北京五輪に出場する野球日本代表は9日、セ・リーグ選抜チームとの強化試合を東京ドームで行った。1点を先行した日本代表だったが、4回から登板した2番手の川上憲伸が連続本塁打を浴びるなど、8安打9失点。急遽登板した田中将大も2回2失点で試合は2−11で大敗した。前日に続く投手陣の不調で、星野ジャパンは不安を抱えたまま本番に挑む。
 川上、1死もとれず降板(東京ドーム)
日本代表      2 = 100 000100 
セ・リーグ選抜   11 = 000101000× 
[日] 和田−川上−田中−藤川−岩瀬−上原
[セ] 内海(巨)−大竹(広)−押本(ヤ)−高橋(中)−西村(巨)−渡辺(阪)−寺原(横)
本塁打    [日]村田ソロ
        [セ]栗原(広)2ラン、鳥谷(阪)ソロ

 日本代表は初回、西岡剛のヒットと相手のミスに乗じてつくったチャンスに4番・新井貴浩がきっちり犠牲フライをあげ、1点を先行する。日本代表の先発・和田毅はボールを低めに集め、3回を無失点。特に3回は三者連続三振で締め、先発が予想される予選リーグ初戦のキューバ戦へ上々の仕上がりをみせた。

 ところが守備のほころびをきっかけに、中継ぎ候補の2人の右腕がそろって崩れる。まずはベテランの川上憲伸。先頭の平野恵一(阪神)にセーフティバントでゆさぶられ、これを拾ったセカンドの西岡が悪送球。川上は続く内川聖一(横浜)にライト線へ運ばれて同点にされると、4番・栗原健太(広島)、鳥谷敬(阪神)に連続でレフトスタンドへ叩き込まれ、あっという間に4点を失った。

 悪夢のようなマウンドはこれで終わらない。四球のあと、金城龍彦(横浜)、亀井義行(巨人)、石原慶幸(広島)、東出輝裕(広島)と4連打を浴びて、1つのアウトもとれないまま、打順が一回り。この内容では星野監督が投手交代を告げるのも無理はなかった。

 この無死満塁のピンチで登板したのは田中将大。2死を奪い、更なる追加点は阻止するかと思われた。ところが栗原に右中間を破られる走者一掃のタイムリー2塁打を許すと、鳥谷にもダメを押されて1−10。完全にゲームが決まってしまった。田中は次の回も東出、平野の連打で1点をとられた。

 終盤は大量ビハインドの展開ながら、藤川球児、岩瀬仁紀、上原浩治を予定通り、連投で起用。いずれも走者を背負う内容だったが、3人で3イニングをゼロに抑えて、五輪までの最終登板を終えた。

「つなぎ」がテーマの打線も、この日は終わってみれば、散発の4安打。小刻みにつないだセ選抜の投手陣の前に、攻撃の糸口をつかめなかった。唯一の光明は、カゼで出遅れていた村田修一がセンターバックスクリーンへソロを放ったこと。この日は8番・指名打者での起用だったが、本番では問題なく中軸を任せられそうだ。

「北京では今日のようなぶざまなゲームはしません!」
 試合後に行われた壮行セレモニー、28000人の観衆を前に、星野仙一監督は声を大にして約束した。本番までは4日。もう前を向くしかない。星野ジャパンは10日に北京入り。13日からの予選リーグに臨む。