

 0−2というスコアでも押し気味なのはなでしこジャパンだった。後半20分にはMF宮間あやのスルーパスに大野が走り込み左足でシュート。その1分後には右サイドからボールをつなぎMF安藤梢がミドルシュート。いずれもGKにセーブされたが、いつ点が入ってもおかしくない流れをつくり出していく。

 そして日本の追撃弾も主審の不可解な判定でもたらされた。後半26分、コーナーキックのこぼれ球をゴール前に放り込んで競り合いになった際、ニュージーランドDFがファウルを犯したとし、日本にPKが与えられる。これをキッカーの宮間がこれを冷静にゴール右隅に蹴り込んで1点を返した。

 試合が残り15分を切った頃には、ニュージーランドの足は止まり、さらに日本の攻撃のみが目立った。ここで佐々木則夫監督はFWの荒川恵理子と丸山桂里奈を立て続けに投入。パワープレーで同点に追いつくための布石を打った。

 そして後半41分、右サイド深い位置での宮間からのFKに、DFを振り切って走り込んできたMF澤穂希がニアサイドで合わせ右足のボレーシュート。ボールは鋭い弾道を描き、見事にニュージーランドゴールに突き刺さった。今大会は中盤の底の位置でプレーする澤だが、本来は得点に絡んでいく攻撃的な選手。ここぞという時のゴールへの嗅覚はさすがの日本のエースだ。30分間で2点を挙げ、鮮やかに同点に追いついた。

 しかし、ドローでは決勝トーナメント進出を狙うなでしこジャパンにとって、満足のいく結果と言えない。後半42分には左サイドからのクロスに阪口がタイミングよく走り込み決定的なシーンを作り出すが、ゴール右にはずれ、勝ち越し点が奪えない。結局、さらなるゴールが生まれないまま、終了のホイッスルが鳴り、格下と目されていたニュージーランドと勝ち点1ずつを分けるという、厳しい結果になってしまった。

 早くも正念場を迎えたなでしこジャパンは9日にスウェーデン(FIFAランク5位)、12日にアメリカ(同1位)と対戦する。

<日本代表出場メンバー>

GK
福元美穂
DF
近賀ゆかり
岩清水梓
柳田美幸
矢野喬子
MF
安藤梢
→丸山桂里奈(81分)
宮間あや
澤穂希
阪口夢穂
FW
大野忍
→荒川恵理子(78分)
永里優季