メジャーリーグの2008シーズンが30日、終了した。最後まで優勝の決まらなかったア・リーグ東地区は最終戦をシカゴ・ホワイトソックスが制して、ミネソタ・ツインズと88勝74敗の同率首位で並び、1日のワンゲーム・プレーオフで雌雄を決することになった。
 その他の地区の優勝はアメリカン・リーグが東地区タンパベイ・レイズ(初)、西地区ロサンゼルス・エンゼルス(2年連続7回目)、ナショナルリーグが東地区フィラデルフィア・フィリーズ(2年連続8回目)、中地区シカゴ・カブス(2年連続5回目)、西地区ロサンゼルス・ドジャース(4年ぶり11回目)。
 中でもレイズの躍進は特筆に価する。前年まで98年の球団創設以来、10年間で最下位が9度、昨年も66勝96敗と低迷したチームが今季は97勝65敗と勝ち負けの数をひっくり返した。要因はドラフトで獲得してきた若手の成長。さらには1番・セカンドに固定された岩村明憲の働きも大きかった。岩村の併殺打は707打席でわずか2本。フォア・ザ・チームに徹した打撃は後を打つ若い打撃陣に好影響を与えた。ボストン・レッドソックス、ニューヨーク・ヤンキースなどの強豪がひしめく中、デビルレイズ(イトマキエイ)からレイズ(光線)に名称を変更し、まさに光輝く球団へと弱小チームは生まれ変わった。ポストシーズンでも台風の目となる期待大だ。

 またプレーオフ進出の最後の座となるワイルドカード(最高勝利2位球団)はア・リーグがボストン・レッドソックス(東地区)に決定。ナ・リーグはミルウォーキー・ブルワーズ(中地区)が入った。ブルワーズのプレーオフ進出は26年ぶり。こちらも昨季のサイ・ヤング賞左腕C.C.サバシアを緊急補強し、長期低迷の歴史にピリオドを打った。
 
 日本人選手はレイズの岩村をはじめ、松坂大輔、岡島秀樹(以上レッドソックス)、福留孝介(カブス)、斎藤隆、黒田博樹(以上、ドジャース)、田口壮(フィリーズ)と5球団7選手がプレーオフへの出場資格を持つ(フィリーズの井口資仁は9月入団のため、出場不可)。昨年の松坂、岡島に続き、4年連続で日本人選手の所属チームがワールドチャンピオンに輝く可能性は高い。

 プレーオフは2日から順次、ディビジョンシリーズが開幕し、ア・リーグがエンゼルス−レッドソックス、レイズ−ツインズとホワイトソックスの勝者の組み合わせ。ナ・リーグではカブス−ドジャース、フィリーズ−ブルワーズのカードが組まれている。このディビジョンシリーズは3戦先勝制で、勝ち抜いたチームがリーグチャンピオンシップ(4戦先勝制)に臨む。

 なお、プレーオフ出場がならなかった日本人選手ではシアトル・マリナーズのイチローがシーズン213安打を放ち、リーグトップタイのヒット数でシーズンを終えた。張本勲のもつ日本プロ野球記録(3085安打)には2本届かなかったものの、日米通算3000本安打をクリア。メジャータイの8年連続シーズン200安打も達成した。またニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜は前半戦、3割を超えるハイアベレージで一時は首位打者にも立った。しかし、ヒザを痛めて戦列を離れ、チームは14年連続のプレーオフを逃した。結局シーズン終了を待たずして手術に踏み切り、来季の復活を目指す。

 マリナーズの城島健司は若手に出番を奪われ、苦しい1年となった。打率.227、本塁打7。日本を代表する強打の捕手としては不振を極めたシーズンだった。また昨季ワールドシリーズに出場したコロラド・ロッキーズから新天地のヒューストン・アストロズに移籍した松井稼頭央は腰痛でゲームに出られないことが多く、96試合の出場にとどまった。

 投手陣では、クリーブランド・インディアンスの小林雅英、カンザスシティー・ロイヤルズの薮田安彦がリリーバーとしてメジャーでのルーキーイヤーを終えた。防御率はいずれも4点台で、日本時代のような信頼感は得られなかった。

 一方、藪はサンフランシスコ・ジャイアンツで3年ぶりにメジャー復帰。60試合に登板して3勝6敗、防御率3.57の成績で、ベテラン右腕の健在ぶりを示した。また日本人メジャーリーガーのパイオニア、野茂英雄もロイヤルズで3年ぶりにメジャーへ戻ってきた。しかし、結果は登板した3試合でいずれも失点し、戦力外。7月には現役引退を表明した。トルネードのメジャー挑戦から13年、自身がマークしていた日本人最多の年間勝利数(16勝)も、松坂が18勝をあげて塗り替えた。1つの時代の終わりも感じさせた2008シーズンだった。