野球の3位決定戦が行われ、金メダルの望みが絶たれた日本は米国と対戦した。日本は青木宣親の3ランで一時は3点リードを奪ったが、米国のホームラン攻勢の前に逆転を許し、4−8で敗れた。オールプロで臨んだ星野ジャパンはメダルすら逃し、屈辱的な形で今大会を終了した。
◇3位決定戦
 川上、勝ち越し打浴びる
日本代表    4 = 103000000
米国代表    8 = 01304000×
勝利投手 アンダーソン
敗戦投手 川上
本塁打   (日)荒木ソロ、青木3ラン
       (米)ラポルタソロ、ブラウン3ラン、ドナルド2ラン

 先制したのは日本だった。1死から2番・荒木雅博が中に入ったストレートを振りぬく。打球はレフトポール際に飛び込むソロアーチ。1点を先行する。

 ところが先発・和田はいつもよりボールにキレがない。1回を三者凡退でしとめ、2回も2死まで簡単に奪いながら、ラポルタに1−3から投じたストレートが高めに入る。はじき返された打球はあっという間に右中間スタンドへ。わずか1球で同点に追いつかれた。

 日本は直後の3回、2つの四球を選び、1死1、2塁のチャンスをつかむ。前の打席で本塁打を放っている荒木はライトへのフライに倒れたが、3番・青木宣親がストライクをとりにきた低めのボールをジャストミートする。レフト頭上を襲った打球は、そのままフェンスを越えてスタンドイン。もらった好機を逃さず、得点に結びつけ、3点を勝ち越した。

 だが、ここから悪夢がよみがえる。4回、先頭のバーデンがフラフラッと打ち上げた打球がレフト前へ飛ぶ。レフトを守っていたG.G.佐藤がショートの中島裕之を制して落下点へ――。しかし、白球はまたもやグラブをはじいた。1死無走者のはずが、無死2塁。動揺したのか、和田は次打者に四球を与え、ランナーをためてしまう。1死後、4番のブラウンへの9球目、フルカウントから投じた変化球が甘く入った。白球はセンターのバックスクリーンに飛び込む同点3ラン。1つのミスで流れは日本から米国へと一気に傾いた。

 さらに6回、和田の後を継いだ川上憲伸に米国打線が襲い掛かる。まず、1死から前の打席でホームランを放っているブラウンがレフトフェンスに当たる2塁打で出塁。続くシャーホルツにはカウント2−1と追い込みながら、3球連続ボールで1塁へ歩かせてしまう。2死後1、3塁で7番・ティガーデン。川上はカウント1−2からアウトローのストレートを投げ込む。が、リーチの長い外国人にとっては、ちょうど打ちごろのボールになった。

 打球はライト・稲葉篤紀の頭上を越えるタイムリー2塁打。2点を勝ち越された。なおも次のティガーデンが叩いた高めのボールは、レフトポールめがけて舞い上がる。ボールはそのままポールに跳ね返って外野の芝生に落ちた。ビハインドが4点に広がる2ラン。日本は今大会チーム最多失点となり、苦戦を強いられる。

 反撃したい打線も、序盤から4点を奪ったアンダーソンをマウンドから引きずり下ろすことができない。右打者の内に沈むスライダーをことごとく引っ掛け、残ったのはゴロの山だった。中盤に点が取れなかった今回の星野ジャパンを象徴する展開で、アンダーソンは8回まで投げ、余力を残してマウンドを降りた。

 最終回、2死2、3塁から阿部慎之助のひっかけた打球が一塁に転がり、星野ジャパンの戦いはピリオドが打たれた。野球が公開競技となった1984年のロサンゼルス五輪から7大会目、メダルを獲れなかったのは、2000年シドニー大会以来2度目のことだ。各球団2人までとの制約の中、銅メダルに終わったアテネの反省を踏まえ、今回は12球団が一致協力して、代表入りの人数制限を設けなかった。その結果は1次リーグ4勝3敗、決勝トーナメント2敗。日本“最強”メンバーで臨んだはずの野球“最後”の五輪は、日本にとって“最低”の成績で幕を閉じた。


<韓国、初の金メダル!>

 23日に行われた決戦戦は、初の五輪制覇を目指す韓国と、連覇を狙うキューバが激突。韓国が3−2と1点差を守りきり、金メダルを獲得した。

 韓国は初回、李承の2ランで先制。キューバもソロホームランで追いすがり、試合は1点を争う攻防となる。9回にはキューバが1死満塁と一打逆転サヨナラのチャンスを迎えたが、リリーフした鄭大が6番・グリエルを併殺打にしとめ、歓喜の瞬間を迎えた。8回をソロアーチ2本による失点にとどめた韓国先発左腕・柳賢振の好投も光った。キューバは3投手が韓国打線を計4安打に抑えたものの、自慢の打線が相手を攻め切れなかった。

◇決勝
韓国代表     3 = 200000100
キューバ代表   2 = 100000100
勝利投手 柳
敗戦投手 ノルベルト・ゴンザレス
セーブ   鄭大
本塁打   (韓)李承2ラン
       (キ)エンリケスソロ、ベルソロ