6日、日本サッカー協会(JFA)は8月18日に韓国で開幕する『U-17ワールドカップ』に臨むU-17日本代表メンバー21人を発表。チームで唯一のプロ契約選手であるFW柿谷(C大阪)をはじめ、MF水沼(横浜Y)、MF河野(ヴェルディY)らが選出された。
(写真:会見に臨んだ城福浩U-17日本代表監督)
「『人とボールが動くサッカー』という我々のコンセプトが体現でき、その上で勝負にこだわることができるメンバーを選んだ」
 チームを率いる城福浩監督は今回の選考のポイントをそう明言した。故障で選べなかった選手はいない。「自分がチョイスしたい選手は万全の状態で直前のキャンプに参加してくれた。その中からメンバーを選ぶことができた」とベストな布陣であることを強調した。

 グループリーグで戦う相手は強豪揃いだ。同組のナイジェリアには2戦2敗、フランスには1戦1敗と日本はこの世代で過去に一度も勝てていない。特にナイジェリアには、6月末、今大会の開催地である韓国で行われたプレ大会で0−5と大敗した。「(ナイジェリア戦では)チーム力、そして個人能力の差が点差に表れた。それは受け止めないといけない」と城福監督は真剣な表情で話す。

 一方で、戦う前から白旗をあげるつもりは毛頭ない。06年9月、今大会の出場権がかかった『U-17アジア選手権』ではFW高原(フランクフルト)、MF小野(浦和)らを擁した94年大会以来2度目となるアジア制覇を果たした。中でも決勝の北朝鮮戦は前半に2点のビハインドを負いながらも、後半に追いつき、延長戦の末で2ゴールを決めて、突き放してみせた。『人とボールが動くサッカー』は観る者を魅了するだけでなく、ここぞという場面での勝負強さも備える。

 大会に臨むにあたって、城福監督が強調するのが平常心だ。「特別な試合だからといって特別なものが出せるわけではない。出せるのは普段通りの力だけ。プレ大会ではナイジェリアに大敗したが、今までやってきた日本の特長を生かすサッカーを突き詰めるしかないと考えている。プレ大会だけではなく、これまでの2年間で色々な国と戦ってきたが、自分たちのサッカーが全くできなかったことはない。そこは自信を持っていいと思う」と力強く話す。

 また、城福監督は特別な選手は置かないと明言する。このチームで飛びぬけた実績を持つのは柿谷。唯一のプロ契約選手であり、17歳3ヵ月のJ2最年少ゴール記録を持つ。『U-17アジア選手権』では4得点を挙げて、大会MVPに選ばれた。その逸材に対し、城福監督は「(唯一)Jリーグを経験している」と評しながらも、「今まで誰かに頼ったチームづくりはしてこなかった。河野もJ2デビューをしている」と話す。1人を特別扱いして他の選手のモチベーションを落とすわけにはいかない。それに、大舞台でエースに余計な重責を負わせたくないとの考えも見える。

 U-17世代が予選を突破してワールドカップ本戦に出場するのは、実に2大会ぶり3度目。4位に終わったフル代表のアジアカップ、決勝トーナメント1回戦で敗退したU-20ワールドカップと上の世代は思うような成績が残せていない。この大会で城福ジャパンにかかる期待は大きい。

 チームは8日に静岡県内に集合し、13日までトレーニング。14日に韓国・釜山に渡り、19日のグループリーグ初戦でハイチと戦う。22日の第2戦ではナイジェリアと、25日の第3戦ではフランスと対戦。「このチームで1試合でも多くやりたい。もちろん、3試合では終わりたくない」(城福監督)。93年大会以来、2度目の決勝トーナメント進出を目指す。

<U-17日本代表 21人>

GK
廣永 遼太郎(FC東京U-18)
吉田 智志(ルーテル学院高)
原 裕太郎(サンフレッチェ広島ユース)

DF
鈴木 大輔(星稜高校)
金井 貢史(横浜F・マリノスユース)
吉田 豊(静岡学園高校)
奥井 諒(履正社高校)
高橋 峻希(浦和レッズユース)
甲斐 公博(横浜F・マリノスユース)

MF
八反田 康平(鹿児島中央高校)
益山 司(岐阜工業高校)
水沼 宏太(横浜F・マリノスユース)
河野 広貴(ヴェルディユース)
齋藤 学(横浜F・マリノスユース)
田中 裕人(ガンバ大阪ユース)
田中 知剛(サンフレッチェ広島ユース)
山田 直輝(浦和レッズユース)
米本 拓司(伊丹高校)

FW
柿谷 曜一朗(セレッソ大阪)
大塚 翔平(ガンバ大阪ユース)
端戸 仁(横浜F・マリノスユース)